気まぐれ日記

気ままに、また、思い出に

グスタフ・クリムトの世界 女たちの黄金迷宮 解説★監修 海野 弘

2021-02-14 | 美術書
クリムト好きさん、必見の解説書です。表紙からして華やかなクリムトの世界に入れます。

第1章 世紀末ウィーン夢紀行
第2章 クリムトの絵画世界
黄金の女たちの陰に
第3章 クリムトをめぐる人々
ウィーン分離派とウィーン工房
の3部構成で、ココシュカ、シーレ等の作品も数多く掲載されています。

美しい画像と詳しく解りやすい解説になっています。
消失した作品も複写モノクロ写真で掲載されています。

また、早世した弟エルトンの共作の細密作品もあります。
『ローデンブルクでの芸人の即興演劇』

劇場の装飾画


2019年『ウィーンモダン』で来日した『パラス・アテネ』



有名な『接吻』


3200円ですが、お得感がお値段を上回っていると感じるほど充実した美術解説書です。






『一冊でわかる名画と聖書』と『ビジュアル図解聖書と名画』

2020-11-08 | 美術書
この二冊、どちらを読もうかなと思っている人に私個人の感想を書きます。

日本図書館協会選定図書の
船本弘毅監修 成美堂出版発行
『一冊でわかる名画と聖書』


私としては、初心向きはこちらがお薦めかな。
1、地図が詳しい

2、『創世記』の『天地創造』がわかりやすい。ミケランジェロを採用していて、説明が丁寧。
他方はボスの扉画になっている。

3、『ノアの方舟』ミケランジェロなので、わかりやすい。
他方は、あまりお目にかかならない
ウッチェロになっている。

4、巻末の収録絵画リストに画家名が載せてある。
他方の巻末リストは掲載作品と写真提供元一覧で画家名が載せていない。

5、『これだけは知っておきたい聖書の名画』に、ミケランジェロ・ブオナローティの『天地創造』の詳しい説明がある。




同じく、レオナルド・ダ・ヴィンチの『岩窟の聖母』は、ルーヴル美術館版とロンドン・ナショナル・ギャラリー版の比較が掲載されている。




中村明子著
株式会社西東社発行
『ビジュアル図解 聖書と名画』


こちらのお薦めは
1、『アダムの創造』
ミケランジェロのフレスコ絵でわかりやすい。他方は、クリムトです。

2、『大洪水』遠近法にこだわるウッチェロならではの、解説がある。

3、『十字架上のキリスト』は、もっとも美しいと言われるディエゴ・ベラスケスの絵画になっている。
(かなり個人的な好みですが)

また、両本とも、『最後の晩餐』では、古代ローマの食事スタイル(寝そべって食事をする)も研究していた、ニコラ・プッサンの絵画も載せてある。
『名画と聖書』


『聖書と名画』


たいていは、金袋を握った姿に描かれるユダは、部屋から退出しようとする後ろ姿の描写になっている。

どちらも読みごたえは充分あり、絵画と共に聖書がわかる解説本です。









絵を見る技術 秋田麻早子 朝日出版社

2020-01-18 | 美術書
とても人気のある、美術解説本で、絵画を観賞する時の視点を重点的に説明しています。

「ぶらぶら美術館・博物館」で以前、山田五郎さんが「絵が下手なのに巨匠と言われるセザンヌ」とか言われたし、どうも苦手のセザンヌでしたが、見方が未熟だったため、良さが感じられずにいましたが、本を読んでなるほど巨匠と思いました。↓本を読んでコートールド美術館展に行けば良かったのに。
セザンヌ「カード遊び」


去年のミュシャ展は、とてもすばらしかったです。
「ダンス」
ミュシャの絵は解説だと解剖的に正しく幾何学的な統一さと正確なデッサンが備わっていると難しいのですが、私は、観るととても心地よく落ち着きます。


私が大好きなラファエル前派のジョン・エヴァレット・ミレイの
「マリアナ」
細かい描写で色彩が華やかです。
本では、色使いについても丁寧に解説しています。


ロンドンナショナルギャラリー所蔵のヤン・ファン・エイクの
「アルノルフィーニ夫妻像」
小さい絵で、大塚国際美術館では継ぎ目無しの1枚画だし、至近距離で詳しく観賞できる絵です。

横道にそれますが、私が以前からずっと感じていた、「アルノルフィーニ氏が、ロシアのプーサン大統領に似ているな?と思ったとしたら、それは世界共通の認識です。」と書かれていて、世界的に認識が一致しているみたいです。
やっぱり!














語れるようになる西洋絵画のみかた 岡部昌幸監修 成美堂出版

2020-01-12 | 美術書
内容は、ルネサンスまでざっと解説してあり、ルネサンスからミュシャまでが主解説となり、ピカソ、ルソー以後がまた、ざっと解説しています。
絵画の写真は小さく、解説が主となっています。
↓読み応え十分とあります。

筆者が丁寧に解説してあるのは、たとえば、今、来日展示中のマネの「フォリー・ベルジェールのバー」
のページです。


他には、ボッティチェリ、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロ、デューラー、ティツィアーノ、カラヴァッジョ、ルーベンス、フェルメール、アングル、ドラクロワ、ゴヤ、ルノアール、ゴッホ、ミュシャになっています。
ベラスケスとレンブラントは、他の画家と同じページ数です。(ベラスケスの作品の解説こそ、読みたかったのに!宮廷画家だし、肖像画が多いので、解説あまり要らないかな?)

↓は、初期ルネサンスのギルランダイオの「ジョヴァンナ・トルナブオーニの肖像」
この作品は大塚国際美術館に展示されていて、私が好きな作品です。
背後の祈祷書の文章の意味が書いてあります。

ニコラ・プッサン(著者では、プーサン こちらの方が親しみやすい)「アルカディアの牧人たち」
ルーヴル美術館蔵のこの作品はプッサンの代表作で、「メメント・モリ(死を忘れるな)」を表現しているのは、周知の事ですが、解説では、さらに踏み込んで、文字の配列を変えると違う意味が現れるというミステリーを誘う解釈も添えられています。

ただ、解りづらいのが、巻末の索引で、画家名一覧がなくて、作品名と用語索引だけなので、わたしとしては、調べにくさを感じました。










1日1ページで世界の名画がわかる366日の西洋美術 滝澤秀保監修

2019-10-02 | 美術書
2019年8月に刊行された、わかりやすい美術書です。
「死ぬまでに観ておきたい世界の絵画」より、親しみやすいです。
それと、本の写真がほぼ実物の色彩です。
最近観た、マネの「フォリー=ベルジェールのバー」、セザンヌの「松の木のあるサント・ヴィクトワール山」、ミュシャの「黄道十二宮」は、確かにこういう色彩でした。

ピカソ、マティス等は無く、ダ・ヴィンチ、フェルメール、ルノアール、アングル、ラファエロが多く、綺麗めな絵画がたくさん掲載されています。
もう一枚の「モナ・リザ」と言われる「アイルワースのモナ・リザ」


「白貂を抱く貴婦人」
私の好きな作品です。詳しい調査に依ると2度にわたって大幅な描き換えがあったそうです。


「サルバトール・ムンディ」
2019年7月現在、今までで最高金額で取引された、有名な絵画で、記憶に新しいですね。ここでは、オークションについて説明があります。

アングルの「ドーソンヴィル伯爵婦人の肖像」


ブグローの「ヴィーナスの誕生」


ブロンズィーノの「エレオノーラ・ディ・トレドと息子の肖像」


クリヴェッリの「聖母子像」


1日1ページで世界の名画観賞でき、リラックスしたい方にお薦めします。