社会課題解決2020

実に10年ぶりにブログリニューアルです。ここでは主に社会の課題解決、SDGs関連を取り上げて行きます。

貴乃花理事就任・・・日本相撲協会の体質改革に繋げるには

2010-02-01 16:14:48 | Weblog

1.派閥調整型の組織体質からの脱却

2010年2月1日、日本相撲協会の理事選挙が終わり、大衆の期待通り貴乃花親方が新たな理事に就任した。かつては相撲部屋の一門(派閥)の領袖が事前に候補者を調整し無投票で理事を選んだきたが、今回、貴乃花親方はそうした従来の慣習に風穴を空けて、一門を離脱して立候補し、それに同調した6人の親方も一門を追放されたと言われていた。
得票は10票だったので他に3人の同調者が出てきたことで大きな一歩を踏み出したと言える。ちなみに111票ということなので得票率は9%である。

2.相撲と公益法人経営とは違う

日本相撲協会はここ数年、力士暴行や大麻事件など様々な不祥事が相次ぎ、2007年にはとうとう新弟子の応募が0と言うことで大変厳しい状況下にいる。しかしながらそうした難局を乗り切るような改革の動きがほとんど見えてこなかったのだ。

組織体質の5段階説に当てはめてみると、まさに「問題を認識出来ない、先送り、対症療法」段階に止まっている。「今までこれでやってきたのだから外部からあれこれ言われる筋合いはない。」と思い込んでいるように見える。プロフェッショナル型組織によく
見られる「自分達のことは自分達が一番知っている」という良く言えばプライド、
悪く言えば驕りがそこにあるようだ。

確かに相撲という競技は、何人もの名横綱が言っているように「自分の相撲を取ることが大事」である。他人からあれこれ言われると自律できなくなるのであろう。

しかし日本相撲協会という法人の経営やマネジメントとなると、その考えは通用しない。しかも寄付行為(定款)の目的にある「わが国固有の国技である相撲道を研究し、相撲の技術を練磨し、その指導普及を図る・・」の通り、次の世代に確実に国技を継承していかなければならない使命を持っているからである。

3.今後の方向性

そもそも朝青龍の行動に対する問題はこれまでに何度も発生をしていて、それが国技という公益性基準から見れば大きく逸脱してしまうことは普通の国民の感覚からすれば至極当然であるが、当の協会は及び腰になっていた。

公益法人は公益性を持つ崇高な使命と、一方で行政に依存しない事業の独立採算制という
2つの顔と体質を持っている。日本相撲協会の場合は財団法人の認可を受けたのが1925年と戦前であり、その背景には、もともと既に独立採算で相撲の興行主であった団体が菊花紋章の入った優勝杯を使用するために申請したと言われている。

期せずして全ての財団法人は2013年11月末までに公益財団か一般財団かのいずれかの
方向性を選択しなければならない。当然、日本相撲協会にとっての公益性とは何か、その基準は何かを明らかにし、国民が理解、納得、賛同する改革プランを策定発表しなければならないであろう。


4.新理事への期待

今回、新理事に新たな選定方法で就任した貴乃花親方に行って欲しいことは、
理事会の公開または議事録の公開である。それ自体が多数決で否決されてしまうのであれば個人のホームページで公開すべきだ。

そして、国技としての相撲を後世に残すことの重要性を訴え、世論を味方に付けることである。マスコミを上手く使って世論調査を行い、国民と理事会との温度差を浮き彫りにし、経営改革プランを策定し発表し、その達成度評価を運営審議会に諮るなど着実に
改革を進めて欲しいものだ。

むろん、そのプランには具体的な取り組みだけでなく、より重要な経営理念、判断基準を
盛り込むべきである。過去の不祥事の対応の際の背景となった考え方、理念、価値基準を
見直し、そうした中で今後も継承していくべきものと、世間一般のものに変えていくべきことなどの整理が必要だ。