先生は,こんな本を読んでいます

読み聞かせを15年間毎日続けているちばちゃん(先生)が
読んできた本の紹介をします

2.高尾五郎著『ゼームス坂物語』 新流出版2004年

2006年01月29日 | Weblog
▼ この本は、タイトルは忘れてしまいましたが、元刑務官の方の本に
 「心が洗われたくなったら、この本をよむといい。」というようなこ
 とが書いてあったのを見て、購入した本です。
  この刑務官の方の本がとても面白く(一気に読みました)、「この
 方のすすめる本ならば・・・」ということで購入しました。

▼ 『ゼームス坂物語』は、ゼームス塾塾長・多川長太の塾の子どもた
 ちや保護者とのふれあいを描いた作品です。
  こんな簡単な説明では、この本の良いところは伝わらないのでしょ
 うね。そこで、ある読者が書いた感想を載せます。

    いま日本人がいちばん読まなければならないのは、ハ
    リー・ポッターではなく、『ゼームス坂物語』です。

  この本は一気に読みました。「心が洗われた」というか、私は教師
 なので、色々と考えさせられました。

▼ 不治の病にたおれた母に、「通知表がオール3になったら、家に戻
 るんだね。」という約束を大介という男の子がします。オール1の成
 績の子が必死になって勉強をします。ゼームス塾塾長も両親も驚く程
 のがんばりを見せ、大介君も「これは、ひょっとすると・・・」と思い
 はじめます。
  さあ、通知表をもらう日です。その子の通知表は・・・。
  現実は、今まで変わりなく、ほぼ全てが1でした。大介君は、愕然
 として「何だ、こんなもの!」と通知表を破ってしまいます。

▼ さあ、学校から父親が呼び出しを受けます。学校側は一方的に男の
 子の悪いことだけを並べ立てます。普段の素行の悪さから、その子の
 未来までをも否定してしまいます。
  父親と同席した塾長は激怒し、新しく書き直した通知表を再び破い
 てしまいます。そして、こう言います。

    もう一度、大介の通知表を書き直してくれますか。も
    っと大介という子に身を寄せた通知表を。点数をよく
    してくれというんじゃありませんよ。そんなことを言
    っているんじゃなくて、もっとちがった方法で大介を
    見て下さいということですよ。あなたはおそらく、よ
    くできる子供たちからすべてが出発しているにちがい
    ない。

▼ この言葉は、私たちにとって、重い言葉です。

 ●事実だけを見るのではなく、その裏側に隠されたものをきちんと読
  みとっているのか?

 ●言葉の重み、数字の重みを感じて、ペンをとっているのか?

  こんな思いを自分に問いかけながら読んでいきました。第1巻だけ
 で9つの話が入っています。どれも、子どもたちの純粋な素直な気持
 ちが伝わってきます。
  正直、思わず泣けてしまう話もあります。これが、「心が洗われる」
 ということなのでしょう。

▼ 最後に引用をします。あとがきです。

    私がいまいちばん望むことは、この本を教師を志す青年
    たちに読んでもらいたいと思うのだ。彼らは教員採用試
    験を通るためにたくさんの本を読む。子供たちを指導し
    ていく力をつくるために、また、たくさんの教育技術の
    本も読まなければならない。そのとき、ぜひ、この『ゼ
    ームス坂物語』を読んでもらいたいのだ。それはこの物
    語が教師として子供たちの前に立つための、もっとも大
    切な、もっとも本質的な、教師の魂をつくるための物語
    だからだ。教師の魂をつくるのは知識でもなければ教育
    技術でもない。一人一人の魂のなかに突き刺さっていく
    魂の物語が必要なのだ。もし、この作品が教師を志すす
    べての青年たちに読まれるようになると、日本の教育は
    確実に変わっていくだろう。

私のHP「すぐできる読み聞かせ・ゲーム・心の話」もご覧に
 なって下さい。 


3 コメント

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ゼームス坂物語 (ある教師)
2006-01-29 17:48:15
私も読んでみようと思いました。ご紹介、ありがとうございました。
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Unknown (meimei)
2006-02-02 10:34:33
わが塾生徒についても、つい最近似たような経験があり、私自身も、学校に怒鳴り込みたい気持ちになりました。学校の先生のおごりが、生徒にとっては何十倍にもなって、のしかかってくる、ひいては、その子の人生だって、左右しかねないのに・・・と、思うと憤りを感じます。

『ゼームス坂物語』市の図書館調べてもないので、本屋さん探して見ます~
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2巻まで一気に読みました。 (クリクター)
2006-02-08 01:46:02
ところどころで、わけも無く泣けてしまいます。親として、自分も似たり寄ったりだったからなのです。こどもと読みました。私が読んで、17の娘が読みました。/hearts_pink/}
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