2023年10月 荒井眞治『おいしい旅』

　写真展「おいしい旅」 僕は2021年の5月に膵臓癌だと宣告されました。 7月に手術を受けることになり、手術前の抗癌剤点滴治療の終了した6月末に、旅行に行くことにしました。 もしかしたら最後の旅行になるかも知れないとの思いました。 新潟と北陸3県に行きました。 天橋立や東尋坊などを見てみたいと思いました。 手術は無事終わりましたが、stage2の判定で、5年後生存率は20％ありませんでした。 生きているうちにいろいろ見に行きたいと思いました。 もちろんカメラを持って。
　それから2023年の9月まで、北は北海道から南は九州沖縄まで30回以上国内旅行をしました。 会っておきたい友人と会うのも大事な目的でした。 各地の美味しいものを食べることも大きな動機でした。
　2年たった今の検査でも再発も転移も見られないので、治ったと思うことにしました。
社会的なテーマや美しい風景も追いかけていましたが、今回はそれは置いておいて、その間の心境を表しておこうと思いました。 次からはまた社会的なテーマや美しい風景を表していくことになるだろうと思っています。

荒井眞治
1957年10月26日、熊本県芦北郡田浦に生まれる。
小学生のころ東京に引っ越す。
東京学芸大学附属高校を経て、千葉大学画像工学科写真専攻を1981年に卒業。
同年、毎日新聞社に入社、2017年60歳で定年退職。 以後フリーランス。
2009年より個人での作品を発表始める。
2014：「夢の続き」白&黒、高円寺
2017：「国道16号」白&黒、高円寺
2019：「Basin Street Blues」白&黒、高円寺
他、個展とグループ展多数、総計30回以上。
写真集「ROUTE16」2018年5月上梓。
写真のワークショップ主宰。