考える葦のブログ

さわやかに さりげなく

介護を食い物にしているのは誰だ?

2007-06-16 00:30:42 | 徒然なるままに

相変わらず年金と介護の話題は尽きませんね。
気になる記事をいくつか見つけましたので、紹介しておきます。

まず、愛読している山崎元さんのブログ「王様の耳はロバの耳!」
『堀江氏、村上氏、折口氏を比較する』という記事を書かれています。
http://blog.goo.ne.jp/yamazaki_hajime/e/b37f81ef89117a744e123c6d1a8600f4
その中で、折口さんについて以下の通り触れられています。

バブルの頃は、流行に弱いオネーチャンとオネーチャンに弱い男どもを「ジュリアナ」で一網打尽に。その後、派遣ビジネスでは立場の弱い労働者から利益を絞り取り、介護ビジネスでは、体力・判断力の弱い老人を客として彼らの不安感につけ込んだ。

ディスコや派遣ビジネスの記載については、それほど違和感はないのですが、
ボクが気になるのは、やはりここ、「介護ビジネスでは、体力・判断力の弱い老人を客として彼らの不安感につけ込んだ」という記載の部分です。
すでに山崎さん自身もその記事のコメント欄(山崎さんのブログはコメント欄も面白い!)で「折口氏についても、そう単純なものでもなく、実は、彼は「介護」に思い入れがあるのかも知れないし、厚労省に担がれた、ということもあるのかも知れませんね。」と書かれているので、すでに異なった意見をお持ちなのかもしれませんけど・・・
これだけ根強いコムスンバッシングが続いていると言う意味では、同様の意見が“多数派”なんでしょう。

今日、ボクが言いたいのは、コムスンは、折口さんは「本当に介護を食い物にしたのか?」という問題。
折口さんが介護に思い入れがあったかどうか、あるいは厚労省と癒着があったのかどうかはボクには知るすべはありません。そして、ボクは警察でも裁判官でもないので、個人を責める気もありません。
だからと言って、認める気もありませんけどね。

さて、ここで改めてコムスンの今回の問題について私なりの理解を述べておきます。
きっかけは東京都における「検査と改善指導」なので、興味のある方は下記サイトもご参照ください。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shidou1/news/pressshidou1070410.html

ここで指摘されている内容は・・・
管理者の不在、管理者の専従義務違反、管理者の専従義務違反、訪問介護計画の未作成、介護報酬の一部返還が必要な違反(介護保険給付の対象とはならないサービス(家族が行うことが適当とされる行為等)について、介護報酬を請求し受領)
確かに要員面の未整備は良くないことですよね。
でも、「管理者がないこと=介護報酬を騙し取った」ということではないんです。訪問介護の世界では、あくまで「どれだけのサービスを提供したか?」で報酬が定まり、在籍ヘルパー人数や登録管理者人数で報酬が定まるわけではありません。(介護報酬については下記サイトご参照。ボクの認識が間違っていたら誰かご指摘ください。)
http://210.141.236.67/kaigo/hosyu.pdf
管理者の不足が直接の原因かどうかは分かりませんけど、これだけの指摘があった事実から言えばマネジメントはあまり上手くいっていなかったことは事実でしょうし、体制面・形式が重視される介護保険制度の世界では、許されないことなんですけどね。。。
それが一発レッドカード、「コムスン強制廃業」に値するほどの罪なのかどうかはみなさん、それぞれのご判断があることでしょう。

では、 訪問介護計画の未作成、介護保険給付の対象とはならないサービス(家族が行うことが適当とされる行為等)について、介護報酬を請求し受領したことはどうなんだ???、と。
「介護報酬を多く取っていたこと=介護を食い物にしていたこと」だとしたら、同様の罰があるべきはずのニチイ学館(すっかりコムスンの救世主扱いですね!)やジャパンケアサービスについては、今日は触れません。

実はここが非常に重要なポイントだとボクは思っているんですけど・・・
折口氏の釈明会見などを見聞きすると、こういう例があるそうです。

・オムツを交換する際に、排泄物で陰部が汚れていた。そこで陰部を清浄した。「オムツの交換」は訪問介護計画に記載されているのでOKだが、「陰部の清浄」は記載がないので認められない。
・通院を介助する際に、病院の入り口までは認められているのでOKだが、病院内の介助は認められない。(同様に自宅外と自宅内の区別をする必要もあるようです。)

いかがですか?

法令通りならば、やらないという判断になるんでしょう。
そして、おそらく、これだけ厳しい指導と見せしめを受ければ、多くの介護サービス事業者はますます法令通りにサービスを行うことでしょう。

本当の「福祉」とは何なんだ?と考えさせられますよね。
生きている人が相手ですから、生理的現象も時計のように規則的にはいきませんし、その日の天気や身体の調子で受けたいサービスも変わるのが普通ではないでしょうか。
それでも、介護計画を遵守しなければいけないのか?
介護は机上のマニュアルで簡単に出来るようなものではないのではないか。

今回の東京都等からの指導の詳細は見つけられていないんですよね。
折口氏の説明は自分に都合の良いごく一部の話である可能性も十分なんですけど、このごく一部だけでも官僚的な、福祉の顔をしたお役所仕事の臭いがするんですよね。

だからこそ、今回の問題は単なる折口さん個人の問題としてはならない、
マスコミは指導内容の詳細を分析してから、コムスンを、そして必要に応じて他の介護サービス会社も責めるべきだと思うんです。
さらに言えば、今回のレッドカードが公正なのか?という点もマスコミは注目すべきだと思っています。東京では今回のコムスンが初めてのレッドカードではなく、他の事業者にはもっと直接的な「指定取消処分」を行っています。(先ほどの東京都福祉保健局のサイトをご覧ください。)そういう意味では今回の「新規更新指定禁止」の処分は甘いとも言えるでしょうし、ニチイやジャパンケアの処分は大甘ではないか、と思えます。処分には規模やその他の情状も考慮されるべきなのか分かりませんけど、こういう後出しジャンケン、「脱法的」処分は業界にとって決して良い結果は生まない気がします。

本当に介護を食い物にしているのは、この問題を偏った報道で多くの時間や紙面を割いているマスコミではないか、とボクは考えます。

みなさん、ハローです。ホディです。

梅雨入りした途端に真夏日の快晴。こんなものですね。

本当はもう少し書きたいところですが、本当に呆れられそうなので・・・
こういう記事が、このブログに相応しいかどうかも悩んでいるんですよね。
このまま続けるか。あるいは別のブログを作るか。それともHPにするか。やっぱりこの話はこの辺で切り上げるか。。。
良かったら、本音を聞かせてください。

すみません。そんなことを言いながら今日はまだまだ続きます。
今度は「田原総一朗の政財界「ここだけの話」」。
『コムスンで介護を食い物にしたグッドウィル折口氏の“犯罪”』という記事です。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/column/tahara/070614_15th/

「コムスンで介護を食い物にした」というタイトルだけで違和感がありますけど、
実際に日曜の「サンデープロジェクト」での田原さんの“いじめ”行為を見せられた者としては、読み進むにしたがってさらに違和感を感じるんですよね。
みなさんも是非、読んでみてください。

この記事からは、介護ではなく、年金。
こんなことを書かれています。

来週あたり出てくるかもしれないが、さらにもうひとつ問題がある。
例えば女性が数年企業に勤めて厚生年金を支払い、結婚して姓が変わって会社を辞めたり、どこか別のところに勤めた場合、本来ならば社保庁は企業に確認しているはずだ。当事者の住所はわからないから企業に言うしかない。
ところがこれをわざと確認していない企業もあるのではないのか。つまり、こうした年金問題の中には、企業が年金をねこばばしているケースもあるかもしれない。この問題が表に出てくると、もうわけのわからない状態になる。

赤字・強調・下線はボクがつけました。
厚生年金を企業がねこばばするスキーム・・・
こんなことあるんでしょうか???

結婚して姓が変わって会社を辞めたり、どこか別のところに勤めた場合、本来ならば社保庁は企業に確認しているはず」、と言うこの辺の認識から違っているんですよね。
企業が社会保険庁に届けるのであって、社会保険庁が企業に確認するのではない。

きっとこういうことが言いたいんでしょうね。

厚生年金に加入していると偽って、従業員から保険料を給料天引きし、実は社会保険庁には加入の届けを出していない。つまり年金保険料をねこばばしているケースがあるかもしれない。

この問題が表に出てくると確かにわけが分からなくなる。
年金記録の紛失が社会保険庁のミスなのか?企業の詐欺なのか?・・・

※今朝の新聞の「社会保障番号」についても書きたかったんですけど(苦笑)。またの機会に。

最後に・・・
一部ネットでも話題になっていますけど、ようやく大新聞からも真正面からの意見が出てきて、嬉しくなったので紹介しておきますね。
どこかの田原さんにも誰か届けておいてくださいね!

「発信箱:コムスン問題の黒幕 中村秀明(経済部)」
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070615k0000m070150000c.html

コムスンと折口雅博会長を糾弾し、社会的制裁を加えれば、すべて丸く収まるのか。不正請求で暴利をあげ、サービスの中身も劣悪なら。福祉でぬれ手であわを狙い、老人を食い物にしていたなら、話は単純だ。
しかし、コムスンの訪問介護分野は利益面で振るわず、ワタミの渡辺美樹社長に「老人ホームには関心があるが、訪問介護はいらない」と言われた。一方で、「24時間営業」など他社にないサービスが利用者に高く評価され、離島まで拠点を持つのはコムスンだけ。業界2位のニチイ学館は「24時間体制を全面的に引き継ぐのは無理だ」と語っている。
つまり、ディスコのノリを重視する野心家が、独自のサービスで顧客の支持を受けながら、社員に厳しいノルマを課し、不正を積み重ね、それでも採算に乗らないのが訪問介護事業と言える。さらに現場のヘルパーの多くは年収300万円未満で、離職率も高い。介護は、ビジネスとして職業として、夢も希望もないどころか、成り立っていないのが現実だ。
そもそも介護事業には、まっとうにやって利益を上げられる仕組みが備わってないふしがある。厚生労働省が06年度に、介護保険会計の健全性を維持するためとして業者への介護報酬を引き下げたせいと指摘する関係者は少なくない。
介護を「無償の奉仕」として家族や地域だけに押し付けるのでなく、「事業」として民間に委ねたはいいが、例によってお役所仕事に終始する厚労省こそ問題の黒幕ではないか。このままではやがて何十万、何百万人の介護難民が生み出される日がくる。
毎日新聞 2007年6月15日 0時10分

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6 コメント

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ぼかぁすきだなぁ (jiiKE)
2007-06-18 22:17:51
酔い酔いで申し訳ありませんが、ホディさんの介護話しはもっともっと聞きたいっす!

ミスユニバースのお話しより興味ありありです。
返信する
re:ぼかぁすきだなぁ (hoddy)
2007-06-18 23:30:24
jiiKEさん、コメントありがとうございます。

ミスユニバースの話はボクには恐れ多くて出来ないので(笑)
介護や年金の話でも続けますか!
と言いつつも、実はネタ切れ気味であります

返信する
山崎元さんの所から来ました (moto金田浩)
2007-06-20 19:32:10
いいご意見ですね。
なにか嬉しくなりました。
介護の世界は「食いものに」するような
状態ではありません。
介護職の方々の待遇、すなはち給与はまつたく
低く、これも介護報酬の切り下げが近年
行われたことも一因でしょう。
特に訪問介護の世界は厳しくなっています。
返信する
re:山崎元さんの所から来ました (hoddy)
2007-06-20 22:07:56
moto金田浩さん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

コメントにいただいたとおり、ボクも全く同意見です。
確かに悪いことは悪い。でも、その悪いことの背景を見つめないと物事の本質は見えないんですよね。
折口氏を叩くだけでは、コムスンの看板が変わるだけで何も変わらない・・・
未来の介護は誰が担うのか?
そしてその財源はどこに求めるのか???
福祉の心だけでは、介護は出来ません。そうしているうちに、最後に困るのは自分たちだということをマスコミのみなさんにも理解して欲しいですよね。

moto金田浩さんにも、コメントにいただいたようなご意見を是非、いろいろなところで発していただきたいです。

返信する
コメント感謝です。 (moto金田浩)
2007-06-23 23:36:25
やらせてもらいます。
文章力が劣ってきたのが欠点ですか。
つまるところは、介護保険料のアップ
を地域の方々が認めていただけるか
どうかにかかっているように思います。
返信する
re:コメント感謝です。 (hoddy)
2007-06-25 09:23:54
moto金田浩さん、コメントありがとうございます。

>やらせてもらいます。
うれしい言葉ですね。

介護保険料のアップを将来受益者となるかも知れない(なる可能性の高い)地域の方々(年金受給者も含めて)が納得できるか?
そして、40歳以上の労働者分の半額を負担する企業が納得できるのか???
難しい問題ですよね。

家族や将来の自分を考えて「介護保険では何をしてもらいたいか?」、そして「そうしてもらうにはお金がどれだけかかるか?」・・・
福祉の心や国に期待するだけでは不十分です。
民主主義国家ですから、ボクらがしっかりと声をあげて、キチンと議論していかないといけないですよね。
moto金田浩さんのご活躍を期待させていただきますね。

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