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厚生年金基金アーカイブ   2.基金シリーズ

2015年04月28日 | 厚生年金基金

①厚生年金基金事務長奮闘記

 

厚生年金基金について、小さな基金事務所職員の筆者が、昭和50年から平成13年の定年まで25年に及ぶインフラ・ノウハウ立ち上げの実務経験の幾つかを書いてみました。

この「厚生年金基金事務長奮闘記」は、一般の解説本のようにテーマの総覧とか、解説・教示・説明などとは異なり、体系・理念以前のドメスティックなもの、どちらかと言うと皆様を巻き込むと言うか、ご一緒に「厚生年金基金って、何んだ?」とお考えいただくような方向で書いております。

お読みいただければ、基金事務所の現場のドメスティックなドブドロのなかにおもむろに立ち上がってくるものを必ず見出されることでしょうし、基金制度の実態の具体的事例を通じて基金の何たるかをご理解いただけることと思います。そのうえで、願わくは、皆様が「私ならこうやる!」というアイデアを練り上げるきっかけにでもなりましたら、これに勝ることはありません。

 

[読者コメント]

*さて、「事務長奮闘記」、ようやく読了致しました。

先人の30年にも及ぶ実務経験をいわば追体験できる貴重な文献でした。

とりわけ、総幹事制が基金の独立性・自主性を阻害したという指摘と、その脱却策としてのIA型移行・指定法人採用という視点は、目から鱗でした。(2006/07/04 ブロガーA氏)

 

*痛快かつ本質にズバリ (国士夢想)             2010-10-05 04:41:13

と切りこんだキレのある意見で読んだ後味がさわやかでした。

年金基金の総幹事制の弊害は一般国民が全く知らない世界ですね。年金記録以上の恐ろしい問題です。政治家も知らないのでしょうか?

これじゃ運用利回りがあがる筈もなく、高齢者社会の年金受給者は主要な消費者でもあるのにデフレスパイラルですね。この総幹事制は海外からの圧力になるような気がします。

 

[目次]

あらまし 

はじめに

第一章 ブレイクスルーな事態 

第二章 厚生年金基金とは? 

 1厚生年金基金制度の仕組み

第三章 経営資源の有機的連結 

 1事業展開状況

 2厚生年金基金経営の有機的連結

 3年金業務の機械化と自主性の確立

 4厚生年金の受給資格確認代行、年金請求代行、政府負担金

 5資産運用収益による福祉施設事業、業務機械化、給付改善

第四章 フレームワークの刷新 

 1フレームワークの刷新

 2代行型はハイコストが仕組まれている!

 3業務委託ⅠA型と指定法人

 4ディスクローズの試行錯誤

 5手作り広報誌のポリシー「お元気ですか?」

 6事務所に情報は転がっていない!

 7厚生年金基金の格付け

第五章 資産運用の立ち上げ 

 1経営指針達成の方策

 2事務長の読んだ金融本

 3戦略アセットミックス構築の経緯

 4未曾有な事態

おわりに 

 

あらまし 

戦後日本経済の復興と興隆を懐古趣味で振り返るのはマイナス思考の極みであり、日本経済の「失われた10年」とか、「20年」と言われるときに必須のことはそれをリアリズムに徹して見据えることであろうと考えるのは一般常識でありましょう。

戦後日本経済の数あるスキームのなかでも一時的にもっとも機能した年金制度、特に厚生年金基金制度については、いっとき1800余基金、資産規模60兆円、加入者1200万人にも達しましたが、ほとんどの基金の代行返上・解散を招き、残るのは辞めるに辞められない総合基金ばかりになってしまいました。つまり、いまや厚生年金基金制度は歴史的使命を果たし終えて、官僚の敗残の記念碑となりおおせてしまっております。

もはや、三種の神器も右肩上がり経済もありえず、あるのは少子高齢化とグローバリズムという現実の中で、いかに生き抜くかということになってきました。日本の年金制度の見直しはをどう展開したらよいのでしょう。それには、この厚生年金基金制度の実態はどのようなものであったのかをリアリスティックに見据えることが不可欠でしょう。それを、基金事務所のドメスティックな現場に視点を定めて、以下の五章で明らかにしてまいります。

 

第一章 ブレイクスルーな事態

 この章は筆者の講演録です。はじめに年金に関わった筆者の自己紹介をして、基金業務の幾つかの改善をしている最中に、改善に改善を重ねても動的現実に対処できないでいるとき、ブレイクスルーな思考方法に巡り合いました。

基金の資産運用が日本の金融システム、ノウハウの従来手法では機能不全をきたしているが、その原因は官僚による統制計画経済によりスポイルされた国民の総サラリーマン化であろうと考えられます。グローバル経済の下でサラリーマンでは太刀打ちできないと論じます。

 

第二章 厚生年金基金とは?

 厚生年金基金制度の仕組みは、その年金給付の仕方に特徴があります。それは国の厚生年金の一部を基金から支払うという世界にも稀な奇怪な姿をしています。

 

第三章 経営資源の有機的連結

 厚生年金法を始めとする政令・省令・告示・通知等の大枠に伴う行政サイドの規制と行政指導、それに基金を取り巻く日本経済の保守的環境の中で、小さな基金事務所の自主性確保の切磋琢磨な試行錯誤の一端を「経営資源の有機的連結」と題して述べます。

つまり、基金事務所のドメスティックな現場の奮闘をお話して、基金事務所の自主性獲得の様子をお読みいただきます。

 

第四章 フレームワークの刷新

厚生年金基金制度のフレームワーク(給付建て年金・設立形態・給付形態・業務委託形態等々)はシンクタンクとしての金融機関(信託銀行と生命保険会社)が主導して法律化された経緯があります。

その法律により、企業は厚生年金基金の設立認可申請を大臣宛にし、認可された後、人を派遣して事務所運営を行います。当初、機材搬入はありません。商店街にある不動産屋の店舗みたいなものです。机二つに椅子が二つで事足ります。

店開きしてみれば、所与のものとしてフレームワークが与えられており、年金給付は他に選択肢のない「給付建て年金」(確定給付年金)、設立形態は単独、連合、総合の選択肢があり、・給付形態は代行型と加算型、業務委託形態はⅡ型とⅠB型とⅠA型の選択肢があります。当初、一般的には単独、代行、Ⅱ型で設立されました。

このフレームワークは選択肢があるものについても継続的に維持されるばかりで、これを刷新しよう、改善しようという気運は基金事務所には起きませんでした。といいますのも、基金を取り巻く環境も基金事務所も保守的な姿勢が支配しており、自主性などという観念は革命的なもののように忌み嫌われたのが実態です。

そういう保守的土壌において、小さな基金事務所で単独設立を連合設立へ、代行型を加算型へ、そしてⅡ型をⅠA型へ移行し、フレームワークの刷新を図った事例をお読みください。

 

第五章 資産運用の立ち上げ

厚生年金基金は一般的に、貸借対照表の借方の資産を守り、貸方の債務を果たすことで、加入員等の老後生活を保障することを設立趣旨としています。つまり、資産の保全と債務の遂行のために基金は掛金を徴収し、年金を支払うことになります。これを全うするために、受給権を保護し、受託者責任を果たさなければなりません。このことは、基金は常に資産と債務のバランスを視野に入れた〈最良執行〉を求められているということになります。基金は〈最良執行〉を達成し、事業主と加入員等にローコスト・ハイリターンの老後生活保障を提供することになります。

  これを達成するために基金事務所ではミクロの積み上げが重要になってきます。とは言え、ミクロを単発で個々バラバラに行っていては基金の顔が見えて来ないことになりますし、そういう基金の多いことも実態ではあります。そこで、重要になってくるのが「経営指針」に基づく資源の集中化・集約化、経営資源の有機的連結による資本のシナジー効果を高めることであります。具体的には、〈資産運用〉を中心にして衛星的に〈給付改善〉と〈福祉事業〉と〈広報事業〉を配置し、これらの有機的連結によってローコスト・ハイリターンの老後生活保障を実現することになります。

それでは、厚生年金基金事業の有機的連結の中心になる〈資産運用〉はどのように立ち上がり、どのように展開し、どのような成果をもたらしたのでしょう。

その事例をご案内いたします。昭和44年設立当初、ABC厚生年金基金の基金事務はソロバンで行われていました。筆者着任後、電卓をいれパソコンを設置して、業務委託形態もⅠA型にして自前で事務処理ができる体制を築きました。福祉施設事業も利差益を使って、弔慰金、OB会のパーティ運営、年金ライフプランセミナー開催、年金受給者の大型観光バス三台を連ねて一泊旅行も10年ほど行いました。

資産運用については、電気科・哲学科出身の筆者には畑違いも最たるもので、何の予備知識もありませんでした。又、会社にも事務所にもそのような経験を持っている人は誰も居ませんでした。

そのような背景の中、金融本の読書から始めました。また、筆者が移動アンテナになって、先行する基金に教えを請い、金融機関等のセミナーにも通い、数多くの研究会にも参加しました。そうして得た金融知識を事務所に反映し、業務に展開しました。

しかし、平成時代へ移行した頃、日本経済の凋落と共に厚生年金基金の積立金不足が明らかになり、厚生年金基金は未曾有な事態を迎えました。〈給付削減〉、〈資産運用効率化〉、〈基金解散〉が当面の緊急課題となりました。

 

こうして資産規模60兆円、1200満人が関わった厚生年金基金という一大ページェントが幕を下ろそうとしています。

 

(以下略)

 

登録情報

フォーマット: Kindle版

ファイルサイズ: 5718 KB

紙の本の長さ: 189 ページ

出版社: 年金カウンセラー 高野 義博; 2版 (2013/12/8)

販売: Amazon Services International, Inc.

言語: 日本語

ASIN: B00F1TPRAS

PC・スマホ・タブレット対応

 

Amazon「厚生年金基金事務長奮闘記」

 

 

人様のお金―厚生年金基金は何になるのか

 

歴史から消えようとしている厚生年金基金の実態、内部構造、問題点等を具体的事例にそって明らかにするノンフィクションです。筆者が25年間、基金事務所で業務に全人的にのめり込むという原始的な手法で、現場から「厚生年金基金って、何んだ?」と追い求めたレポートです。右肩上がり経済時代の落とし子である厚生年金基金は官民ひっくるめてドタバタの限りをつくして終焉を迎えようとしています。厚生年金基金は永遠のα版として学ぶべきことは多岐にわたっています。この本は、そんな厚生年金基金についての世界で唯一の古典です。

 

[目次]

はじめに

第一章 制度発足30年経過して

第二章 厚生年金基金の経営フレームワーク

 1. 経営などしたこともない!

 2. 基金経営の組織機能

 3. 厚生年金基金の過渡的な経営フレームワーク

第三章 厚生年金基金の資産運用方法

 1.それとも資産運用で稼ぐか

 2.基金の見た日本の資産運用環境

 3.世界の資産運用環境

 4.平成10年度現在の資産運用状況

 5.資産運用マネジメント

第四章 厚生年金基金経営上の諸問題

 1.基金運営から基金経営へ

 2.厚生年金基金のリスク管理

 3.代行の金縛り

 4.〈人様のお金〉

 5.果たすべき約束

 6.パブリック・コメント?

第五章  凍結した死に体

 1.「厚生年金基金は死に体!」

 2.基金問題のインパクト

 3.〈人様のお金〉が変える日本のインフラストラクチュア

第六章 ビジョン「年金基金」

 1.戦後日本の哲学もどき

 2.「年金基金」というビジョン

 3.ビジョンのメッセージ

謝 辞

・厚生年金基金の経営フレームワーク資料集

・情報収集先

・書籍等一覧

・年金関係インターネット・サイト

 

 はじめに

 最近、「人様のお金」という言葉をお聞きになったことがおありでしょうか? 

 「他人の金」という言い方は時々見聞きするようになりましたが、一般的にはまだまだ「自分たちのカネ」という意識、といいますより、そのようなことに無頓着な無意識の行動が幅を利かせているようです。つまり、「人様のお金」を「自分たちのカネ」に摩り替える政官財のモラルハザードは極まってきているということ。

 なにはともあれ、「人様のお金」などという言い回しは久しく聞いたこともなく、死語と化しているというのが現実のことでしょう。

 そうではありましても、日本人ならどなたでもこの言葉に何やら、懐かしい響き……が、母親の面影が立ち上がってくるような気がしませんでしょうか。他界してしまった母親のように遠い何処かに、江戸時代か、明治の商人世界、あるいは終戦直後等の一昔前に、まったく忘れ去られたかのような感じがします。

 

 「厚生年金基金って、何んだ?」という筆者の25年に及ぶ小さな基金事務所での実務経験に基づくドメスティックな一考察が、厚生年金基金制度の提供主体である官僚と企業人が、「自分たちのカネ」とばかり思い込んでいました厚生年金基金の年金給付〈代行分〉と〈加算年金〉は、実は他人の金、「人様のお金」ですということを発見したのです。つまり、年金給付を受ける当事者自身の〈皆さんのお金〉でありましたという発見を基金の現場でのマドリング・スルーの結果導きだしたのです。

 同じように、「似たような状況において蓄積された経験」(R・ジアモ)の幾多の繰り返しにより厚生年金基金の公的部分(代行)と私的部分(加算)、つまり、この国家と企業のフレームワークは、各々が実施してきました国民と社員の〈統制手法〉なのだという認識を生み出したのです。この論理的帰結として、国家と企業の手から分離された形での「人様のお金」=「年金基金」というビジョンが成立したのです。

 さらに、このビジョンが日本の金融・年金・資産運用等のインフラストラクチュアを、強いて言えば、日本そのもののインフラストラクチュアを再構築することになりましょうという、〈壮大な経路〉(三ツ谷誠:JMMメール)の発見につながったのです。

 要するに、「人様のお金」というフレースは、刈谷武昭さんが『金融工学とは何か』(岩波新書)でおっしゃっている「不完備制度の完備化」の機能を果たすことになるのでしょう。

 

 このようなことは、すでに30年程前、1976年に米国でドラッカー教授が『見えざる革命ー来るべき高齢化社会の衝撃』で予言していたことであり、愈々そのようなことが、この日本でも少子化という問題を上乗せした形ではありますが具体化しつつあります。現実に日本のGDP500兆円に対して年金資産は半分強にまで積み上がってきているのです。資料によりますと、日本全体の年金資産は300兆円弱に積みあがり、厚生年金基金の資産も60兆円となってきています。このような年金資産(実態は、「人様のお金」)の〈資本の論理〉が保持しているパワーが、政官財の旧来システムの見直し・断罪を強く要請することになるでしょうし、サラリーマン・ゼネラリストを馘首し、様々なオーナーを次々と誕生させるでしょう。〈倫理ファンド〉、ベンチャー・キャピタル、ストック・オプション等の隆盛をもたらすにとどまらず、国家、企業等の組織都合な統治発想は否認され、インディビュジアル(個人)レベルから新たなインフラストラクチュアが構築されることになるのでしょう。

 とは言いましても、日本の構造改革は国債の大量発行に象徴されますように民意度は後進国並みですから、未だしばらくは遅々たる進展しか望めないでしょうが、方向だけは定まってきたようです。

 

 さて、通常一冊の本は、事前に推敲の経緯・経過は捨象され、抽象化されたうえで書かれるものと考えられます。泥の中を通り抜けるマドリング・スルーな経過そのものは主題足り得ないものなのでしょう。

 しかし、この「人様のお金」を、筆者は平成8年6月に厚生年金基金の経営を主題に「ペンションファンドマネジメント」として書き始め、推敲のドメスティックな展開そのものを内容にして、平成12年8月にタイトルを「人様のお金」(第一部厚生年金基金の変貌、第二部厚生年金基金の資産運用ドキュメント、第三部厚生年金基金の経営の三部構成、四〇〇字詰め原稿用紙2200枚)と改めて、書き上げました。

 その後、何人かの人に目を通していただきましたところ、商業べースに乗らないということで、皆さん一様に余りに大部に過ぎるということでした。そこで、編集し直し、500枚ほどをカットし、1700枚としました。

 さらに、それを「経営資源の有機的連結」を中心にした500枚ほどを独立させ『事務長奮闘記ー厚生年金基金って、何んだ?』とし、残りの1200枚ほどをこの『人様のお金ー厚生年金基金は、何になるのか?』に分冊しました。それでもなお、一般の本に比べて分厚くなりましたのは主題追求の手法のせいとご容赦ください。

 

 これらのことを、筆者は母体企業の再三の肩叩きを肩透かししつつ、厚生年金基金業務に全人的にのめり込むという原始的な手法で、現場事務所で「厚生年金基金って、何んだ?」と追い求めたのです。このような不器用な生き様は決してエフィシェント(効率的)とは言えませんが、愚かな素朴さ、ピュアであるとは言えるかもしれません。単に、ドメスティックなだけに終わっているかも知れませんが……。

 しかし、この判断は読者諸賢がお決めになること。筆者としては、ただ「厚生年金基金は、何になるのか?」の「叩かれ台」(山崎元『年金運用の実際知識』)を、「人様のお金」の素材提供が出来たのであれば、または、せめて読者の基金に対するイメージ構成が幾分かでも立ち上がり始めましたら良しとしなければならないでしょう。

 

 後は、ただ、笑而不答……

 

第一章 制度発足三〇年経過して

  厚生年金基金制度は昭和四十一年に創設以来、三〇年が経過しました。

 恙無かった昭和の時代が終わり、戦後日本経済の閉塞状況と共に平成の時代に入ってから制度発足以来の「未曾有な事態」を迎えています。この「未曾有な事態」とは、年金基金の資産運用の低利回りが恒常化したことに伴い財政悪化が募り、一九〇〇弱基金中、五〇〇基金程の多くの基金が年金資産の積立水準をクリアー出来ず、中には耐え切れずに解散する基金も出始めていることをいいます。

 しかも、この度の事態は単なる制度疲労とは違い、従来のような対症療法、つまり日本経済の製造業が得意技としてきた業務の一部見直し、各種の業務改善手法等で対応できるようなものではなく、年金基金の基盤を形成している制度の構造、フレームワーク、運営方法、特にサラリーマン的手法による基金運営を根本のところから変えなければならないような事態なのです。そしてこの背景には、戦後日本経済が培ってきました各種の経済スタンダードが機能不全をきたし、グローバル・スタンダードへの変換を強要されている事態があるのも明らかです。

  さて、この三〇年の間に、厚生年金基金は単なる「掛金徴収団体」から「年金給付団体」に変身し、少なからざる人々の老後生活の安定に寄与しつつある現実は見逃せません。基金加入期間が三〇年にもなり、厚生年金本体の「老齢年金額」と年金基金の代行分の「基本年金額」が半々にまでなってきているのが現実です。たまたま資産運用利回りの低下が恒常化したために、世情でかまびすしく取りざたされることになりましたのも、そういう現実があるために社会問題となったのでありましょう。

 

 

(以下略)

 

登録情報

フォーマット: Kindle版

ファイルサイズ: 3903 KB

紙の本の長さ: 206 ページ

出版社: 年金カウンセラー 高野 義博; 2版 (2013/12/8)

販売: Amazon Services International, Inc.

言語: 日本語

ASIN: B00F32J4Z2

PC・スマホ・タブレット対応

 

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Amazon「人様のお金―厚生年金基金は何になるのか」

 

 

日本版401k誕生秘話!誰も知らない厚生年金基金

 

社会保険事務所(現年金事務所)で相談しても、社会保険労務士に聞いても、WEBサイトで調べても、……誰も知らない厚生年金基金! いったい、どうなっているの? というのが、厚生年金基金です。こんな疑問が巷にあふれています。

この本は、厚生年金基金事務所の25年に及ぶ実務経験(事務所の人的物的体制構築・規約規定の整備・基金業務の機械化・加入員の年金計算年金振込み・基金財政の検証・基金の予算決算・ライフプランセミナー開催・OB会運営・年金給付改善・資産運用体制構築・年金調査研究等)と、社会保険事務所の年金相談員5年経験(ほぼ30、000人と面談)の年金カウンセラーが、「厚生年金基金」という堅い話をなんとか柔らかく皆さんにお伝えします。

つまり、学者先生が書けないインサイダーによるドメスティックな本になります。そのため、論文調の退屈さ・窮屈さを避けるために、「基金って何?」、「引用文」、「講演録」、「事例集」、「Q&A」、「401(k)調査記」等による話としました。要するに、いろいろな語り口を通じて、皆さんにお楽しみいただきながら、自然に、「厚生年金基金」のイメージが定まるようにしています。

 

[目次]

はじめに

目次

第一章 厚生年金基金の成立

 1.厚生年金基金の成立前史

 2.厚生年金基金制度の仕組み

設立形態/給付形態/運営組織/業務委託形態/業務分掌/資産運用/資産運用基本方針/受託者責任/年金給付/加入員台帳/年金計算/中途脱退/退職給付会計/基金解散と代行返上/確定給付年金と確定拠出年金の相違点

第二章 厚生年金基金の展開

 1.ブレイク・スルーな事態

 2.厚生年金基金経営の有機的連結

事業運営/厚生年金基金の変貌/「経営など、したこともない!」/フレーム・ワークの刷新/事務長の読んだ金融本

 3.代行の金縛り

代行の由来/代行型はハイコスト!/代行の本旨/代行故の官の介入/最良執行/経営指針達成の方策

 4.〈人様のお金〉

 5.基金の見た資産運用環境

第三章 事例で学ぶ厚生年金基金

はじめに/年金のキホン/年金の加入記録/年金の仕組み/年金の請求/年金生活

第四章 厚生年金基金を問う

 1.厚生年金基金は死に体!

凍結通知/凍結した死に体

 2.基金問題のインパクト

〈人様のお金〉が要請する効率市場/受託者責任が再構築する/基金問題のインパクト

 3.〈人様のお金〉が変える日本のインフラストラクチャー

日本型資本主義の組成/インフラストラクチャーの再構築

 4.未曾有な事態

第五章 Q&A年金の行方(基金解散と代行返上)

 はじめに

 1.基金解散と代行返上に伴う年金の行方

厚生年金基金の仕組み/基金解散後の年金/代行返上の仕組み/代行返上後の年金の行方

 2.基金解散と代行返上の真因

年金が一時金に化ける/多額な不足金発生/時価会計採用でどうなるのか

第六章 401(k)の百聞は一見に如かず

 1.401(k)一見

視察団/3大都市の印象/ツアー企画の背景/訪問先/幾つかのトピックス

 2.訪問先個社マター

JOHNSON & JOHNSON/SONY US/HewlettーPackard Company(HP)/APL社/Scudder University/Fidelity Investments/Atlantic Financial社/Speech Works社/日本経済新聞社米州編集総局年金担当:越中記者による現地401(k)セミナー/「プラン・スポンサー」誌

 3.取敢えずの401(k)論

401(k)エンジンの仕掛け/おわりに

第七章 確定拠出年金スタート

 

付録

 1.これは宝もの!

 2.読書案内

 3.基金広報誌

著者

著作・評論等

 

はじめに

社会保険事務所(現年金事務所)で相談しても、社会保険労務士に聞いても、WEBサイトで調べても、……誰も知らない厚生年金基金! いったい、どうなっているの? というのが、厚生年金基金です。こんな疑問が巷にあふれています。

 

かつて1200万人(国民の一割)がかかわり、年金資産60兆円も積み立てた厚生年金基金について「誰も知らない!」なんて変な話・ミステリーではないでしょうか?

 

この本は、厚生年金基金事務所の25年に及ぶ実務経験(事務所の人的物的体制構築・規約規定の整備・基金業務の機械化・加入員の年金計算年金振込み・基金財政の検証・基金の予算決算・ライフプランセミナー開催・OB会運営・年金給付改善・資産運用体制構築・海外年金調査研究等)と、社会保険事務所の年金相談員五年経験(30,000人と面談)の年金カウンセラーが、「厚生年金基金」という堅い話をなんとか柔らかく皆さんにお伝えしようと試みます。

 

つまり、学者先生が書けないインサイダーによるドメスティックな本になります。ハウトウものや解説本や教科書ではありません。その類の本は筆者の任にあらずです。

そのため、論文調の退屈さ・窮屈さを避けるために、「基金って何?」、「引用文」、「講演録」、「事例集」、「Q&A」、「401(k)調査記」等による話としました。

要するに、いろいろな語り口を通じて、皆さんにお楽しみいただきながら、自然に、「厚生年金基金」のイメージが定まるようにしています。

 

さて、平成15年(2003年)10月、確定給付企業年金(DB Defined Benefit)である厚生年金基金の将来分代行返上が法律で認められ、一気に660基金の「代行返上」が始まりました。そのほかに平成13年(2001年)に始まった確定拠出企業年金(DC Defined Contribution)に移行した基金(30基金)や「基金解散」も急拡大し、全国にそれまで1800余基金あったのが、1000基金になり、平成22年(2010年2月1日現在では609基金(大半が身動きの取れない総合基金)になっています。

 

このように、いまやあたかも「厚生年金基金」は時代の要請を果たし終わり、次にバトンタッチをしているかのような状況にあります。それは、まるで米国の後追いをしているかのような景色でもあります。

 

と言いますのも、日本でも、老後の生活保全については、次の図表1のように昭和40年以前はFamily家族が担っていました。昭和40年~平成15年頃はGovernment/Company政府/企業でしたが、平成15年頃以降(米国に20数年遅れて)Individual個人の責任へとシフトしつつあるようです。

 

図表1 年金主体の移り変わり

出所:米国フィディリティィ社 プレゼンテーション資料 1999年訪問

 

平成24年の現在、このような立ち位置の「厚生年金基金」は確かにタイムリーな話題ではありません。

 

しかし、「厚生年金基金」には関係者のマドリング・スルーな必死の切磋琢磨によって蓄積されたインフラ・ノウハウ(例えば、退職金の年金化・外部保全化、資産運用の方法、官僚まかせの他者依存意識からの覚醒、受給権保護の方法、受託者責任、個人勘定の革命性等々)には膨大なものがあります。そこに、厚生年金基金の歴史的意義が凝縮されています。

つまり、この本はそれらの一端に言及している代行返上前のドキュメント、更にはプレ確定拠出年金のドキュメントとしてお読みいただけたら幸いです。要するに、「日本版401k誕生秘話!」です。

 

若い人たちにとって、新たに始まった確定拠出年金(個人勘定故の自分年金)の成功のために、この「厚生年金基金」のインフラ・ノウハウを承知しておくことは必要不可欠なことです。と言いますのも、ここから、若い人たちが将来何をすべきかの方向が見えてくるからです。

それでは、皆さん、厚生年金基金についてのいろいろな語り口を、まずはお楽しみください!

 

                                平成24年8月

年金カウンセラー 高野 義博

 

 

第一章 厚生年金基金の成立

 

1.厚生年金基金の成立前史

 

 日本では、長いこと、「世襲制」が伝統的な地位・資産・職業等の継承方法でありました。それが、日本の伝統を守り続けた効能は計り知れないものがありましたし、それが、日本文化の中核を形成してきました。

しかし、戦前、その恩恵から零れた次男・三男等は、外に「新宅」を構え、自らの力で生活を切り開いて行かなければならない苦闘がありました。小作人になり一生汲々とした生活を送るとか、商家に丁稚奉公して「暖簾分け」の恩恵を受けるとか、工場労働者の搾取されつくした低賃金に泣くとか、長い役人生活の代償で死に際に恩給を貰うとか……。一様にぎりぎり喰うための生活に明け暮れていました。

 

 

図表2  年金小史

 

さて、現代年金史は昭和17年の「労働者年金法」(後の厚生年金)に始まると言ってよろしいでしょう。

その厚生年金は、当初は積立段階で年金支払いは少なく戦費流用が可能ということで導入された暗い背景を持っていました。国民と企業から厚生年金保険料を徴収して、大砲や艦船に使い、海外派兵や諸国占領の経費に流用すべく目論まれていたのです。いっとき、保険料徴収の業務は「警視庁」が強権力で行っていた時期もありました。ここで問題だったのは、流用可能な会計制度を許容する大東亜精神・挙国一致思想の開明度合いということでしょうが、当時の政治家・軍人・官僚・国民等にそれを求めても詮方ない現実が立ちはだかっていました。

 

(以下略)

 

登録情報

フォーマット: Kindle版

ファイルサイズ: 13898 KB

紙の本の長さ: 254 ページ

出版社: 年金カウンセラー 高野 義博; 4版 (2013/12/8)

販売: Amazon Services International, Inc.

言語: 日本語

ASIN: B00F7IBX3S

PC・スマホ・タブレット対応

 

Amazon「日本版401k誕生秘話!誰も知らない厚生年金基金」



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