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素材抜粋-I.プリゴジン/I.スタンジェ-ル『混沌からの秩序』 伏見康治・伏見譲・松枝秀明訳

2011年01月19日 | 読書
素材抜粋
2002/06/30


混沌からの秩序



I.プリゴジン/I.スタンジェ-ル『混沌からの秩序』

伏見康治・伏見譲・松枝秀明訳

みすず書房 1999 第14刷







現代の西欧文明において、最高度に磨き上げられた技術の一つは分割である。問題をでき
る限り小さな成分に分ける技術である。われわれは分割するのが得意だ。実に巧いので、各
断片を集めてもとに戻すことを忘れてしまうことがよくある。

(まえがき 科学と変化 アルビン・トフラ-)





イリヤ・プリゴジンは、非平衡系の熱力学に関する業績によって、1977年にノ-ベル[化
学]賞を受賞した人であるが、物事を分解するだけでは満足できない人である。彼は生涯の大
半を、「断片を集めてもとに戻して」みることに費やした。彼の場合、断片とは、生物学と
物理学、偶然と必然、自然科学と人文化学である。

(まえがき 科学と変化 アルビン・トフラ-)





……・プリゴジンとスタンジェ-ルは、機械の時代の伝統的科学は、安定・秩序・均質・
平衡を強調する傾向にあったと論じている。従来の科学は、ほとんどの場合、閉じた系と線
形関係とを対象にした。線形関係のもとでは、小さな入力は小さな結果しか生まない。

(まえがき 科学と変化 アルビン・トフラ-)





さらにこのことは、実在のほとんどは、規則的で、安定で、平衡しているのではなく、変
化・無秩序・などで、沸き返り、泡立っていることを示している。

(まえがき 科学と変化 アルビン・トフラ-)





プリゴジンの言葉を使えば、あらゆる系はたえず「ゆらいでいる」部分系を含んでいる。
単一のゆらぎ、または、その組み合わさったものが、正のフィ-ドバックの結果、非常に強
くなって、既存の組織を粉砕してしまうことがある。この革命的瞬間――著者はこれを「特
異な瞬間」あるいは「分岐点」と呼ぶ――においてどの方向の変化が起こるかをあらかじめ
決定することは、本来的に不可能である。系が分解して「」に向かうのか、あるいは、著者
が「散逸構造」と呼ぶ、より分化した、より高い、「秩序」のレベルないし組織化のレベル
へ跳躍するのか、決められない。

(まえがき 科学と変化 アルビン・トフラ-)





無秩序との中から、「自己組織化」の過程を通じて、秩序と組織が「自発的に」生じてく
ることが、実際に可能だと、彼は力説する。

(まえがき 科学と変化 アルビン・トフラ-)




事実、本書の主題の一つは、熱力学の第二法則の解釈の衝撃的な見直しである。

(まえがき 科学と変化 アルビン・トフラ-)





『混沌からの秩序』のように多くの思想がぎっしりと詰まった本は、だれも――その著者
でさえも――その意味するところすべてを理解することはできない。

(まえがき 科学と変化 アルビン・トフラ-)





『混沌からの秩序』はすばらしい。注文の多い、目のくらむような本である――すべての
読者に対して挑戦的で、注意深い読者にとっては、非常に得るところがあるはずである。こ
れは研究し、賞味し、再読すべき本である――しかもなお、再び問うてみるべき本である。

(まえがき 科学と変化 アルビン・トフラ-)





いくつかの基本過程には、例えば生物進化とか人間の文化の進化のような基本過程には、
明らかに、決定論的過程に加えて、確率論的要素が含まれているに違いない。





古典的描像では、自然の基本過程は決定論的で可逆であると考えられていた。乱雑性や不
可逆性をもつような過程は例外にすぎないと考えられていた。今日では不可逆過程やゆらぎ
の役割をいたるところに見ることができる。





伝統的に自然科学は全称命題を扱い、人文科学は特殊命題を扱ってきた。自然科学と人文
科学とが収束しつつあることを強調して、本書のフランス語版の表題は『新しい同盟』(ガ
リマ-ル社刊、パリ、1979年)とつけた。





物理学の概念構築の作業は完成からほど遠い状態にある。しかし筆者は自分たちが感じと
った現時点の状況を提示することに決めた。筆者は大きな知的興奮を味わっている。存在か
ら生成へ至る道が垣間見え始めているからである。





このことから、物質はもはや機械論的世界観で述べられたような受動的な物体ではなく、
物質には自発的な活性が伴っている、と考える新しい物質観が生じてきた。





現在われわれは、平衡から遠く離れた状態では、新しいタイプの構造が自発的に生じうる
ことを知っている。平衡から遠くはなれた条件下で、無秩序あるいは熱的から秩序への移転
が起こることがある。物質の新しい動的状態が出現することがある。それはある与えられた
系とその環境との相互作用を反映した状態である。筆者はこの新しい状態を、散逸構造

と呼んだ。





分岐の近傍で、系が大きくゆらぐことは注目に値する。






経済も人口も政治も、その歴史が先例のない速さで動いている今日新しい問題や新しい興
味が出てきて新しい対話を始めること、新しいを探し出すことが必要となっている。





旧約は破られた。人間はついに、そこから自分が偶然に発生してきた宇宙という無縁で無限
の空間の中に、ただ一人で生きているということに気づいた。

ジャック・モノ-





神よ、我々を遠ざけ給え

単一のビジョンとニュ-トンの眠りから!

ウィリアム・ブレイク





マルチン・ハイデッガ-は科学的営為の真の核心を批判した。科学的営為は自然を支配し
たいという永遠の目的に基本的に関連していると彼は考えた。したがって、科学的合理主義
は古代ギリシャ以来内在していたあるものの最終的な実現であるとハイデッガ-は説く。す
なわち、合理的な議論や営為において必ず働き出すところの支配しようとする意志、あるい
は、すべての実用的で伝達可能な知識の中に潜む暴力がそれである。





ギリシャ人によって考案された数学体系は、ヨ-ロッパの歴史上最初の抽象的思考の体系
となった。すなわち理性を働かせる人類すべてにとって、伝達可能でかつ再現性のある結果
を生む思考である。ギリシャ人は、信念、期待、感情などによっては左右されないような、
確実性のある演繹的知識を最初に形成した。





ギリシャ思想と近代科学との最も重要な共通点は、厳密な議論と証明を重視することであ
り、宗教的ないしは神話的な探求法とは対照的である。



……・。共鳴という言葉――二つの教義の相互増幅のことである――を用いることによっ
て、神学の教義と「科学の神話」のどちらが先に来て、他を啓発したのかを問わない表現に
なるよう意図したわけである。





研究の原動力である想像力の眼前に常に鮮明に姿を現すのは、秘密が存在する、解明され
うる秘密があるはずだという、本能的な信念にほかならない。どのようにして、この信念が、
ヨ-ロッパ精神の中に、このように鮮明にたたき込まれたのだろうか。

……・。それは、神エホバの人格的エネルギ-とギリシャ哲人の合理精神とをあわせもつ
と考えられたところの神の合理性を、中世の人々が主張したことから来ているはずである。

……・。私が言わんとするのは、幾世期もの間異議なく続いた信仰がヨ-ロッパ精神に及ぼ
した影響である。ここで言う信仰とは単なる信仰箇条ではなく、思考の本能的傾向のことで
ある。

アルフレッド・ノ-ス・ホワイトヘッド





エルンスト・マッハは、……・科学知識の役割とは経験を可能な限り経済的な順序に配列
することだと定義している。






多くの分野であれほどの成功を収めた中国科学が運動法則の定量的定式化をしなかったこ
とを想起すべきである。





われわれは昔学校で習った古典力学の法則に慣れているあまり、古典力学が基礎に踏まえ
ている仮定の大胆さには気づかないことが多い。





生きた科学は、科学が記述する理想化された可逆的な世界とは本来別物である。





あるランクを超えた存在はすべて特異点をもち、ランクが高いほど特異点も多い。

マックスウェル





経験のための先天的条件は、同時にまた、経験の対象が存在するための条件でもある。

カント





古代人にとって、自然は知恵の源泉であった。中世の自然は神を語った。近代に至って、
カントが科学と知恵、科学と真理は完全に分離しているはずだと考えたほど、自然は静かに
なった。われわれは過去二世紀の間、この二分法とともに生きてきた。今や、これが終わる
ときがきた。科学に関する限り、この二分法に終止符を打つ機運が熟した。





「複雑性の科学」の誕生した日付を、著者はイゼ-ル県知事ジャン=ジョセフ・フ-リエ
男爵が固体中の熱伝導の数学的記述によってフランス化学アカデミ-の賞を得た1811年
とすることを提案したい。





われわれはルクレチウス(古代ギリシャの原子論者)のクリナメン(永遠で普遍的な原子
の下降は、ときどき、不特定の時間と場所で非常にわずかなふれによる擾乱を受ける――こ
のふれを「クリナメン」と言った)からあまり遠くにはいない!





平衡から遠く離れた条件下ではさまざまな型の自己組織化過程が出現する。





ゆらぎを通しての秩序





散逸構造の最もおもしろい側面の一つはそのコヒ-レンス(協調性)にある。







途方もないものが存在できるという例をよく見るものだから、あまりに異常だから実現し
得ない、というような着想は自然界にないといってよいだろう。

19世紀の偉大な博物学者ルイ・アガシ






秩序の源泉としての非平衡





われわれは線形の因果律で考える訓練を積んでいるが、今や新しい「思考の道具」を必要
としている。





われわれは座標または運動量を測定することができるが、両方を同時に測定することはで
きない。はっきり決まった値をとることができる変数を明確に表現するような理論的言語の
一つだけで、系の物理的内容をすべて表すことはできない。それらはすべて同一の実在を扱
っているが、一つの単独の記述に還元することは不可能である。同じ実在に対する視点が還
元できない多様性をもっているということは、実在全体を見通せる神の視点がありえないこ
とを示している。





この新しい存在物を用いて、第二法則を秩序から無秩序への時間発展として理解すること
ができるようになった。





熱力学的時間発展を記述するふために用いる構成単位の平衡における振舞いはカオス的で
ある。これとは対照的に、平衡に近い条件下では、相関とコヒ-レンスが出現する。





主要な結論の一つに到達した。すべてのレベルにおいて、巨視的物理学のレベルであろう
と、ゆらぎのレベルや微視的レベルであろうと、非平衡が秩序の源である。非平衡が「混沌
から秩序」を生み出す。





時は建設である。

バレリ-





荒れ狂う自然の中のつむじ風





法則と賭けとの両方、時間と永遠性との両方を含むようなもっと微妙な形の実在が存在す
ることだろう。





希望と考えるのは、小さなゆらぎでさえも成長して、全体構造を変えうるからである。そ
れゆえ、個々の活動は無意味なこととして運命づけられてはいない。



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【投稿者コメント】
混沌から秩序が沸き立つのだ。


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