伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

中学校卒業おめでとうございます

2020年03月13日 | 学校教育
 ご卒業おめでとうございます。

 寒い冬から季節が動き、ここ数日、気がつきました。日暮れがずいぶん遅くなっています。数日前の夕方の空、午後6時半になっても、西の空に明るみが残っており、雨が降る路上にはカエルがピョンピョン跳ねていました。もう春です。

 季節の移ろいの美しさを綴った美しい文章があります。清少納言の「枕草子」です。
 春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく、山ぎはすこしあかりて、むらさきだちたる雲の細くたなびきたる。
 夏はよる。秋は夕暮。そして冬・・と続きます。

 春の良さは、あけぼの、すなわち夜が明ける頃だけではなく、現代で言うなら卒業という瞬間も数えることができると思います。卒業、そして、卒業に伴う新たな出会いが、この季節に特別の意味を持たせるからです。

 私は、この「春はあけぼの」のフレーズに出会ったのは国語の教科書でした。そして、その出会い以来、40年を超える長い歳月、ずっと私の傍に寄り添っています。何かの折に心に浮かび上がり、美しい響きを聞かせてくれます。おそらく、これからも、私とともにあり続けるでしょう。

 同じように、小学校の音楽で出会った歌「サモアの島」があります。ポリネシア民謡で「青い青い空だよ 雲のない空だよ サモアの島 常夏だよ」と歌う歌です。

 サモアは、昨年、日本で開かれたラグビーワールドカップにあたっていわき市をホストタウンとしながら、事前の練習や市内の子どもたちとの交流などをして共に時間を過ごし、日本代表とも好試合を見せてくれました。そして、東京オリンピックでも、代表がいわき市をホストタウンとして活動します。行った事もない国ですが、歌のおかげで昔からよく知っているようで、不思議な縁を感じる国の一つです。小学校での歌との出会いのおかげです。

 みなさんも、これまで小学校、そして中学校での勉強や学校生活、あるいはクラブ活動等を通じて、様々な出会いしてきたものと思います。そして今、中学校を卒業しようとしています。

 新しい生活では、地域の枠を超えた新しい仲間、あるいは新しい勉強を通して、これまで以上に出会いが広がっていきます。そして、その新たな出会いは、切磋琢磨を通してみなさんが自分自身をいっそう磨き上げる機会になり、一人ひとりを成鳥させ、人生を豊かなものとしていくものになると思います。

 今日の卒業式で、これまでの出会い、そして仲間との変わらぬ友情を確認し、これから始まる新たな出会いへの希望を育んでいただきたい。そしてこれからも自分を鍛え成長させる努力を続けていただくことを心から期待したいと思います。

 みなさんの努力はきっと、その後に続く社会生活を「生き抜く力」を育んでいくことになると思います。東日本大震災、原発事故、台風災害、新型コロナウイルス。卒業生のみなさんは、生まれてからわずか15年で、様々な災害を体験してきました。その影響で、保育所の卒園式は中止となり、今また中学校卒業式も通常とは違う形で迎えました。これからも私たちの上に様々なことがおこるでしょう。みなさんが育む生き抜く力は、こうした問題を跳ね返す力となるとともに、これからの日本を、これからの社会をどうしていくのか、選択する力にもなります。

 18歳選挙権となった今、みなさんは、高校を卒業する年齢になると、これからの日本社会が、地域の社会が、どうあるべきかを選択する主権者となります。わずか3年後のことです。これからみなさんが過ごす時間は、その意味でもとても大切な、そして貴重な時間になると思います。その時間に注がれる、みなさんの惜しみない努力に期待を申し上げたいと思います。

 卒業、おめでとうございます。

2020年3月13日
市議会議員 伊藤浩之


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