伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

P3C

2021年10月20日 | 航空機
 P3C哨戒機が自宅上空を飛び去るのは久しぶりに見たが、午前10時頃だったか、ゴーンとエンジン音を残しながら、北東方向に飛び去った。我が家から見れば、ほぼ湯の岳の方向だ。もしかしたら、同山が飛行の目印となっているのかもしれない。



 P3Cは海上自衛隊が配備する航空機だが、潜水艦探知などを主任務にするようで、探知して把握した潜水艦などに魚雷や爆雷、あるいはミサイルなどを使って攻撃をすることも可能な装備になっているようだ。

 以前、航空自衛隊の戦闘機が、太平洋上に墜落した事故を起こした際、連日、4機ほどのP3Cが数日間にわたって連日、北東から北西に向かって飛行したことがあった。おそらく、この時は、捜索の任務を負っていたと思う。しかし、それ以外に飛来するP3Cは、太平洋上の訓練海域での訓練が目的と思われる。

 さて、どこに所属するのだろうか。我が家に近いのは、千葉県にある海上自衛隊下総航空基地で、ここには第203航空教育隊が配備されている。同隊は、海上自衛隊の航空機のパイロットや航空士を育成する任務を持ち、P3Cが配備されている。P3Cの配備状況や、我が家までの距離を考えると、ここから飛来していると思われるのだが、なぜ、我が家の上空を通過していくのか、常々疑問に思っていたので、今回、地図で見比べてみた。

 すると、我が家上空を通過するのが当たり前と合点がいった。



 海上自衛隊については射撃等の訓練海域は分かったのだが、ごく狭いエリアで、対潜哨戒のような訓練には適さないように見える。航空自衛隊の訓練空域は広く設定されているようで、ここなら、訓練に適しているだろう。その空域は、常磐沖、あるいは三陸沖となっている。P3Cは、おそらくここに向かっているのではないだろうか。

 さて、下総基地からこれらの海域は、ほぼ北西の方角にあり、その方角の延長線上に、我が家のあるいわき市遠野町があるの。こう考えれば、P3Cがひんぱんにわがや上空を通過するのも当たり前ということになる。

 ほかの航空機で、羽田行きの便などが、やはり遠野上空を南西方向に向かうが、ほぼ同じ方向にある下総基地も同じ航路をたどっているということだ。

 印象にすぎないのだが、日本列島は南北に長いと考えてしまうのだが、実際の地球儀上では東西方向、正しく北東から南西に向けて長い形をしていると思う。このため、遠野より西に位置する下総基地から、常磐あるいは三陸沖に向かおうとすると北西の方向に飛ぶことになる。そういうことなんだな、と思う。

 10月14日のブログ「どこに行く」で、行く先不明の民間機の目的地を探った記事を書いた際、行き先の香港には日本列島を縦断するように飛んでいったことを書いた。ほぼ同じ理由と思われる。

 北東に飛び去ったのと同機と思われるP3Cは、訓練を終えたのだろう、午後3時30分頃と同40分頃、今度は南西に向けてあいついで飛び去った。基地に帰投したのだろう。



 レンズの手ぶれ補正機能が壊れたようで、望遠レンズで手ぶれを止めるのに苦労するが、何枚か使えそうな写真が撮れて幸いだった。

 さて、我が家上空は、よく、軍用(自衛隊)機が通過する。時に米軍の輸送機などということもあるが、多くは自衛隊の固定翼機あるいは回転翼機だ。固定翼機では、F-2戦闘機、P3C哨戒機、輸送機が飛んだこともある。回転翼機では、大型の輸送ヘリコプターCH-47も何度か飛び去っている。

 こうしたことを見るたびに思う。日本では、憲法で陸海空軍を持たないとされている。このため、武装をした集団を持ちながら、これを軍と呼べず、自衛隊と呼んでいる。しかし、言葉でどう飾ろうと、この集団が軍隊であることは国際的には明白だ。

 英語で、自衛隊は公式には「Japan Self-Defense Forces」( Forcesは、「隊」の意味のほか「軍事力」「戦力」の意味などもある)とされるが、例えば、自衛隊で「駆逐艦」と呼んでいる艦艇は、イギリスの国際軍事専門誌である「ジェーン年鑑」ではヘリコプター空母、駆逐艦、フリゲート艦と分類しているという。そして、自衛隊自身が、護衛艦を英語表記する場合デストロイヤー(駆逐艦)としているのだそうだ。空母、駆逐艦、フリゲート、いずれも立派な戦力だ。だから国際的に自衛隊は、「Japanese military force」(militaryは「軍隊」)あるいは「 Japanese armed force」(armedは「武装した」)と認識されているようだ。まあ、それは、自衛隊の装備等を見れば明らかなのだが・・。

 ここでは自衛隊の憲法論議は置いておき、国政上では、現実に存在する自衛隊を認識し、当面も含めて、その活用を図ることでは、たぶん全ての政党が一致している。共産党も、緊急事態の際には自衛隊を活用するという方針を示している。

 予断だが、この方針が出された際、当時、共産党員だった私は、どんな政権のもとでも、緊急事態の際には自衛隊に出動してもらうという方針だったと理解した。それまでの共産党は、緊急自衛隊の際には、警察力など、自衛隊以外の国民の総力を動員して、防衛を図るとしていた。実際、火器といっても拳銃やライフル、海上保安庁の巡視艇の機関砲程度の装備の、警察力で、武装して押し寄せる軍隊から日本を守ることは可能なのかという疑問はあったが、違憲の軍隊である自衛隊を出動させるわけにはいかないという党の政策方針は分かるので、この主張でしょうがないのかなと思っていた。

 だから、自衛隊の活用を打ち出した共産党の方針を、妥当と考えたし、歓迎したものだ。

 ところが、当初、この方針は、共産党が参加する政権ができた場合という限定的なものだったことを知った。共産党が発行する「議会と自治体」に、限定を抜きにした自衛隊活用論の優位性を欠いた論文が掲載されたが、この執筆者は、論文が原因になり離党するに至ったという。私がこの事を知ったときには、すでに、自衛隊活用の限定解除の方針、つまり共産党が参加しない政権のもとでも活用する考えに改められていたのだが、かなり衝撃的な出来事だったことを思い出す。

 それはともかく、自衛隊の活用という方針が示されたもとでは、その装備はどうするのかという議論は必要そうだ。たぶん、それぞれの政党には、政党なりの考えがあるだろう。侵略国を国際社会が包囲し、動けなくするまでの比較的短い時間、自衛力で侵略を阻止できれば良いという考えから、相手国が日本に侵略できないと判断するほどの抑止力を持った装備が必要という考えまで、千差万別となりそうだ。

 自ずと装備品の質と量、その装備に費やす予算の問題まで、様々ということになる。

 私自身は、侵略に対する自衛をいうなら、他国に直接の脅威を与えるような装備は持つえべきではないと思うし、今後、日本が空母(「いづも」と「かが」)を持つということには大きな問題があると考えるし、相手国の上陸作戦に活用する水陸両用車や、相手軍の背後に戦力を輸送する作戦を担うオスプレイ等を装備するというのは、防衛というより、侵攻のイメージが強くなるので、これらの装備には疑問を持ったりする。

 まんがの「空母いぶき」を読んだ。あそこに描かれたように、自衛隊が装備する武器を、ピンポイントで、具合良く運用することは、現実の問題として難しいと思うが、相手国が強力な装備で攻めてきた場合、国民の生命と財産を守り、自衛隊員自身の命を守るという観点から、これに対向しうる力を持つということも考慮されなければならなくなりそうだ。

 しかし、同時に、この考えを持ち込むと、より強力な兵器で歯止めをしなければならないという観点から軍備増強に歯止めはかからなくなりそうだ。それだけに、憲法論は抜きにしても、どれだけの防衛力を持つのかは、国会で議論をする必要が生じてくるのだろう。

 今回の選挙戦で、そこまでつっこん議論がされるはずはないが、日本の今後を考えるときには大切な課題になりそうだ。
 P3Cが訓練で飛ぶ空は、ある意味、まだ平和な空だ。これが実働にならないことを望みたい。


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