サンシャインマラソン中止に
1日でも2日でも早い判断求められたはず
1日でも2日でも早い判断求められたはず
いわき市議会2月定例会が開会した2月20日、提案内容等の説明に立った清水敏男市長は、23日に予定していた「いわきサンシャインマラソン」を「苦渋の決断ではありますが、中止することといたしました」と発言しました。決断に至るまでの経過を検証してみたいと思います。
開催で感染の懸念拡大
中止の決定は19日午後4時から開かれた同実行委員会の企画運営委員会でした。午後5時30分に記者会見で決定が発表されました。
中止は、降雪と低温の影響による昨年に続く2年連続で、今年こそはと開催に向けご尽力されたみなさん、楽しみにしていたランナーのみなさんの無念には心からお見舞いを申し上げたいと思います。
市長は、中止を判断した理由として、①新型コロナウイルス感染拡大の恐れ、②運営ボランティアの確保への懸念――の2点を上げました。
日常生活での新型コロナウイルスの感染が確認される等、感染拡大が懸念されています。全国各地から1万人規模のランナーが集まるイベントを開催すれば、感染を市内に持ち込むリスクを拡大しかねません。中止は妥当な措置です。
しかし、決定に至る過程に違和感が残りました。その原因は、決定が開催日の4日前の夕刻になってしまったことにあります。
講演会はいち早く中止に
決定の前日の18日夕刻、議会棟でこんな一幕がありました。ある会派の議員に「伊藤代表はどう思う」と問われ、私は「中止すべきでしょう」と即座に答えました。別の会派の議員も含め、その場にいた議員は中止すべきという意識を共有しており、市はいつ決定するのだろう――そういう会話が交わされていたのです。
翌19日の朝刊報道を見ると、保健所主催の2つの講演会中止が掲載されていました。いずれも3月の講演会の中止を、早々に判断して告知する対応をとったのです。
講演会は150人規模ですが、受講者はほとんど市民です。中止になっても受講者が実害を被ることはないと考えられます。
判断の遅れは参加者の迷惑に
一方、マラソンには市外から多数のランナーがエントリーしています。このため、中止となれば、宿泊や移動手段のキャンセルなど、エントリーしたランナーに実害が生じかねません。回避のためにも、いち早い判断が重要だったはずです。
実際、マラソン中止の会見を受けて、市内のホテルが取材に答えていました。ホテルは、「中止は残念。キャンセル料は3日前から発生するが、今回はお客様の申し出を受けて対応を検討したい。来年は実施され、おいでになる際ご利用いただければうれしく思います」とコメントしました。中止になってがっかりしているランナーを思いやる、温かい対応に感謝の念が湧きます。
キャンセル料が発生する時期はホテルによって異なります。3日前というホテルでは、宿泊当日を含むため20日になるとキャンセル料が発生します。19日午後5時半の公表を受け、翌20日に連絡すると、キャンセル料が発生しかねません。今回も、マラソン応募者から徴収するエントリー料は返済しないとされています。2重に参加者の損失を招きかねないタイミングでの判断となっているのです。
早めの判断できたはず
1日でも、2日でも早い判断は出きたはずです。16日に厚労相は「不要不急な集まりをなるべく自粛するようなことも検討していく必要があろう」と公表していました。感染者が発生しているという本市と異なる条件があるとは言え、17日に東京マラソン(3月1日)の一般参加の中止が決定されています。
報道は、市長は18日に「開催する・開催しないの両方のパターンを検討している」と伝えており、この段階でも開催へのこだわりを伺わせます。
実行委員会等必要な会議を開催し確認をしなければならないという事情を汲んでも、もっと早い時期に判断ができなかったのか、疑問が残ります。
この経過等は、3月3日の質疑で取り上げる予定です。
文=伊藤浩之
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