伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

低い賃金で質の高い仕事求める公民館の嘱託職員化 / いわき市議会6月定例会一般質問4-2

2016年06月21日 | 市議会
 いわき市議会6月定例会の一般質問の2回目。公民館の嘱託職員化に関する問題です。嘱託職員の賃金は正規に比べれば当然安い。それなのに求められる仕事の質はより高みをめざすっていう感じなのですね。そこで2月定例会に続いて質問に取り上げました。

 なおいわき市議会議会の中継で、録画中継されていますのでご覧ください。ここをクリックすれば開きます。⇒いわき市議会中継



2 公民館の嘱託職員化等について       
(1)公民館の東日本大震災時の対応について


伊 藤
 次に公民館の嘱託職員化等についてうかがいます。

 4月14日、熊本県熊本地方を震央とするマグニチュード6.5、震度7を前震としながら、16日のマグニチュード7.3、震度7を本震とした大地震、熊本地震が発生しました。この地震で犠牲になられた方のご冥福をお祈りすると同時に、被災者のみな様が、一刻も早く日常の生活を取り戻されることをお祈りしたいと思います。

 この地震は、いまから5年3ヶ月間前、2011年3月11日に私たちが経験した東日本大震災を思い起こさせるものとなりました。

 私の住む遠野町は、4月11日、12日の塩ノ平断層を震源とした大きな余震に見舞われました。記録では震度6弱ということで、3月11日と同程度の揺れでしたが、地元で体験した方が「本震はこっちだよね」という程、4月11日、4月12日の方の揺れを大きく感じられる、そういう地震であり、また、大きな揺れで住宅の損壊なども多く発生しておりました。

 この時、遠野町では上遠野公民館、入遠野公民館、そして深山田集会所が避難所となり、余震で自宅に被害が出た方、相次ぐ余震で自宅にいることに不安を覚えた方などを受け入れて、住民の不安解消に役割を果たしておりました。

 その公民館は、現在36館ある公民館のうち、連絡調整館6館を除く、30館をすべて地区公民館と位置付けて、2020(平成32)年度までに、すべて嘱託職員化することにし、今後、毎年5館程度づつ嘱託化していく計画となっています。

 2月定例会での質問では、嘱託化の効果が十分検証されないままに、嘱託職員化がすすめられることは、結局、職員削減ありきのやり方で問題があるとする立場から質問を行いました。

 今回は、災害時の対応等についてうかがってまいりたいと思います。

 東日本大震災時に市内では学校体育館や公民館など、様々な施設が避難所等に活用され、震災後の被災者や困窮する市民生活を支える役割を果たしてきました。

 そこでまず具体的に、公民館は震災後の被災者対応にどういう役割を担ったのか。おうかがいします。

教育部長
 公民館につきましては、東日本大震災時において避難所を開設し、避難者を受け入れたほか、地域の実情に応じて、物資の配布や給水等、支援の拠点としての役割を担ったところであります。

伊 藤
この避難所等に対応した公民館数は何施設となっておりますか。

教育部長
 公民館全36施設のうち、東日本大震災への対応として24施設で避難所を開設いたしました。

伊 藤
この時の公民館職員の対応状況はどのようなものだったのでしょうか。

教育部長
 東日本大震災の発災時における公民館職員の対応状況については、各災害対策地区本部の指示のもと、保健福祉部等の関連部署と協力しながら対応したところでございます。

伊 藤
 協力しながら公民館職員も対応したということで、私も公民館が物資の配給拠点となり、地域の方といっしょに活動したというお話しを地域の方からうかがいました。この時は当然、正規の職員が配置されていたわけですが、いっしょに活動することに非常に安心感を覚えて災害対応の活動をすすめることができた。こういう感想を話されておりました。

 その公民館職員の嘱託化をさらに推進しようということになっているわけであります。

(2)嘱託職員の勤務条件について        

伊 藤
 そこで次に嘱託職員の勤務条件などについて確認したいと思います。嘱託職員の雇用条件はどのようなものとなっているでしょうか。

教育部長
 公民館の館長の職務に従事する嘱託職員の賃金については、月額が21万7,500円、特別手当として6月に22万4,025円、12月に24万3,600円を支給することとしております。

 次に、常勤の嘱託職員の賃金につきましては、月額が16万1,300円、特別手当として6月に7万4,198円、12月に8万650円を支給することとしております。

 次に、非常勤の公民館主事の賃金については、月額が10万2,400円、特別手当として6月に4万7,104円、12月に5万1,200円を支給することとしております。

 このほか、館長の職務に従事する職員及び常勤嘱託職員については超過勤務手当を、通勤手当についてはすべての嘱託職員を対象に正規職員に準じて支給することとしております。

伊 藤
 この嘱託職員なんですが、災害時にどのような役割を果たすことになるでしょうか。

教育部長
 災害等が発生した場合には、公民館が支援の拠点としての役割を担うことから、各災害対策地区本部の配備態勢に応じて、被害状況の報告や避難所の開設、避難者の受け入れ等に従事することになります。

(3)嘱託化によるメリットについて       

伊 藤
 こうしておうかがいしてきますと、嘱託職員化されるその嘱託職員については、賃金は低い状況の中でも、正規の職員同様に活動しなさいということが求められていると分かってきます。公民館運営指針に基づいた職務の遂行が、当然そこでは求められることになっていきます。

 嘱託職員も正規の職員と同じような仕事をするといっても、現実には低コストでもっと働けということになりますので・・つまり公民館運営指針でこれまでよりもいい公民館を作っていくことが求められているわけで、そういう意味では低コストでもっと働きなさい、こういうふうな中身になっているわけで、少し無茶な感じを抱くのは、私だけではないと思います。

 そこで嘱託化のメリットについて伺いたいと思います。

 公民館では地域の振興等にかかわって様々な業務を担っている実態があります。その中で公民館運営指針に盛られた地域の学びを「ささえる」「はぐくむ」「いかす」「むすぶ」場としての具体的な取り組みを進めることに対して、職員の嘱託化はどのような効果を発揮すると判断しているのか、おうかがいします。

教育部長
 公民館の嘱託職員化に際しては、配置する嘱託職員について、地域からのご推薦等を踏まえ、地域の実情に明るい方や学校、社会教育の分野での経験のある方等を選定できることから、土曜学習事業をはじめとする公民館事業における学校や地域との連携強化に効果を発揮すると考えております。

 加えて、非常勤公民館主事の増員配置による人員体制の充実等により、利用者の利便性の向上が図られるものと期待しているところであります。

伊 藤
 そういう効果を期待してのことだといことで、これまでも伺ってきたわけでありますが、現実にはどういう人が配置されるかによるねというご意見も関係者等にうかがったこともあります。

 で、モデル館として、昨年度でありますけど、3館でモデル事業を実施してきたわけでありますが、このうち2館で早や1年で職員がおやめになっているというようなお話を聞いているのですが、そこらの事情ってどういうものなのか・・1人はお辞めになって、1人は移動したと言った方がいいですかね、正確には。どういう事情があったのか、おうかがいします。

教育部長
 今年度、嘱託館長が変更となった2館については、まず、嘱託館長の一身上の都合により、事後的に常勤での勤務が困難となったことから、やむなく退職することとなった事例が1件あります。

 もう1件は、平成28(2016)年度に実施した5館の嘱託館長の選定にあたり、その地域の実情に明るいことの優位性や社会教育に関する知見や経験等の観点から総合的に勘案した結果、平成27(2015)年度に配置した嘱託館長を、あらたに嘱託化する公民館へ配置の変更を行った事例がございます。

伊 藤
 先ほどの答弁の中では触れていなかったんですが、これまでの説明の中では、嘱託職員になって5年間程ですが、安定的に経験のある方を配置し、そのことで効果を上げることができるというふうな説明があったのですが、現実の問題とすれば、やはり嘱託職員、一年契約ですので、その配置された方の都合等によって、なかなか、その部分では効果を上げられないということも、実はあったということが、このモデル事業での実態だということになるんですね。

 それで、あらためて公民館運営指針に目を通してみたんですけど、この職員の嘱託化については、「第6これからの公民館の課題」の項「3 行財政運営の適正化に向けた対応について」の「1 組織体制上の課題」にごく短くふれられているだけでした。

 読み上げてみると、
「本市の公民館の組織体制については、市アウトソーシング計画において、公民館職員の嘱託化等が位置付けられているほか、地区公民館を中心とした職員体制の脆弱さが課題になっている状況を踏まえ、早期の改善が必要とされている。
 一方、組織体制の見直しに当たっては、施設の整備計画同様、今後の生涯学習の推進体制のあり方や、出先機関の再編計画、さらには本市としての大局的な中山間地対策等との十分な整合を図る必要があることから、現状の地区公民館の運営課題を踏まえながら、その方向性について、引き続き関係部局との協議を進めていくこととする」
というふうになっております。

 つまりここには、生涯学習の推進体制のあり方や出先機関再編計画等との整合の検討があり、かつ、現状の地区公民館の課題の洗い出しなどがあって、はじめて組織体制のあり方、すなわち正規職員で公民館を運営するのか、それとも嘱託職員で公民館を運営するのかを検討するということが書いてあるように思うのです。

 しかも、運営指針の中では、いわば主たる方針としては語られていない、という感じがあります。

 ところが現実には、他の項目の実践に先んじて何よりも優先して嘱託職員化がすすめられている、という感じを受けております。

 前回、結局、嘱託化は職員削減のありきで進んでいるようなやり方だと指摘しながら、この方針の撤回を求めてきたわけですが、嘱託化の方針については、やっぱり見直すべきだという思いを強くしております。

 先ほど、嘱託職員の労働条件なども伺いました。館長でも年収300万円強、嘱託主事でも200万円強にすぎないという低賃金で、正規職員以上の仕事をしろというやり方が今回の嘱託化ということになっていると思います。これでは、運営指針に盛られた公民館の強化方向に十分に取り組むことができないのではないか、運営方針は絵に描いた餅になる可能性があるのではないか、そんなふうに思います。嘱託化は見直すべきと思いますが、あらためてお考えをお示しください。

教育部長
 えーとですね、まずどこから言えばいいかとおもいますけれども、一つは、2011年、震災発災直後から市職員は身を呈して職場を放棄することなく、持ち場、持ち場、厳しい状況のもと、公僕としての務めを果たしてまいりました。

 これは職制とか、年齢にかかわらず、もちろん、賃金の多寡にもいっさい関係なく、市民の安全安心のために地域を守るという公務員上の志をたよりに業務を遂行してきたところです。

 公民館の嘱託館長につきましても、一度、公務員に拝命されたからには、責任を持ち、率先して震災対応に当たってもらうのは当然のことであると思っています。

 で、もちろん、嘱託館長にだけが責務があるわけではなくて、連絡調整館とか、中央公民館、そして担当課である生涯学習課の指示・協力のもとに連携を密にしながら、保健福祉部とか、災害対策関係部署と一体となって災害に当たっていくという風な組織体制をとっておりますんで、そこは嘱託、あとは正規の別なくやっていけるというふうに考えております。

伊 藤
 えーとですね、結局、今のお話の中に、言葉としては公務員としての志をたよって災害時の対応をすすめたのが、あの東日本大震災の経験だったというふうなことをおっしゃっていた。文字通り、その通りだと思うんです。

 職員の方は、一般的には退職、60歳まで務めることが保障されているっていうと、ちょっとあれなんですけど、ま、勤めることができます。

 嘱託職員の方は、長くて5年っていうことになるんですね。その違いっていうのは、やっぱり大きいんじゃないかなというふうに思います。私は。とらえ方の問題なんですが。

 そういうこともありまして、やはりですね、公民館を安定的に運営していく、いざの場合に対応していくっていう時に、正規の職員を配置していくっていうことは、非常に大切なことなのかなーと思っておりますので、ぜひ、その点での見直しというのはあらためてお願いしまして、次の質問に移りたいというふうに思います。


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