伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

田人地区に計画のガイアパワー風力発電事業の配慮書説明会を聴いてきました

2018年11月10日 | 原発・エネルギー
 いわき市田人町に新たに計画されている株式会社ガイアパワーの「(仮称)たびと中央ウインドファーム計画段階環境配慮書」の住民説明会を聞いてきた。

 配慮書の抗告縦覧と、これに対する意見書の締め切りはもう終了している。同社のホームページを見ても、「田人中央」の配慮書の詳細な内容を確認することができない状況だ。それでも、この説明会で出された意見は、準備書に向けて活かしてくれるようだ。

 なぜなら、説明会の中で質問等をしたのだが、そこで、言い忘れた事項について、終了後、担当者等が寄ってきて「よろしくお願いします」といった際に(発言時に、「遠野町の伊藤といいます。市議会議員をしています」と発言したからの反応だと思う)、景観に関する遠野町で聞いた懸念を伝えると「それも環境影響評価に加えます」と言っていたからだ。環境影響評価に関して必要な事項なら準備書に反映させるかどうかの検討をする考えはあるのだろう。

 しかし、今日の説明会で配布された資料には「この資料の無断転用はご遠慮願います」と、各ページに注意書きが付してあった。どうしてだろう。
 著作権の問題があるのかもしれない。でも、ことさらに積極的に公表を拒むような表記は、同社が情報公開に消極的な姿勢にあることを示すような印象を受ける。資料を見ても、公に秘匿するような内容があるとは思えないのだが。





 今回のように説明会が、公告縦覧期間の後になったということもあるし、少なくとも説明会までは見られるようにするとか、配慮書に対する意見を受けて評価準備書ができましたという段階で、配慮書と準備書を比較検討しやすくするためにも、公告縦覧の期間終了後も、文書を公表することが望ましいと思うのだけれど、残念。環境影響評価に対する信頼度を向上するためにも、国も制度を変更すべきではないかな。そんなことを思う。

 計画地は、田人町貝泊と荷路夫の間の山林で、最大高約130mで3,400kw級の風車を最大20基建てて、最大68,000kwを発電しようという計画となっており、同社が適地と判断した区域はいわき中央牧場を含む区域で、もっとも近い住宅が500m、1㎞の範囲に142戸があるという。今後は、2022年に環境影響評価書を作成し、2024年に建設をはじめ、2027年に運転を始めたいとしています。

 説明会では4点質問等をしました。

 1点目は、口頭説明の中に、北部に県がエリア指定し公募した風力発電事業にも応募しようとしたとあったので、なぜダメだったのかを質問した。そちらがダメだったので、南部で適地を探した結果、配慮書の土地を選んだとしていた。この時の田人の住民の発言を聴くと、「ありがた迷惑」という雰囲気だったので、余計に気になった。

 そもそも、時期が遅くて、気が付いた時には参入できる時期ではなかったというような回答でした。「調査不足ということですか」と聞くと、大きくうなずいていましたが、それは事業者の力量を疑わせることになりはしないか、ふと疑問が湧いた。


 2点目は、事業者の信頼性という観点から見た時に資本力も気になる。同社の資本は5,000万円、事業の途中で何事かあった時に、きちんと対応できるのだろうか。回答によると、事業費は200億円をみこんでいるという。なおさらだ。実際の事業に入れば、パートナーとなる事業者と進めるという。ではそのパートナーとはどこか。東証一部に上場する企業も興味を示しているなどというが、具体的な社名は答えなかった。ガイアは風力発電事業は実績がほとんどないが、実績のある会社も含まれるという。

 なお同社は、愛媛県に100億円から110億円の事業を、風力に実績があるパートナーと進め、環境影響評価準備書の段階まで事業がすすんでいるという。

 3点目は電力の接続先を聴いた。別の事例で、当初の説明と変わったと聞いたことがある事だ。同社の場合、東北電力を想定し協議をすすめているという。

 4点目は、風力発電施設から最も近い住宅が500mという点です。

 遠野地区のアカシアリニューアブルズは、配慮書の説明の段階で“低周波の影響について国は2㎞”と言っており、この発言も受けながら、同じく遠野町で事業をすすめているユーラスエナジーは風車の位置を住宅から2㎞まで離す計画変更を行っている。住民の不安に応える措置だ。

 ここから考えるに、1㎞以内に142戸が存在するガイアの計画は、そもそも無理がある計画なのではないか。そんなふうに思うのだ。同社は、環境影響評価で、何とか影響のない位置を探りたいとしていたが、大丈夫なのかな。無理せず、引くということも選択肢となると思うのだが。

 今後、環境影響評価方法書の公告・縦覧、住民説明会をはじめ、準備書の段階と同様に、住民の意見を出す機会が設けられる。注意深く動向を見ていきたい。


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