Cuisine WDYTO30

セックスと美味しいご飯。音楽と美味しいお酒。30過ぎてはや半年以上、食べずらい盛り付けと味付けでアナタにお届け。

中目黒 「豚鍋研究室」

2005-01-21 23:19:27 | 食べる男
おしゃれ泥棒の巣窟、中目黒。

よもや住みたい街ナンバーワンの座を獲得した、
クリエイティビティあふれる勘違いの街での金曜の夜。

一方、最近やけにカドがとれてきた。
というか30を前にしてココ数年、
まったく無理無茶がきかない。

健全、健康、禁煙、節制、貯蓄、節操、自覚、安全運転

今までケっと唾をはいていたそんなそんな単語が、
目の前でカラフルな毛糸になってグルグル回って
腹のあたりで玉になって居座っている。

その分、いままで我なりに節度があったこと、
についての、リミッタがゆるーくきれてきた気がする。
あるとき突然タガが外れる前兆みたいな雰囲気で。

そんなことで気分も体調も最悪のまま、目も頬もパンパンで
夜な夜な業界人を自称する貧乏と勘違いが交互にすれ違うガード下へ。

テクテクテクテクテ
~~~~~~~~~

改札から線路沿いをあること小10分、それなりに有名な
カンバンもなんにも無い居酒屋「村上製作所」のトナリ。

界隈には多い、知らなきゃ絶対見つからない軒先。

高架下に障子の薄明かりがともる。
無造作に干されたタオルとママチャリ。
どうみても町工場の一角のアルミサッシ
引き戸の取っ手に小さな縦書きのテプラシールが、

「豚鍋研究室」(×豚鍋研究所)

控えめ過ぎる自己主張、キャッチー過ぎる名前。

金曜の夜でも早めなら(21時で早め)、電話なしでも余裕で座れるはず。

いや座れたにしても、エコロジカルな丸いちゃぶ台と板張りに座布団になる模様。
それはそれで懐かしさ満点+長居が厳しい。

名の示す通り豚達の華麗なキュイジイヌと、カウンターに並ぶ焼酎の数々。
普段ならああテンションがあがる。食う。飲んで。眠くなる。

でも今日は、顔はパンパン。腹の底には七色の毛糸の玉。
付き合いの長い連れにも「見たこと無いその顔」と言わしめつつ、
ああもったいないもったいない。

あったかウーロン酎で、まったく覇気無く乾杯すると
連れのテンションも一気に最下層に。。そらそうだ。

メニューといえば。

蒸しキャベツ。ウマイウマイ。
焦がし玉葱とオイリーながキャベツの甘味と絶妙なハーモニクスを。

豚味噌大根。ウマイ。

焼豚。

「このチャーシュウって量多いですか?」

「いえ、4,5切れですよ。あとチャーシュウじゃないです。やきぶたです」

「うん、焼き豚ね」(なんなんですかオネエサン)

料理を待つこと15分、運ばれた皿をみて納得。
シャーシュウじゃなくて、焼き豚でした。豚のソテーってことで。
これもまた柔らかくてジュウシーで胡椒がぴりっとして美味しい。

と、ココまで食べて、もはや限界が近い。



ハレタ顔はピークに達し、あったかウーロン酎は半分も進まない。
ああもう帰って寝たいでござる、とその次の瞬間。

銀製の浅めの鍋に、青菜、ネギ、モロヘイヤが大量に刺さってる。
盛ってある、というより刺さってる。明らかに豚鍋殺人事件の様相。

かわいらしいガスコンロで、ひたすら火かけること15分。

グッタリした野菜のしたに、
これまた大量の白菜と、厚切のロース肉たちが
グツグツ煮えたほんのり透明な
とんこつ風さっぱりダシスープと絡み合っている。

恐る恐る小皿にとりわけ、
いやもう腹いっぱい顔で、スープをすすってみた。

ウ。

おもむろにしんなりした白菜を箸でつまんで口にいれる。

ウウ。

煮られてふんわりした豚肉をほうばる。

ウウウウウ。

美味い。

食欲なんてまるで丸々無いのに美味い。

青菜とモロヘイヤを豚肉とあわせて口に突っ込む。
あああああ至福。。


野菜が血になり豚が骨になってく音がする。ポコンポコンポコン。


腹の中でゴロゴロしてた毛玉が解けて流れていく。ハラリハラリハラリ。


あ、というまに八分まで実食。
さすがに平らげることができず、若干の白菜を残して
オネエサンにゴメンナサイをしました。


再びアルミの引き戸をくぐり表に出ると
最高気温8度の都内、冷たい風が首をかすめるにも
かかわらず、カラダはポカポカ。オナカはポッコリ。

こんな研究の成果なら、いつだって発表して欲しい。

そんなことどうでもよさそうな大人が集う店に違いない。

歳相応の悩みに聞く豚鍋、あります。

みたいな。長いな。



Hole In My Soul/Aerosmith