倉敷・大原美術館横「似顔絵・宏プロ」

倉敷・大原美術館横で長年・似顔絵を描き、お世話になっている者です。

倉敷にがおえエレジー 68回口、唇、歯考②

2004-10-21 08:06:07 | 掲示版(感想、批評何でもよろしく)
まだ他にも色々口の形があるが煩雑になりすぎるので、次ぎに口の形について書いてみよう。
 そもそも口の良相とは何といっても上下の釣り合いが取れ、口の輪郭が整い、ことに上唇の線が綺麗なのは経済的、精神的に恵まれた家庭に育った人だ。
 ただ形の悪い口でも口端に締まりあれば放蕩、官能をセーブする力があり、ベソ口も努力口に転換する働きを持つ事が出来るのだ。
 これは何度も言っているが、人相を見るにあたって孤立した特徴、すなわち口の形一つだけで判断するのではなく、鼻の形、あるいはそのその人自身の持つ調和感を形態学上の全体感に結びつけ、総合的に判断して貰いたい。

さて口の中は歯だが歯は葉に対応し、植物において葉は太陽の養分を取り入れるごとく、歯も人間にとっては栄養を取り入れる重要な部分である。
 そこで歯を細かく別けると切歯(門歯)八枚、犬歯四枚、臼歯二十枚の計三十枚になる。切歯は肉を切る為であり、臼歯は穀類を押し潰す為である。
 これは不思議な事に自然が定めた我々人間の食物を決定しているのであって、すなわち穀類が三分の二が菜食、三分の一が魚類、その他が肉類とという事になって、肉類は一周間に一度か二度食べるのが理想的な食事方法といえるのだ。
ところで人相学ては歯は兄弟運、肉親運など判断するのは、この三十二枚の歯のことごとく歯グキから出ているからで年齢、健康の良し悪しを判断するのも「年歯幾何」という言葉からでも解かるであろう。
 また歯と性格は非常に関連している事は統計的にも証明され、その例として悪質な犯罪者は反っ歯や乱杭歯の多い事実をみても分かる。
 昔かいい古されてきた言葉には歯並びの良い人は「言語に実を含み」といい、歯と歯の間がすいていたり、歯並びの悪い人は「嘘言を吐く者なり」と言われてきた。
 たしかに乱杭歯の人は性格短気、意地っぱりで品性粗野である。
 これを医学的に考察すれば、歯には自律神経が入っていて、つまり歯並び悪いのは自律神経に故障がある証拠といえる。
 昨今、筆者が似顔絵を描いていて若者に乱杭歯(医学用語でボトル・マウス)の増えているのを見、いかに自律神経失調症の若者が多いかを痛感し、心寒く感じいっているしだいである。

歯には反っ歯、鼠歯、八重歯等があるがここで注意したいのは、門歯の両側(側切歯)が尖っている相である。
 これは広津和郎の自伝小説の中に出てくる母娘の相がこの歯で、常に人生を退廃的に見、氏はこの二人の女に苦しめられた結果、こういう歯は何か我々に考えられない様な冷たい死生感が根ざしているのではなかと指摘されてられる。
 それにもう一つ怖いは「ハッチンソンの歯」だ。図を見て頂けば解かるが前歯がビヤ樽のような形で半月形に欠けている歯で、俺も思いあたる事は、ある娘がモデルになってやると言われ随喜の涙でいた所、何と彼女はこのハッチンン(先天性梅毒)の歯で、勃起したペニスが一度に萎えた経験がある。
 蛇足ながら諸氏もこの歯だけには気を付けて頂きたい。

ところで医者は望診術といって患者口を開けさせ、口の色、歯の形等を重視する。当初、人相学を研究したのは観相家、心理学者ではなく、医業に携わる人達であった。
 現状においてもドイツの医者・B・ゲルトネルは「病人の人相学」を著わし、カラーで様々な病人の顔を掲載している。
 日本でも医学界の御所・榊原博士は「心雑音ある子供で眉毛の広いのは、純形肺動弁狭窄が推定され、頭の四角な子は大血管置換によく見られる」と述べ、人相いうものに真剣に取り組み「病気と人相」の関係に科学的にメスを入れておられる。
 それでは氏の卓見と共に人相において病気を予知する方法を伝授したい。


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