現代日本人文芸

現代に生きる日本人の文芸です。小説、エッセイ、俳句、短歌、川柳、現代詩、日本の伝統文芸を愛し新しい日本の文芸を創作

二宮冬道小説:ある女医の遺書第45回

2012-01-28 06:35:10 | 日記

 真理が遺書を書いている間に久幸の父が立ててくれている真理が開業するはずだった医院が完成間近になっていた。

「私は久幸と由紀さんの結婚式を見て死のう」

 こう思った真理は久幸と由紀に自分の思いを告げた。

二人は、

「真理さんがそういうのなら」

 と一も二もなく真理に同意してくれたのである。

「私は新婦の姉として結婚式に参列します」

 真理は二人にこう言った。

この言葉に久幸が、

「あー・・・・・」

 と大声を出して男泣きに泣いた。由紀も泣いている。

真理は、

「二人とも泣かないで」

 と言ったが涙が零れ落ちて後は言葉にならなかった。


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