昨日、小林豊さんと1年ぶりにお会いした。
話は、私の旅の話も出たけれど、小林さんの新刊『ときの鐘』についてでした。
以前の繰り返しになりますが、表紙に描かれている東インド会社のマークの旗です。
13ページにも描かれている、暖簾と提灯の東インド会社のマーク。
当時、江戸時代に、このように堂々と江戸府内に、オランダの東インド会社のマークは、驚きでしたと言うと、小林さんは「1行、文献にあったんだよ」と、おっしゃった。
沢山、お読みになった文献の、その中のその1行を、見逃さないなんて、おこがましいけれど、さすがだ、と思った。
そして、そうか、こういうことなんだと、私は確信を持った。
以前、あさのあつこさんが、行灯を実際に作って、その灯りで夜、文字が読めるか実験したことがあるとおっしゃった。
ボールペンの文字も、万年筆のインクも文字も、行灯の明かりでは、暗くて読めなかったけれど、墨で書いた文字は、行灯の光を反射して読めたのだと言った。
こういうことが、実はとても、大事なことなんだと思う。
因みに、将軍謁見には、長崎出島のオランダ商館から、カピタン、書記、医師が江戸参府をすることが決まっていたという。
1633年から1850年まで218年間166回、行われた。
江戸の民衆達は、小林さんの絵本にあるように、こぞって好奇心に駆られ物見遊山のよう、異人見物をし、また交流もしたという。
ここにも、東インド会社のマークの旗があります。
裏表紙。
まるで参勤交代のようです。
鎖国時代というと、イメージはとても閉鎖的ですが、でも実は、江戸時代の人々の開放性、好奇心、親切心に気付く、きっかけになる絵本です。