
ピトシャン・ピトショ、これは主人公の少年の名前。
一度聞いたら、忘れられない。
絵本のタイトルは大概、忘れても、この固有名詞ピトシャン・ピトショを忘れる子は、いまだ知らないと言っても過言ではないのだ。
本屋さんの絵本コーナーには、いわゆる海外の名作、有名なロングセラーが、これでもかっていうぐらい、何十年経っても必ず並んでいるけれど、このピトシャン・ピトショの物語は、本屋さんでは探せないくらいのチョー隠れロングラン。
かつて、お母さんや幼稚園の先生の読んでくれた時の、ピトシャン・ピトショという音の印象が、記憶に深く残って、あの絵本はなんだったんだろう?と探索される絵本、No.1かも知れない。
そのピトシャン・ピトショが道ばたで拾ったお金で、イチジクを買って帰ったことから物語は始まる。
イチジクを庭に一個、おとしてしまい、それが、あれよあれよと育ってしまい、ピトシャン・ピトショが木の枝に飛び移り、食べようとすると、袋を担いだ大きなオニが!!
イチジクが欲しいオニに、ピトシャン・ピトショは袋にいれられてしまう。
そこからが、オニとピトシャン・ピトショとの、知恵比べというか、いかにもフランス的な皮肉たっぷりな、オニをオニとも思わないこまっしゃくれたピトシャン・ピトショの、爽快・明快、ちょっと残酷な(といっても、『かちかち山』程度の残酷ぶりです)、鬼退治物語。
子どもって、ちょっと毒の要素というか、皮肉や、エスプリが効いているお話しが、大人が思う以上に好きなんだなぁ。
この絵本、ほんと、子どもは大好きです。
カラフルで独創的な絵も、子どもにはウケルのだと思う。
1982年の出版。