

実に美しい日本語で書かれた作品だった。
主人公たち、四人の少女と少年たちは、背筋をシャンと伸ばし、たとえ、揺れることがあっても芯は決してぶれないのだ。
この物語は、進研ゼミの雑誌に連載され、多くの子どもたちの共感が寄せられたという。
その単行本二冊である。
懐かしく思うのとは、ちょっとちがう。
大人になってしまった自分が、忘れていなかったことを思い知った作品だった。
あさのあつこさんが雑誌のインタビューに答えていた文章を抜粋。
「私は、あくまでも児童文学者だと思っています。読み手の子どもたちに対して、今の社会の中でどう生きるべきか、答えを見つけ出そうとして、あがいている自分自身を伝えていきたい。これが答えであるというのではなくて、その答えを見つけ出そうしている姿を、物語を通して読んでほしい。という思いがあります。」(『Book&Bread』(JBBY発行 Vol.123号)