滋賀県・京都府とその周辺の山と滝

比良・鈴鹿山等の滋賀の山や京都北山を中心とした、山登り・滝巡りなどを写真で綴る個人記録帳です。

2020.09.27 北アルプス/槍ヶ岳@36年ぶりの槍は新穂高から日帰りピストンで

2020-09-27 23:18:54 | 中部地方の山と滝
2020.09.27[新穂高温泉無料駐車場04:45〜04:51新穂高温泉バス停〜04:56新穂高温泉駅〜05:10小鍋谷ゲート〜05:38穂高平小屋〜06:12白出沢出合06:23〜07:15滝谷07:22〜07:24藤木レリーフ〜08:02槍平小屋08:11〜09:30飛騨沢千丈乗越分岐09:41〜10:43飛騨乗越10:53〜11:01槍ヶ岳山荘11:16〜11:30槍ヶ岳11:51〜12:03槍ヶ岳山荘12:18〜12:50千丈乗越12:51〜13:06飛騨沢千丈乗越分岐〜14:04槍平小屋14:13〜14:40藤木レリーフ〜14:42滝谷14:52〜15:41白出沢出合15:53〜16:28穂高平小屋〜16:58小鍋谷ゲート〜17:10新穂高温泉駅〜17:14新穂高温泉バス停〜17:20新穂高温泉無料駐車場](距離28.36km 累積標高2594m)

山友のSさんから、槍ヶ岳日帰りに行きませんかとお誘い。
Sさんは9月に入ってから新穂高から奥穂へ(途中倒木等で断念/現在通行止め)、同じく南岳へ、新穂高拠点に2度の日帰りをしている。この槍ヶ岳で3度目。昨年同じく槍ヶ岳に日帰りで行った時は、ガスで何も見えなかったので、今回がリベンジということらしい。
4連休(シルバーウイーク)は人出も多いだろうから、その次週ということで計画するが、天気予報は芳しくない。台風は東の逸れたが、次の低気圧が日本の南岸沿いを東進、各地で大雨を降らし、山行予定当日もまだ関東沿岸にある予報。さらに日本海にも低気圧が発生、その後冬型気圧配置になるとのこと。2日前までの予報では、飛騨高山がくもり時々晴れ、信濃大町がくもり一時雨。北アルプスを境に東西で点予報が異なる。しかも気象庁の予報は信頼度は3段階中最低のCランク。どちらに転ぶかわからない天気ということ。いずれにしても山の上での好天は望めるものではない。

前日は丹生川の銚子の滝と平湯の大滝に立ち寄る。いずれも28年ぶり。銚子の滝は滝の前に大きめの駐車場があったように思うが今はない。平湯大滝は近づく道が通行止め、遠望で平常時より水量少なめでやや消化不良。
平湯の「ひらゆの森」で泊まる。露天風呂に入っているといきなりの雷と大雨。しばらく続き、翌日の天気が心配になるが、雨雲レーダーで確認したところ、翌日にやってきそうな大きな雨雲の塊はない。しかし山陰地方や北陸地方に冬型気圧配置特有の雲がかかっている。この雲があすこのあたりにまで流れ込んでこなければよいのだが。でも西風は山にあたって上昇気流を発生させ、やはり好天は見込まれない。

3時40分に起きて20分後には宿を出る。新穂高の無料駐車場は6~7割の駐車率。支度して4時45分に出発。意外にも一部星が輝いている。
歩き出して30分。どうも腰がだるく同行のSさんについて行けない。明らかに調子が悪い。これは途中断念もありうるなぁと思いつつ後を追いかける。

白出沢で朝食。出発時には星空も見えていたが今は上空は曇っており、白出沢を見上げるも標高2000mいかずして上部は雲で閉ざされている。
続いて滝谷で小休止。滝谷を見上げてもやはり上部は雲で真っ白。その下で雄滝の上半分が見えている。
そして小雨がぱらつきだした。

この先、徐々に変わる植生と数々の秋の花、ゴゼンタチバナの実などを愛でながら、緩やかに高度を上げる。木道になって河原に出ると小屋の屋根が見えてきて槍平。
ここでもエネルギー補給。美味しい水があるが、きょうは暑くもなく晴れもしないだろうから水の補給なしで大丈夫そうだ。
ダケカンバの森に変わるとやや紅葉の始まりかけ、夏が暑すぎてそれをずっと引きずる9月の気候だったので、まだまだ紅葉の準備は整っておらず10月に入らないと今年はダメなようだ。
このあたりから、だるかった腰はなんとか回復し、上り調子になってきていたが、僅かな雨ではあるが絶えず降っており、テンションはさほど上がらず。
カメラが濡れないようにタオルで巻き、次に休憩する時にはザックカバーを掛けて、必要なら雨具を着ようかと考えつつ登り、森林限界までやってくると雨は止んだ。しかし視界は50m~100mといったところだろうか。

千丈乗越分岐で休憩。すると突然、日射しを感じて山を見上げると、ガスは徐々に薄くなり山肌が見えるようになってきた。そしてわずか2~3分のうちに上部のガスはほぼなくなり青空が広がってきた。
これは想定外。でも良い方の想定外なので嬉しい限り。さすがにこれにはテンションが上がる。

ここからはジグザグの急登で苦しい道のりなのだが、天候の回復とともに、体調もすっかり回復、それに伴ってテンションも上がった加減もあって、最も辛いとされるきょうのコースの登りをあまり辛いとは感じなくなってきた。
同行のSさんは、いつも標高2700mくらいからは足が上がらなくなるんですよと、苦しみながらもスタスタと登り、さほど時間かからず飛驒乗越まで登り切る。
乗越でまず目に飛び込むのは東側の山々、雲がかかっている山が多いが、東鎌尾根のヒュッテ大槍から大天井岳や常念岳、蝶ヶ岳辺りが望め、足下には殺生ヒュッテがハッキリ見え、そこから登ってくる登山者が手に取るように見える。
南側はどっしりした黒い大喰岳が目の前に聳えている。今登ってきた道も千丈乗越分岐付近まで見えている。
そしてここ稜線に出て、ようやく槍ヶ岳がその姿を現す。飛驒沢の道はずっと槍の穂先を見上げながらの登りかなと思っていたが、意外にもここで初めて見える事を知った。
展望は諦めていただけにこれにはさすがに感激。

時々ガスが通るとさすがに寒いのでウインドブレーカーを羽織って最後の坂を登る。
その途中からさらに天候は回復。槍ヶ岳山荘に着く頃には真上はすっかり青空。槍の穂先が見事に見え、山荘の赤い屋根と青空の原色が、今までの白いガスに閉ざされていた風景との対比で、目が痛いほど眩しい。
山荘前は思っていたほどの登山者がおらず、密にならずにマスクの着用も必要なく、のんびりできるのがいい。Sさんは山荘でコーヒーを頼んでご満喫。

休憩後、荷物はデポしていよいよ穂先に登る。登っている人はまばら。ハシゴ場で少々待ったがスムーズに山頂に立つことができた。
山頂には7~8人程度。ゆったりしている。わたしたちの後から登ってくる人はおらず、滞在時間を気にせず山頂にいても大丈夫。混雑時には急かされるように下りなければならないと聞いていたのだったが、そんなことは全く気にせずにすむ。
飛驒乗越で見ていたより時よりも、青空面積が広く、見えている山々にかかっていた雲も少なくなっている。360度の眺望だが、部分的には雲がかかりスッキリ大パノラマというわけではない。大天井岳は見えるが常念岳や蝶ヶ岳は見えない、北鎌尾根や硫黄尾根はハッキリ見えるが、その奥の鷲羽岳や水晶岳、野口五郎岳は部分的に雲に隠れている。南は南岳まではよく見えるが穂高がなかなか姿を現してくれない。西では笠は全く見えないという感じ。
でもそれは贅沢というもの。雨が降るかも、しかも冬型気圧配置で寒いかも、よく見積もって雨は降らないにしても眺望は楽しめないだろうと踏んでいたところが、この天気である。予想していたものとのギャップはプラス方向に大きく、この状況は大満足だ。

普段は山頂での記念写真は撮らない私だが、珍しく近くにおられた方にお願いする。自分では写真は撮らないし、写真に写ることもしないSさんも、二人で撮ってもらおうという誘いに素直に応じてくれた。
山頂にいる人はみなさんテンションマックスで、知り合いのように話しかけてくるし、私も話しかけてしまう。
それに面白いのが登ってくる人の顔。最後の長い垂直梯子を登ってあと数段、顔が山上に覗かせた時のその顔の変化が、みなさん共通。ハシゴでちょっと緊張した顔の表情が一気にほぐれ満面の笑顔になる。誰もが最高だと思っているに違いない。
そんな景色を十分に楽しみ人間観察をして山頂をあとにする。

山荘前に戻ってくると同時に西からガスが上がってきて、徐々に視界が閉ざされ始めた。その前に一瞬、見事な三角錐の常念岳が姿を現したのは嬉しかった。
このあとふたたび晴れたかどうかわからないが、見事にわたしたちが山頂付近にいる時だけ晴れたということにしておきたい。
12時も回ったことなので下山を開始する。最高のご褒美をもらって気分よくこの場を後にできる。

下りは千丈乗越まで西鎌尾根を行く。右下に見るカール状の千丈沢が美しい。反対側には先ほど登ってきた飛驒沢源流の登山道が、草モミジの中にジグザグに続いているのが見えている。右後方には時々ガスの切れ間に餓鬼岳と燕岳が雲を纏いながらも望める。
千丈乗越からは急坂を下り、千丈乗越分岐で往路と合流。そのままどんどん下って行く。ここから下は再びガスの中に突入である。

ダケカンバ樹林帯での一部紅葉を、いかにも紅葉真っ盛りのように写真に収めたり、登りに撮りそびれた花や風景をも写真に撮りながら、速さをセーブして下って行く。
わたしは足の爪を痛めて浮いているのでそれを悪化させないように、Sさんは下りで痛む関節をかばいながらなので、跳んだり跳ねたりせず、きっちり足元を確かめながらなのでペースはそれほど上がらない。きょうはこのことを考慮してダブルストックで来ている。
再び周囲は濃いガスに閉ざされ、時々霧雨がパラつく。
槍平までは登りより長く感じられた。小屋の前で休憩しエネルギー補給。ここは下りも距離があるので補給が必須だ。

その後も滝谷、白出沢の要所要所で休憩しエネルギー補給する。普段、京都や滋賀の山での下りは一気に下ることも多く、エネルギー補給はほとんどしないが、今回は意識的に補給。それがよかったのか、後半の長い長い林道歩きはあまり疲れることなく下りきることができた。

そして新穂高温泉で日帰り湯に浸かり、夕食を済ませ京都に戻る。
天候面でも、体調面でも、非常に不安を抱えながらの登山だったが、終わってみれば、どちらも心配したほどではなく、日帰りではあったが槍ヶ岳を、また山登りという行動自体を十二分に楽しめたよい山行ができた。



午前4時40分、新穂高温泉駐車場(標高1050m)をヘッドランプを付けて出発
白出沢で朝食です
谷の上方はガスで真っ白


ガマズミの実かな?


アキノタムラソウですかね、それともアキチョウジですか?
とにかくシソ科の花です
このコースは谷に近く、陽の当たる場所も多いため、この時期でもたくさんの花が見られます


滝谷を渡る橋
このあたりから弱い雨が降ってきました


滝谷の上方もガスで真っ白
雄滝の上半分が見えています
滝のアップ写真はピンぼけでした


これもアキノタムラソウ?それともやっぱりアキチョウジ?


ゴゼンタチバナの実が登山道脇にいっぱい


センジュガンピ


穂高は雲の中


槍平到着


槍平
飛驒沢の対岸の山
やや黄色く色づいてきています


シラビソ?の森の中を登って行きます
良い香りがします


ダケカンバの大きな木


ウラジロナナカマドの実?


霧雨の中、ダケカンバの森を登ると
だんだん樹高が低くなってきて
森林限界が近いことを予感させられます


リンドウ(オヤマリンドウ?)は雨が降っているので花は閉じています


森林限界に達しました
標高2500m付近


千丈乗越分岐で休憩していると
にわかに空が明るくなってきました


そしてあっと言う間にガスが切れ
青空が


振り返ると奥丸山に続く尾根も見えてきました


少し反対側に目をそらしている間に
これから登る飛驒沢上部も晴れてきました


気分よく千丈乗越分岐を出発


こちらからは槍ヶ岳は見えないんですね


もうすぐ飛驒乗越
登ってきた道を振り返ったところ
またちょっとガスが登ってきています


ここに来てようやく槍ヶ岳の姿が


振り返ると堂々とした大喰岳


足下には殺生ヒュッテ
その上にヒュッテ大槍


槍ヶ岳山荘まで来ました
ちょうどガスが完全に切れ
眩いばかりの青空に


やっぱり絵になる山です


山荘前から殺生ヒュッテ
登ってくる人が手に取るように見えます


36年ぶりです
山荘もずいぶんと変わりましたね


硫黄尾根の向こうは鷲羽岳と水晶岳かな


いよいよ穂先に登ります


小槍と千丈沢


人がまばらだと思ったら


ここだけ上り下りが同じ場所なので少々順番待ち


最後の階段が見えてきました


まさに Stairway To Heaven


てっぺんから山荘を見下ろしたところ


大喰岳と南岳
残念ながらその奥(穂高)は見えません


天上沢と大天井岳ですね


北鎌尾根
カッコイイ!


山頂祠


前穂高が見えるかな?
この後再び隠れてしまいました


硫黄岳と奥は野口五郎岳かな


小槍と千丈沢


みなさん幸せそう




珍しく記念写真です


下りてきました


常念岳が姿を現してくれました


と思ったとたん、ガスが
その後隠れてしまいました


少し下って槍と小槍


往路の登山道を見下ろしながら尾根筋を下って行きます


これはニセ槍とでもいうのかな?


ガスが濃くなりつつある尾根を下って行きます


千丈沢を見下ろしたところ


イワツメグサはまだ花を咲かせていますね


振り返ると燕岳と餓鬼岳が見えました


ハイマツと千丈沢


ガスが切れましたが晴れ間はどこかに


千丈乗越で下りてきた道を振り返ったところ


ハイマツと千丈沢


アザミの分類はよく分かりません


千丈乗越分岐付近
このあたりがいちばん草紅葉が美しかったところです


霧をバックにダケカンバ


このあたり紅葉ですね




一番紅葉らしきところを切り取って撮影


セリ科もよく分かりません


飛?沢を振り返ってみたところ


そして滝谷を渡ります
ガスが低くまで下りてきています


滝谷より下は植生が変わります
苔むした大木が多い森をゆるやかに下っていきます


これはサワグルミかな


これはモミの木?


林道を下る途中の森もいい雰囲気です
これはサワグルミの大木


サラシナショウマかな?


カツラの大木


このあたり雰囲気の良い林道です




穂高平にあるカツラの巨木




新穂高に戻ってきました


さらに少し下って無料駐車場でゴール!

最新の画像もっと見る

コメントを投稿