滋賀県・京都府とその周辺の山と滝

比良・鈴鹿山等の滋賀の山や京都北山を中心とした、山登り・滝巡りなどを写真で綴る個人記録帳です。

2019.11.16 台高/34年ぶりの大杉谷(堂倉滝ピストン)

2019-11-16 23:50:12 | 東海地方の山と滝(鈴鹿以外)
2019.11.16[大杉谷登山口駐車場07:45〜07:49大杉谷登山口〜07:52宮川第3発電所〜08:02大日グラ吊橋08:03〜08:09能谷吊橋〜08:13地獄谷吊橋〜08:44日浦杉吊橋〜08:54千尋滝前休憩所08:58〜09:26シシ淵09:40〜09:50ニコニコ滝休憩所09:51〜09:59平等グラ吊橋10:01〜10:25桃の木山の家〜10:43七ツ釜滝休憩所11:00〜11:08七ツ釜落ち口11:10〜11:22崩壊地〜11:33光滝〜11:39隠滝〜11:46与八郎滝11:47〜12:01堂倉滝12:41〜12:54与八郎滝〜12:59隠滝13:01〜13:09光滝13:14〜13:18崩壊地〜13:42七ツ釜滝休憩所13:47〜13:59桃の木山の家14:05〜14:29平等グラ吊橋〜14:38ニコニコ滝休憩所14:39〜14:46シシ淵14:51〜15:30千尋滝前休憩所15:32〜15:43日浦杉吊橋〜16:08地獄谷吊橋〜16:12能谷吊橋〜16:18大日グラ吊橋〜16:29宮川第3発電所〜16:32大杉谷登山口〜16:36大杉谷登山口駐車場]with Sさん


山友のS氏を誘って大杉谷へ。2人とも体調がよくないので、取り敢えず行けるところまで行って、12時になったら引き返すということで駐車場を出発。

大杉谷は34年ぶり。前回は大杉集落で船に乗り遅れて、延々ダム湖サイトを途中猿の襲撃をかわしながら登山口まで歩いたものだ。
その日は光滝まで行ったところで、急な雷雨に見舞われ、引き返して桃の木山の家で宿泊。翌日、堂倉滝を目指そうと思っていたが、天候もイマイチでなんだかテンションが下がって、そのまま元来た道を引き返した。帰りは船に乗り遅れることはなかった。当時は車の乗り入れが大杉集落までだったのだ。

34年前の記憶は今でも案外とよく残っていて、そういえばこんな所を歩いたなぁと回顧しながら登山道を進む。吊橋は新調され、道も随分と歩きやすくなったイメージを受ける。
まずは本日の調子を把握するため、千尋滝まではちょっととばしてみる。すると万全とまでは言えないまでも、調子はそれほど悪くはなさそうで、予定より早く千尋滝に到着。
千尋滝さんお久しぶりです。
今年の秋前半は天候が不安定な日が多く雨量も多かったが、後半になってからは安定傾向で、雨量も少なかった割には、きょうの千尋滝の水量は少なくない。滝の下に紅葉した木があり、撮影のポイントとなる。

シシ淵までの行程も、以前のイメージより道は整備されているように思え、ペースをあまり落とさず歩くことができた。
この調子なら堂倉滝まで行けるのではないか、ここで照準を堂倉滝に合わせることにする。
シシ淵でしばし休憩。淵は浅くなってしまったような気がするが……
それでも奥に見える白い一筋の滝(ニコニコ滝)と手前のエメラルドグリーンのシシ淵、それを取り巻く岩、そこに一部紅葉した木々、絶妙な配置で本当に絵になる場所だ。

二本滝を横に見つつシシ淵を巻くルートに入ると、間もなくニコニコ滝が正面に見えてくる。以前は正面から見た時、下まで見えなかったような気がするのだが……そもそも道脇に眺望ポイントはあっただろうか?そのすぐ先の東屋からもたっぷり滝を堪能。
ここから平等グラまではそれほど距離はない。長い吊橋とそそり立つ平等グラ、このスケール感は半端ではない。木々がミニチュアのように見える。

道が整備され、さらに歩きやすくなったなと思ったら桃の木山の家に着く。24年前のイメージと全然変わらない。ここは通過。七ツ釜滝で休憩。エネルギー補給。
支流はそこそこの水量があったものの、上流で発電のために取水されている本流は最近の少雨傾向で水量が少ない。風格あり見事な造形美の七ツ釜だが、やせ細って元気なく見えてしまう。残念だ。渇水期は上流で取水せずに流してほしいところだ。

七ツ釜の落ち口に寄り道。労せずに落ち口に行けるとは想定外だった。1段目の大きくはないが底なしに思える漆黒の深い釜が印象的だ。何かブラックホールを彷彿とさせる(ブラックホールがどんなものだか全く概念さえもわかっていないのだが)。U字型に削られた川底から2段目が落ちるその向こうの世界は見えないが、川崎実著の「秘瀑-台高山脈珠玉の渓(山と溪谷社)」に載っている写真を思い浮かべ、現在のこの見ている風景とを頭の中で合成して楽しむ。なるほど。すごい。
ここからは少しだけ大岩が少なくなって歩きやすい川底を遡り、吊橋の先で登山道に上がる。このあたりは深いゴルジュ地形ではないが、小滝と深い淵、それに水面に映った紅葉、見事な渓谷美を堪能できる。

谷が左に曲がると急に開けて明るくなり、その先には大崩壊地が見える。16年豪雨で崩れた巨岩群を乗り越えると、おおよそ大杉谷には似つかわしくない広い河原で伏流となっている。

ここまで来てもペースを落とさず歩くことができている。要所要所では周囲を見渡し景色を楽しみながら、ちょっとした寄り道をしながら、また写真を撮りながらなので、一心に歩いているわけでもないのだが、コースタイムを大きく上回るペースで来ている。危険箇所も多いコースなので慎重に歩けという警告の意味を込めてのゆっくりコースタイム設定なのだろう。
12時になれば引き返そうと出発したわけだが、どうやら時間内に堂倉滝には到達できそうだ。

河原を過ぎると奥に光滝が見えてくる。登山道からやや離れた場所にあるため、落差40mの本流瀑の割には迫力を感じないが、渇水時期の今なら、岩の上を飛びながら近づいて滝を間近から見上げられそう。帰りに近づいてみることにしよう。光滝の上はすぐ隠滝で大きく深い滝壺の真上に吊橋が架かっている。
吊橋から身を乗り出して見下ろす滝壺は、浅いところがなく全面深い大杉ブルーの水で満たされ、じっと見ているとその表面の小さな波立つ揺れが催眠効果のように、まるで滝壺の別世界へと吸い込まれていきそうな感覚に陥る。

隠滝上や与八郎滝出合上流の細いゴルジュを上から見下ろすのも圧巻だ。
いよいよ取水口が見えてきて、その手前で吊橋を渡ると堂倉滝はすぐそこ。左の奥から滝音が近づいてくる。
視界が開け左に目をやると、そこは夢の世界のような空間。青々とした水で満たされている広く深い滝壺に落ちる堂々とした姿の堂倉滝が、どっと視界に飛び込んでくる。
ようやく34年前のリベンジでこの滝に会うことができた。感激で身震いがする。
きょうここまでに出会った(名のある)滝群の中では一番落差の小さい滝なのだが、滝本体の堂々たる姿に加え、巨大な滝壺とそれを取り巻く岩壁に囲まれた空間、周囲の植生、どれをとっても申し分ない景観で、他の大滝に引けを取らないどころか、大杉谷の中でも一級の滝と空間であると思う。

本日の最終目的地の堂倉滝には計ったようにちょうど12時に到着。
まずは滝壺に下りて滝と向かい合い深呼吸。ご挨拶ののち写真を撮りまくる。被写体がすばらしいだけにどの角度からでも、どこを切り取っても絵になる風景だ。
滝の前で握り飯を食べ、あたたかい紅茶を飲む。なんと贅沢なことだろうか。

40分少々この贅沢な一時を満喫して、引き返す。
与八郎滝では往路でも写真を撮っているのに、また同じ位置から撮ってしまう。
今回は三脚を立ててじっくりと滝撮影をしたかったのだが、ザックの外付けにするため岩角等にぶつけやすく、バランスを崩してはいけないこと。また体調がよかったわけではないので、なるべく荷を軽量にしたかったこと。と言う理由で三脚と交換レンズを持ってきていなかったのは、確かに残念ではあるが、ひとつひとつの滝撮影に三脚使用で時間をかけてしまっては、堂倉滝まで到達できなかっただろう。またいずれ三脚を抱えてゆっくり小屋泊まりで訪れてみよう。

往路では気づかなかったが、隠滝吊橋から光滝の落ち口が見える。隠滝の滝壺からあふれ出た水は、そのまま宙を躍り光滝となって落下していく。
ということは地図の光滝の位置は間違いじゃないですか。山と高原マップも国土地理院地形図も隠滝の位置は合っている。そのすぐ下に光滝の滝記号がなくてはならないのに、随分と下流に記されている。

光滝を今度は近寄って見上げて鑑賞する。顕著な滝壺はない。この大杉谷本流に位置する滝で滝壺がないのはこの滝だけだ。それは宙を躍って落ちる水が直接着地するのではなく、岩にぶつかって水勢を弱めて、さらに分散され流れ下ることで、滝壺を形成する力が弱まるからなのだろうと勝手に解釈する。

崩壊地を乗り越え、七ツ釜上流の岩棚に付けられた道を下り、今度は吊橋を渡って七ツ釜滝の東屋へと下りていく。そういえばこの七ツ釜滝上吊橋の地図の位置も間違っていますね。
七ツ釜滝にも再訪を約束してどんどん下る。平等グラから千尋滝間は本日小屋泊まり登山者のラッシュ時間帯のようで、道を譲ってばかり。なにぶん急斜面の細い道で岩場などでは離合困難で、後戻りして道を譲る場面も多々。

ニコニコ滝、シシ淵、千尋滝、やっぱり写真を撮ってしまいます。でも時間帯が違うので表情も違う。
千尋滝からはとりたててビューポイントもなく、ただ登山口まで歩くのみ。最後は大日グラ付近から大杉谷ブルーの川を名残惜しく拝ながら登山口まで戻るのでした。

体調よくなかったのに堂倉滝まで往復できたのはよかったです。(最後は小学生のような感想で)



宮川第3発電所の奥から登山道になります。


いきなりの水平歩道です。


美しい川に見とれていたら落ちますよぉ。


鎖がなくても大丈夫なんですが、まだ山に目が慣れていないので念のため持ちます。


ファインダーをのぞくと吸い込まれそうな感覚。


朝の風景ですね。気持ちいい。


しばらく平凡な河原なので、朝の日差しを浴びて河原歩きをしてもいいのですが、今日の行程は長いので、ここで飛び石で疲れてはいけません。歩道を歩きます。


1時間少々で千尋滝に着きました。ちょっとオーバーペースかな?滝下の紅葉がいいですね。


こちらは休憩所から見た千尋滝。


シシ淵手前のトンネルです。この中は雨降り状態、カメラをぶら下げているので走って通過。


トンネルを抜けました。


シシ淵の奥にはニコニコ滝。大杉谷定番の風景ですね。滝の映り込みもいい。


シシ淵、以前より浅くなりましたか?


シシ淵から少し登山道を登るとこの滝が落ちています。左にも、もう一本滝がかかっていて、二本滝とも言うそうですが、きょうは左の滝がお湿り程度でした。


ニコニコ滝を正面から。上方にも滝が見えますね。もともとニコニコ滝はこの連瀑の奥の方の滝を指すらしいのですが、いつしかこの出合の一番大きな滝をニコニコ滝と呼ぶようになったようです。


平等グラ吊橋を渡ります。この吊橋が一番長く、高度感もたっぷり。


吊橋から見た平等グラです。全体にハングってますね。


吊橋と平等グラ、スケール感がわかりますでしょうか。


平等グラ上部にだけ日が当たり青空に突きあげています。


平等グラを対岸からぐるりと回り込むように道が付けられていますので、ずっと右手には刻々と形を変える平等グラが眺められます。


歩きやすい水平道になってきたら間もなく桃の木山の家です。これも定番の風景ですね。


七ツ釜滝、最下段の滝が見えてきました。美しい大杉ブルーに見とれます。


間もなく七ツ釜滝展望所です。本流瀑なのですが上流の堂倉谷出合下流で発電用に取水されているので、水量少なくちょっと貧相ですね。


それでも「日本の滝100選」のひとつだけあって、風格があり美しい。


七ツ釜滝を越えるのに登りが続きます。ここで振り返ると下方に七ツ釜滝展望所の東屋が見えます。


七ツ釜滝落ち口に寄り道します。七ツ釜滝とはその名の通り7つの滝と釜で構成されているもので、ここの足下の滝(次の写真)が1段目、この先から落ちるのが見えない2段目、そして展望所からも見える有名な3.4.5段目の滝と続きます。


七ツ釜1段目です。滝は小さいのですが巨大なポットホール型の釜を持ちます。深さは底知れず真っ黒です。


七ツ釜上流は穏やかな渓相となります。


水面に映る紅葉がすばらしい。


この淵にも紅葉が映っています。


映り込みをアップで。


谷が左に回り込んで明るくなったら16年豪雨で発生した崩壊地が見えてきます。巨岩の迷路を行きます。


崩壊地上部から下流を眺めたところ。今日は快晴で申し分ない天気なのですが、なにぶん深い谷底に付けられた登山道なので、日が射しません。唯一この崩壊地前後で太陽光を存分に浴びることができます。


光滝が見えてきました。帰りに滝の下まで寄ろうと思います。対岸の紅葉が眩しい。


光滝の上はすぐ隠滝。でも左側の細い流れしか見ることはできません。この滝壺も相当深そうです。


隠滝吊橋で渡っていきます。のぞき込むとすばらしい滝壺が眺められます。


対岸から落ちる与八郎さんです。


本流にも滝はあるのですが、この程度なら名もありません。


いよいよ、堂倉滝です。来て良かった、まずそう思えるすばらしい滝と淵です。


このブルーもまた美しい。夏の暑い日に泳ぎたいですね。


滝の前には登山口から数えて11番目の吊橋が架かっています。


吊橋の下から堂倉滝を眺めるとさらに堂々とした風格が感じられます。


お見事です。名残惜しゅうございますが、帰路も長いことなのでおいとまいたします。


与八郎滝出合より少し上流の大杉谷本谷は、石灰岩のような白い岩のゴルジュの渓相です。


帰路もそれぞれの滝の写真を撮ることを忘れません。与八郎さんまた来ますね。


光滝の落ち口です。地図の光滝の位置が間違っていますね。


こちらは隠滝の滝壺を吊橋から見下ろしたところ。この渓谷中、一番の淵ではないでしょうか。どうしてもワイヤーが写ってしまいます。


吊橋脇からのぞき込んでも隠滝は見えません。岩の右側に隠れて落ちています。やっぱり吊橋のワーヤーが写ってしまいます。


光滝の下に寄り道。水量が多いとその名の通り白く光って轟々と流れ落ちているのでしょうね。


光滝向かいにある岩峰も絵になる風景です。


崩壊地の上はせき止められ土砂が堆積し河原になっています。


崩壊地を振り返ります。


大岩累々から再び美しい渓相に変わったところにある静かな淵。


この淵の横を通過します。


七ツ釜滝上の吊橋が見えてきました。


七ツ釜滝に再びご挨拶してどんどん下ります。全行程にわたりこのような鎖場がいっぱいあります。


桃の木山の家を過ぎ、平等グラまで下ってきました。


平等グラと吊橋を再び。


ニコニコ滝さんにもまた来るからねとご挨拶。


紅葉と滝をアップで。


千尋さん、ではまた。


最後にもう一度目に焼き付けておきます。


さて千尋滝から登山口までは滝などのビューポイントも少なく、長く感じられるルートです。足早に通過。途中の苔むした岩ゴロゴロ地帯で水分補給。


大日グラが見えてきたら、あとひと息。


紅葉を正面に見ながら吊橋を通過。


本日は楽しませていただきました。大杉谷に感謝しつつ駐車場に戻ります。

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