頸肩腕症候群との日々

「けいけんわんしょうこうぐん」とは?「肩こり」レベルを軽く超えています。「目に見えない症状」って意外にやっかいですよ~

周囲の皆様へ

2007年11月13日 | あなたへ
ご家族・ご友人・職場の方々など、頸肩腕症候群患者と接する機会がある皆様へ。
少し長くなりますが、一患者よりお話を聞いていただければと思います。

当然、全てのケースを知っているわけではありませんが、頸肩腕症候群患者は
肩こりや腕・肩の痛みなどを我慢し続けて罹患に至っていることがほとんどだと
思います。もしかすると、その罹患過程で仕事に支障をきたすなどのご迷惑を
かけていたかもしれません。
罹患過程・罹患原因や症状(軽症~重症)は人それぞれ異なるため、一概には
いえませんが、少なくとも診断前や診断直後は患者の身体にとって、非常に辛い
時期だということは申し上げられます。
それから、快復過程も人それぞれです。
あの人がこうだったからこの人もこうだろうとは誰も予測がつきません。
患者本人にもわかりません。

お願いできればと思うのは、できれば聞く耳を持って患者の話を聞いていただき、
状況や症状をできるだけ想像していただきたいということです。

人間、自分が経験していないことは想像しにくいものです。
話を聞いてもにわかには信じがたいでしょうし、想像もできないことでしょう。
それでも、話す時の表情や身体の位置の動きなど、言葉以外の見えない言葉にも
メッセージがあります。どうか耳を傾けてみてください。

ある人は痛いそぶりを全く見せずに平然と話すかもしれません。
ある人は痛く辛いのを我慢しているため、ぶっきらぼうな話し方かもしれません。
ある人はわかってもらえないために、ほとんど説明しないかもしれません。
それでも聞いていただきたいのです。
見た目でわかる病気ではないからです。


甘えでこのようなことを申し上げているのではありません。
例えば、その話す相手が「自分は癌だ」と説明し出したらどうなさいますか。
癌専門機関で検査を受けた、そういった方から切り出される話とは受け取るほうも
対応が異なるということは承知しています。
また、軽々しく癌を引き合いに出すなと思われる方もいらっしゃると思います。
頸肩腕症候群は直接死と隣りあわせてはいません。
でも何かの病気であるということは同じです。

そして、確かに命にかかわりはありませんが、この病気はある意味、社会的な死に
直面しているといえるとも思うのです。
治療を受けながら仕事をこなしていても、身体を守るために、残業禁止などの
制約があるかもしれません。
一定期間の休職をせざるを得ない場合、その期間は完全に仕事ができません。
また、復職後すぐに以前と全く同じように働けるわけでもありません。
退職せざるを得ない場合は、完全に仕事から切り離されます。
退職理由も正確には理解されないかもしれません。


どんな理由であれ、療養期間中はどうしても本人に焦りが出ます。
最初はそう見えないかもしれません。
本人も「痛い」「しんどい」が先行してそれどころではないかもしれません。
焦りは療養期間が長引けば長引くほど、強く出てきます。
もう自分は社会復帰できないのではないか、復帰できたとしても以前と同じように
仕事はできないのではないだろうか、自分は社会にとって必要ないのではないか、
そういった焦りが出てくるのです。
ヘタをするとどんどん気が滅入ってきます。
気分転換をすればいいというレベルではなくなっているかもしれません。

患者にはどうか、「なんともなさそうじゃない」「怠けてるんじゃないの?」
「元気?」「元気そうだね」「何もしなくていいなんて羨ましいよ」「気のせい」
などの言葉は投げつけないでください。
一見ささいなこれらの言葉は、時に受け取る側にとっては言葉の暴力となります。
被害者意識で書いているわけではありません。事実です。
挨拶代わりであろう「元気?」という言葉ですら、最初のうちは笑って流せても、
何度も何度も言われると返事のしように困ってしまいます。

誰でも辛いことやしんどいことのひとつやふたつはかかえている、特別扱いしろと
言っているのか、と思われるかもしれません。
でも、そうではないことを知っていただきたいのです。

風邪をひけば、何日か布団に伏せることもあるでしょう。
怪我をすれば、治癒までに痛くて不自由な生活を送らざるを得ないでしょう。
それと似たようなものだとまずは考えていただきたいのです。
そして、もう少し深く長い目で見ていただきたいのです。


患者はその日によって、痛む個所や痛み方が異なります。
昨日はなんでもなさそうだったのに、今日は急に寝込んでいる、ということも
おそらくあると思います。
身体の状態は正直、その日にならないとわからないのです。
本人は全く意図していません。「よし、明日は寝込むぞ」などと。
むしろ、「寝込みたくない」という思いのほうが強いはずです。

日常生活でありがちな行動。
例えば、少し調子のいい日。部屋をきれいに片付けたとします。
おそらくその晩か翌日には、患者は痛みを訴えるか、痛くて寝込むでしょう。
例えば、たくさん料理をした日。
料理を作っただけで疲れきって、食べられなくなります。
何でもなさそうに動いていたから大丈夫ということではないのです。


癌や心疾患・脳疾患など、有名な病名だけが病気の全てではありません。
世の中にはあまり人に知られていない病気も多数存在するのです。
こんな偉そうな文章を書いている自分も、一体どれだけの病気がこの世の中に
存在するのかは知りません。

知らないものに出会った時。
まず冷静に、じっくり話を聞いて知ろうとしてくださると嬉しいのです。
そこから少し想像力をめぐらせていただければもっと嬉しいのです。
身体の痛みはすぐになくならなくても、こころの痛みはなくなるかもしれません。


あなたにお願いです。
あなたの周りに頸肩腕症候群や聞いたことのない病気の患者がいたら、その患者の
体調が許す限り、その人の話を聞いてください。
見せかけ・口先だけの同情はけっこうです。
あなたがそうされたら嫌だなと思うことは、相手にもどうかしないでください。

一方的な言い分で申し訳ありません。
患者は自分の症状を相手にする他に、わかってもらえるか全く不明な周りの方々も
相手にしているのです。
皆辛いのに何故こいつだけが、ではなく、自分がその人だったらどうだろうと、
ほんの少し想像してみてください。
何かが少し変わるかもしれません。あなたにとっても患者にとっても。

長い文章、読んでいただきありがとうございました。

あなたへ 2

2007年01月13日 | あなたへ
おそらくこのブログをご覧にはなっていないであろうあなたへ。
パソコンを立ち上げるのさえ辛く、立ち上げても短時間で必要なページを見るのが
精一杯のあなたへ。
どうぞ無理はなさらないでください。
このブログの存在に気づかなくともかまいません。
それでも、どうしても書いておきたいのです。

あなたはひとりではありません。


わたしたちの周囲には同じ病気の人はほとんどいません。
骨折してギプスをはめているわけでも、目に見えて痩せてしまうわけでもない、
全く症状が目に見えないこの頸肩腕症候群。
説明しても一向に関心を持ってもらえず、逆に周囲の人々に心配をかけまいと
痛いそぶりを抑えてしまうがために、余計傷つく言葉を返されたりする病気。
どうしたらいいのかわからなくなって、言葉につまり、説明を諦めたりすることも
往々にしてあります。

何もしていなくても痛いのに、自分がやらなければならない状況。
何かすればそれが引き金になって、歯をくいしばって痛みを我慢するような状況。
でも周囲はそれに気づかない。
何をしているのかと不審な目で見られたりすることさえあります。

認知度が低いがための理不尽な目。理不尽な言葉。
何と闘っているのかわからなくなることもあります。
死因に繋がるわけではないので、マスコミも国も積極的に動くことはありません。
明らかに仕事が原因の罹患でも、有無を言わさぬ形で証明することができなければ
労災認定されません。
例え重症であっても何の補償もされません。

センセーショナルではないから。
インパクト、緊迫感がないと思われがちだから。
忙しければ忙しいほど、徐々に進む症状には気づきにくいから。
積み重なった些細な我慢と緊張がさらに症状を気づきにくくさせているから。
その痛みや辛さは目に見えないから・・・


仕事でがんばりすぎてしまうあなたへ。
常に突っ走りながら、今やこれからの仕事の段取りを考えているあなたへ。
今でも山ほどある仕事を抱えているのに、頼まれるとつい他の仕事も快く
引き受けてしまうあなたへ。
どうか少しだけ立ち止まって、ご自分の身体の声に耳を傾けてください。

孤独な中で病気と闘っているあなたへ。
理解のない周囲への説明に疲れてしまったあなたへ。
同じ病気で働けず、療養・闘病している仲間がいます。
余計な説明に労力を費やすことなく理解し合える仲間はきっと見つかります。
どうかがんばりすぎないでください。
あなたはひとりではありません。

あの時こうすればよかったと後悔することは、人生には往々にしてあります。
この病気に限らず、どんな場面においても。
後悔したら、次は前を向いて、今何ができるのか数えてみましょう。
心身共に休養をとる、楽しいことを増やす、自分のリラックス方法を研究する、
好きな歌や曲を自分だけの応援歌にしてしまう、弱音を吐く場所を見つける、
ストレス発散法をいくつも見つける・・・
他にも、症状が目に見えないがために周囲の理解を得られない病気は沢山あります。
同じ病気ではなくても、お互いに話がしやすいかもしれません。

前を向き始めても、やっぱりまた後悔したり弱音を吐きたくなることもあります。
それはそれでいいと思います。
後悔だけしていた時・弱音だけ吐いていた時よりも、前進していると思うから。
弱音は吐けるところで吐いてしまってください。
そして、少しだけ今までの視点を変えてみてください。
療養生活中でもやることは沢山あります。

自分も試行錯誤しながら、後悔の嵐に飲み込まれながら、でも生きています。
人間、弱い部分もあるけれど、けっこうしぶとい生き物です。
今はこんな文章読んでいる場合ではないあなたにこそ読んでいただければ。
えらそうなこと書いて、と思った方、申し訳ありません。

でも、あなたはひとりではありませんよ~



※こちらのブログをご覧いただき、ありがとうございます。
はじめての方は、このブログの方向性などを書いた  「ご案内」の記事 を
ぜひご覧くださいますようお願い申し上げます。  (↑クリックすると開きます)


「頸肩腕症候群」知名度アップのために、ご協力いただければ幸いです。
ブログランキングへ


1月24日追記:
1月23日にgooブログ編集画面の「ホットブログ」でこの記事が紹介されたため、
大勢の皆様にご覧いただきました。
自分自身気づくのが遅かったこともありますが、大変驚いております。
これをきっかけに、少しでもこの病気に関心を持っていただけると嬉しいです。
goo事務局の担当者様、読んでくださった方々、どうもありがとうございます。
痛みも含めた体調などに左右されるため、記事の更新などは不定期になりますが、
またご覧いただければ幸いです。

重症化する前に

2006年06月20日 | あなたへ
自分がこのブログを続けているのは、自分自身の記録とその時々に思ったことを
書きとめる要素が大きい。
その他にも、同じ頸肩腕症候群の方にあなたは一人ではないんです、仲間がいますと
伝えたいことと、重症化する前の予備軍の方にもご覧いただければという願いがある。
(以前も同じようなことをたぶん書いていると思うけど)


とにかく目に見えない「痛み」は人様の理解を得られない。
実際は痛みだけではなく、痺れやだるさ、全身疲労や睡眠障害などの症状もあり、
症状がひどければひどいほど、仕事をするどころの話ではなく、日常生活にすら
支障をきたす。
少し無理をすれば疲れと痛みで寝込むし、重い物も持てずに苦労する。
このブログも、気合で書き続けている部分は全くない、とは言い切れない。

例えば食事一つとっても、まず包丁を持って皮を剥いたり、切る作業がつらい。
中身の入った鍋やフライパンを持つのがつらい。
挙句の果ては、作るだけで腕が痛くなり疲れきってしまう時もある。
下手すると疲れて食欲がなくなり、ほとんど食べる気が起こらなくなる。
食欲がなくならないまでも、右腕が痛くて箸を使えず、スプーンやフォークを
使って左手で食べることもある。
大げさに書いているのではなく、実際自分がそうだった。

「凝り→痛い」程度ならば、その時点で適切な診察と治療を受けることができれば、
軽症のうちにすむと思う。
痺れや全身疲労や睡眠障害まで起こしていたら、それはおそらく重症か、
重症一歩手前ではないかと自分の経験から感じる。
重症化すると療養生活が何年も続くことになる。
精神的にもしんどくなる。
自分自身がリラックスできるようなことをいくつも見つけていかないと、
長い療養生活、おかしくなってしまいそうだ。まじめな話。
写真がやたらに載っているのもそのひとつ。

普通の整形外科に行っても、レントゲンや診察の結果、特に目に見える患部が
見つからない。そのため、診断名がつかなかったり、診断名がついても適切な
説明や治療、療養指導が行われなかったり。
その結果、休養が必要なほどであってもそれに気づかずさらに悪化させて
しまうかもしれない。
また、「肩こりがひどいくらいで病院に行くのもいかがなものか」と、仕事が
忙しいことを理由に、そもそも病院にも行かず、自分のように悪化させる方も
いらっしゃるかもしれない。


上肢を酷使するお仕事の方へ。

首・肩の凝りが痛みに変わり、腕や背中までくるようになり、疲れが抜けないなと
感じるようになったら、もうそれ以上ひどくなる前に病院にいらしてください。
身近な整形外科で納得のいく説明がなかったり、軽く扱われるようでしたら、
頸肩腕症候群専門の病院にかかることを、どうぞ検討してみてください。
お一人で悩まないでください。
それ以上、あなたの症状をひどくしてほしくはないのです。
自分のようになってほしくはないのです。
重症者の自分からのお願いです。

言葉

2006年06月05日 | あなたへ
何度かこのタイトルで書いてはいるけれど、
言葉が見つからなくて困る場面に時々出会う。

ない頭を振り絞って考えた言葉を相手に渡す。
言葉を渡した後も、果たしてあの言葉でよかったのか、
もっと別な言い方もあったのではないかと考え込む。

「がんばって」と言うのは簡単だ。
言われた方は・・・社交辞令と受け取って流すしかない場合もある。
言う方も・・・他に言葉が見つからずに言ってしまう場合もある。

「がんばって」
言うのも言われるのも本当はあまり好きではない。
他にいい言葉があったらこんな言葉は使いたくはない。



入院される方へ。
手術される方へ。
リハビリ中の方へ。
痛みと闘っている方へ。
確実なゴールがあるわけではない闘いに向かう方へ。
先が見えなくても立ち向かわなくてはいけない方へ。

「あなたの素敵な笑顔、また拝見できるのを楽しみにしています」

あなたへ。
今の自分からの、精一杯の言葉です。
それから、溢れんばかりの花を。
精一杯の気持ちです。





あなたへ

2005年11月08日 | あなたへ
現在、頸肩腕症候群(頚肩腕症候群)と闘っているあなたへ。

このブログを読んでくださってありがとうございます。
自分がこのブログを続けているのは、自分の症状の記録と、こういう事実があることを
知っていただきたいということが主な理由です。何度か書いていることでもありますが。

頸肩腕症候群になった経緯や症状は人それぞれ違っても、同じ病気であるからこそ
分かり合えることも沢山あると思います。自分もまだまだ模索中のことが多いですが、
このブログが少しでもご参考になれば幸いです。


「あなたは一人ではありません。他にも闘っている仲間はいますよ。
だからへこむことがあっても、完治という目標に向けて、少しでも前向きな気持ちで
進んでいきましょう!」


*****

以下、少し長くなりますが、具体的に書いてみます。
これらはメールのやり取りを通して最近気づいたことです。
(今頃気づくなんて、間抜けですね)
流れとしてはこうなるのではないかな、と。

1.「自分一人だけではないという孤独感の解消」
2.「病気の受容」
3.「前向きな気持ち」
(「孤独感の解消」と「病気の受容」は同時並行する場合もあるかもしれません)


1.「自分一人だけではないという孤独感の解消」

もちろん色々な話を聞いてもらったり、少しでも理解してもらえるよう周囲に説明したりと
いったことはしてきているつもりですが、正直、説明不足なども重なり孤独感をかなり強く
感じていた時期がありました。
痛みや痺れなどに苦しみ、どうやって復帰していくのか、あなた一人だけの悩みではないと
思います。このブログが、まずあなたの孤独感解消のきっかけになればうれしいです。


2.「病気の受容」

自分の病気を自分自身が受容すること、周りの人に少しでも理解をしてもらうことの2つ。

家族や友人たちがいても、何が痛いのか、しんどいのか、完全にわかってもらうことは
難しいです。
でも自分で自分自身の病気を受け入れて理解することで、周りの人へ理解を求められるように
なるのではないでしょうか。自分も周囲への理解を得るという点ではまだまだですが、
病気の受容は自分の場合、「開き直る」ことから始まりました。

線維筋痛症と闘う「タケブロ」のタケさんという方がいらっしゃいます。
とてもパワーのあるブログであり、その内容は病気の受容のことなど、他の病気の方にも
非常に参考になるのではないかと思っています。


3.「前向きな気持ち」

何かあるたびに様々な人から言われた、様々な言葉を思い出しますが、その中で
「後ろ向きなだけの愚痴は嫌いだ。前向きな愚痴ならいい」とよく言っていた友人がいました。
前に進むために吐く弱音ならばいいけれど、何の進展もないままに、ただぐずぐずと
同じことばかり言い続けるのはやめようという意味です。
「同病相哀れむ」的なことや、感傷に浸ったままのことを書き続けるのは後ろ向きだと
思いますし、あまり意味のないことでもありますので、そういったことはなるべく書かない
努力をするつもりです。

自分が以前よりも前を向き、少し強くなれたかなと思えたのは、この病気と気長に
付き合っていくしかないと何度も言い聞かせて自分を納得させた時と、労災申請資料を
作成し終えた時です(追加資料も作りましたので、結局数ヶ月間かかりました)。

前向きになるための方法は人それぞれ探すしかないのかもしれません。療養と同じです。
例えば、ノートやパソコンなどに今自分が思っていることやつらいことを、まずランダムに
書き出していくこともひとつの方法ではないでしょうか。
何かに書き出したり人に話すことによって、自分の考えや進む方向性が見えてくるのは、
病気に限らずよくあることだと思います。

現在闘病中の方、既に完治された方の体験なども教えていただけると、とてもうれしいです。
また、ご意見などございましたら、こちらのコメント欄もしくは自己紹介欄の
メールアドレスまでお願いいたします。

※この記事を書くにあたり、はっぴぃさんにご協力をいただきました。
どうもありがとうございました。