Dancing on the B-Road

サッカー中心だけどスポーツ全般。クルマやバイクも。好奇心の向くがままにツレヅレに、を目標にしております。

マーチ・エンジニアリング。

2014-02-28 20:13:37 | レーシング版雑記
フォーミュラ1なかりせば。


 そんなことを思う,コンストラクターです。
 確かに,フォーミュラ1での活躍はいまでも印象に残っています。いますが,フォーミュラ1での活動が,ほかのカテゴリでの存在感を急激に落とす,その要因になってしまったことがもったいない,と思うのです。


 今回はレーシングなお話,マーチ・エンジニアリング社について書いていこう,と思います。


 個人的に思い浮かぶレーシング・マシンは,ちょっとマニアでありますが,F2マシンであったり国際F3000,そしてグループCを戦っていたマシンであります。
 まだまだ免許適齢には程遠い年齢だったころ,土曜日の午後だったり日曜日には国内F2選手権やF3000選手権の中継があったように記憶しています。そのときに,鈴鹿やFISCOのグリッドに並んでいたのが,マーチが手掛けるマシンだったわけです。
 その後,フォーミュラについての技術規定が変更になって国際F3000規定へと移行すると,マーチも引き続きマシン供給を行います。思うに,この時期のマーチ社は最も存在感が強かったのではないでしょうか。


 マーチ社にとって岐路となったのは,このあとの時期ではなかったかな,と思います。オープンホイーラーで言えば,トップ・フォーミュラへの参戦が始まり,グループCマシンで考えるならば,日産とのパートナーシップが終了した時期,であります。


 恐らく,日産がグループCマシンの製作をマーチ社からローラ社へとスイッチした,その背景にはマーチ社の資源がフォーミュラ1へと集中していったことが作用しているのではないか,と思います。日産はこの時期,グループCの体制を見直していたと言います。水野さんがグループC開発のために呼ばれた時期だそうです。エンジンにしても,それまでの手堅い(と好意的に書けば書けますが,実際にはちょっとばかり重かったようです。)設計を抜本的に見直しはじめた時期とされます。となると,シャシー・エンジニアリングにしても抜本的な見直しが求められていたとしても,それほどの不思議はありません。


 このときに,日産のリクエストに応えられる体制があったか,となると,フォーミュラ1での活動を最優先していただろうマーチの姿が見えるように思うのです。日産の求めるスケジュールでマシンを製作することが,恐らく無理だったのではないかな,と思うわけです。


 フォーミュラ1での活動を振り返るに,現代のフォーミュラ1,その萌芽とも言えるような要素が落とし込まれるなど,時代を部分的にせよ飛び越えた設計がされていたように思います。それだけに,と言いますかその代わり,と言いますか,相当の資源を投入する必要があったものと思います。加えて参戦後期には資金的な問題(当時のメイン・スポンサーにまつわる問題に巻き込まれた)もあって,屋台骨が相当に揺らぐことになったように思います。


 伝統あるレース屋さん,と言いますか技術屋集団ではありましたが,残念ながらいまはその名前を見つけることができない。彼らが現代にも活動を継続していたならば,どのようなカテゴリに魅力を見出し,クルマをリリースしていただろうか,とちょっとばかりパラレル・ワールドを想像してみたりします。

2ドア・セダン。

2014-02-26 22:02:19 | クルマ生活版日々雑記
失礼ながら,営業車のイメージでした。


 いまですと,軽自動車を営業車として使っているケースが多いかな,と思いますし,コンパクトを使うケースもあるように思います。けれど当時は,ハッチバックがそれほど一般的ではなかった,という側面もあるのでしょうが,フォーマルな雰囲気を持ったセダンを使いたい,という意識も作用していたのでしょう,2ドア・セダンが使われていたように思うのです。
 しかし,海外へと目を転じると,意外にレーシングな世界でこのボディ・タイプは重宝されていたように思います。フォード・コーティナだったり,BMWの02シリーズだったり。空力面を考えると,決して最適解ではなかったのかも知れませんが,剛性面では意外なアドバンテージを持っていたのではないかな,と推察します。


 再び,絶滅種なボディタイプのお話を書いてみようと思います。


 まず,なぜに2ドア・セダンが絶滅種になったかを考えてみると,やはり後席の使い勝手が大きく関わっているように思います。後席の居住性だけを考えると,決して2ドア・セダンは悪くない居住性を持っている,と思います。いわゆるクーペ・ボディとは違って大きくルーフが後方に向かって下げられているわけでもありませんし,であればリア・ウィンドウの角度もそれほど寝かされているわけではありません。乗り込んでしまえば,それほどの痛痒は感じない,はずなのです。


 ですけれど,乗り込むまでが大きな問題であるのも確かです。


 後席に誰かを案内する,となったときに,シートを倒して案内するのか,それともリア・ドアを開けて案内するのか。乗りやすさを考えれば,答えは書くまでもない話,ではないでしょうか。恐らく,カローラが発表された1966年当時は,ドアを用意することのコストが量産車種,それも大きな販売ボリュームを狙うべきクルマには大きすぎる,という判断もあったのかも知れません。しかし,それほど時期を置かずに4ドア・モデルが追加されたようですから,やはり大衆車にあってもフォーマル性を求める,と言いますか,4ドア・モデルが持つ実用性が重宝された,ということでありましょう。


 いまでも,この発想は生きているようです。


 たとえばスマートはシティ・コミュータとしての性格を端的に表現するかのように,2シータを採用していました。この居住性そのものは決して悪くない,と言いますか,かなり良好なフットウェルを持っていたように記憶していますが,なかなか日本市場では存在感を高めることができなかったようにも思います。それほど使う時間は長くないけれど,後席があるかないか,が判断材料になっていたようなのです。


 使う場面は少ないけれど,でも後席はあった方がいい。で,使うときにはスマートに誰かを後席へと案内したい。となると,2ドアよりも4ドアだ,と。


 現代は,ハッチバック・ボディが主流となっていますが,このハッチバック・ボディにしても3ドア(2ドア)を用意するメーカは決して多くはなくて,4ドアだけを用意するメーカの方が多い。となると,そもそも販売ボリュームが小さなセダン,そこでさらにボリュームの小さな2ドアはディスコン,という判断になるのも仕方ない,のかも知れません。


 


 

ペリカーノ・ジュニア。

2014-02-18 20:31:16 | mono的雑記
まいどおなじみ,の衝動買いであります。


 しかも,2回連続であります。
 最初は,浦和の文房具店でありました。
 取り立てて,何を買おうというつもりもなく,ほぼ「冷やかし」に近い状態でのぞいていたのですが,目にしてみるとなかなかにいい。とは言いながら,このまま買っていくのもどうだろう,と考え直して,所用をすませてから戻ってみることにしました。


 やっぱり,気になるのでありますね。
 と理由を付けつつ,しっかりお持ち帰りであります。
 今回はひさびさにmonoなお話,ペリカーノ・ジュニアについて書いていこう,と思います。


 このペリカーノ・ジュニア,ペリカン社が学童向けに開発した万年筆だそうです。日本で言えば,書き方用の位置付けでしょうか。そのために,指を添える部分に一工夫が施されています。親指を置く位置,人差し指を置く位置などのガイドがあらかじめ用意されているのです。このガイドによって,ペンの持ち方を覚えることができるわけですね。
 で,書き味でありますが,かなり良好なものです。このペリカーノに取り付けられているペン先はA,比較的太めな文字を書けるものですが,スムーズな書き味だな,と思います。


 このペリカーノ,ペリカンの万年筆を持っているひとからすると,イメージとは大きく違うカジュアルさではないかな,と思いますが,学童向け,というにはなかなかにデザインがオシャレな,ペンクリップはないけれどたとえばジャケットの胸ポケットに無造作にささっていてもいい,そんなペンではないでしょうか。


 案外に,万年筆を普段使いするというのは難しい話ではありません。もちろん,複写用紙を使う,なんて場面ではさすがに難しいですが,ちょっとしたサインであるとかを書くときのスムーズさは万年筆ならではかな,と思うわけです。
 たとえば,ボールペンで書類にサインを,となると,自然にチカラが入っているかな,と思います。筆圧,ということでありますが,万年筆はそれほどの筆圧を必要としません。インクがスムーズにペン先へと導かれるために,筆圧を高めにする,その必要性が薄いわけです。であれば,チカラが入った書き方からも解放されますので,字の印象も(当然,いい方向にですけど。)変わってくるのではないかな,と思います。


 にしても,です。


 オシャレな雰囲気で,しかもお値段控えめで。で,筆記具としての基本はしっかりと押さえていて。となると,気に入ったカラーも買ってみよう,となって,結果銀座の伊東屋さんでも買うことになるのですから,モノ好きというのはどの分野にあっても(なんのかんのと理由を付けつつ)基本的な行動には変化がない,という次第でございます。

対策を上回る対策(ワイルドナイツ対サンゴリアス戦)。

2014-02-12 22:19:51 | スポーツ版雑記
自分たちの戦い方に,相手を引き込む。


 そのためには,相手の戦い方を分析することが大事であります。
 分析して,どの部分を抑え込めば相手が強みを出しにくくなるか,見つけ出すわけです。そして,どう抑え込むべきか,自分たちの戦い方と突き合わせて,戦術的な約束事,と言いますか,・・・対策な戦い方を組み立てていくのであります。


 レギュラーシーズンの段階で,相手を引き込むことに成功したのはワイルドナイツでした。サンゴリアスがどんな攻撃リズムを持っているのか,ワイルドナイツは徹底的に彼らの戦い方を分析して,守備応対の方法を組み立ててきたように思うのです。
 サンゴリアスは,この対策を乗り越えることができませんでした。
 今度は,サンゴリアスがワイルドナイツ対策を組み立てる順番です。
 彼らが仕掛けてくる守備応対をかいくぐるためには,攻撃面でどんな微調整を仕掛ける必要があるのか。そして,守備応対面でどのような準備をするべきか。


 対策の打ち合い,という側面が決勝戦にはあったように思うのです。
 ということで今回は,建国記念の日に順延となった決勝戦について書いてみよう,と思います。


 ごく大ざっぱに試合を振り返ると,前半段階は立ち上がりにワイルドナイツが試合を動かした直後の時間帯でサンゴリアスが主導権を奪い,後半段階になるとワイルドナイツが主導権を奪い返した,という印象であります。


 秩父宮のスタンドから見る限り,サンゴリアスは攻撃リズムの微調整をかけてきたように思います。彼らは,相手守備ラインに対して斜めに仕掛けていく,そのタイミングをちょっとだけずらす,あるいは斜めを意識して距離感を調整している守備ラインに対して,敢えてシンプルに縦を狙う攻撃の形へと変えてきたように思うのです。そのためか,サンゴリアスの攻撃は「個」を強く感じさせるものになっていたように思います。


 対してワイルドナイツは,リードを許してハーフタイムを迎えても,大きな動揺をしていなかったように思います。むしろ冷静に課題をチェックして,その課題を修正することを強く意識して後半に入ってきたように思うのです。
 そして印象的だったのは,トライ奪取を強く意識付けるのではなくて,相手が犯した反則を的確に突いて,PGによって得点を積み重ねる,というアプローチを徹底してきたことです。守備応対,というと,ワイルドナイツの守備応対が個人的には思い浮かぶのですが,実際にはサンゴリアスの守備応対もかなり攻撃的で,攻撃フェイズを単純に積み重ねるだけだと,かえって相手に攻撃のきっかけを与えることになりかねない,という部分があります。それだけ,ボール奪取の鋭さがサンゴリアスにはある,ということですが,そんなリスクを巧みに回避しながらPGによって主導権を奪いにいく,という判断が,チームに徹底されていたように思うのです。


 相手の戦い方を分析,研究することで,自分たちの戦い方へと相手を嵌め込む,そのきっかけをつかむ。お互いに,そんなアプローチを徹底していただろうことが,この日の秩父宮からは感じられました。対策の打ち合い,というべきかも知れません。そんな対策,ワイルドナイツがちょっとだけ上回った,というのがこの日の決勝戦ではなかったかな,と思います。

CLAにCDI。

2014-02-10 17:04:23 | クルマ生活版日々雑記
バッジの数字と,排気量が一致しない。


 CLAにもあてはまる話であります。
 たとえば,スタンダードグレードである180は1600ccのエンジンを搭載していますが,「性能的には」1800ccエンジンと同等のものがある,という意味だろう,と思いますが180という数字を冠しています。上級車種である250にしても同じです。


 この,180と250の中間をディーゼルで,というのがメルセデスの戦略であるようです。今回は,こちらの記事をもとに,メルセデスの追加車種について書いてみよう,と思います。


 さて,この記事をごく大ざっぱにまとめますと,メルセデスはAクラスにBクラス,そしてCLAクラスに2200cc(正確には,2143cc)・直列4気筒ディーゼルターボを搭載するグレードを追加する,とのことであります。このエンジンには高性能版と通常版が用意され,高性能版は220,通常版については200というグレードネームになるのだそうです。


 この記事で紹介されているスペックと既存の車種体系を突き合わせてみますと,なるほど巧みに中間を埋めてきたな,という印象です。このことを裏返してみると,すでに投入されているガソリン・エンジンは,ダウンサイジング・コンセプトを採用してはいますが,すでに実用的なトルクを発揮できている,ということになるかな,と思います。多段化されたトランスミッションと組み合わせることで,トルクバンドを低めに設定して,ガソリン・エンジンをディーゼル的に使いこなす(エンジンを回して速度を乗せるのではなくて,むしろエンジンを回させずにトルクバンドを外さずに速度を乗せる)ことが可能になっているように思うのであります。
 であれば,スペック的な特徴を押し出すのではなくて,むしろ燃料消費率や二酸化炭素排出量など,環境負荷に関わる部分でのディーゼルの優位性を顧客にアピールする,そんな位置付けではないか,と思います。


 環境対応,というと,どうしてもエレキ関連を思い浮かべます。


 けれど,エレキだけが解なのかな,という思いもあったりします。既存のエンジンに,進化の余地は残されていないのだろうか,と。そんな疑問に対して,マツダはスカイアクティブというコンセプトを持ち出すことで違う解の導き方を示してきたように思います。そしてメルセデスは早い段階から,内燃機関の進化の可能性を模索していたように記憶しています。ガソリンだけ,ハイブリッドだけ,あるいはディーゼルだけが環境対応型エンジン,というわけではなくて,顧客のひとたちがどんなクルマの使い方をするかによって,最適な環境対応型エンジンが選べる,そんな姿が理想かな,と思うのです。


 であれば,ぜひとも小さなボディのディーゼルをメルセデスには国内導入してほしいな,と思うのであります。

降雪順延。

2014-02-09 18:51:38 | スポーツ版雑記
降雨には強い競技なのですが。


 降雪ばかりは,どうにもならないでしょうね。
 最高の状態で決勝戦を,と思えば,雪が降るなかを強行するよりも日程をあらためて,という判断はやむを得ないもの,ではないでしょうか。


 今回は,JRFUからのリリースをもとに,ラグビーのお話であります。


 と,その前にちょっと雑記からはじめます。


 寒が明けて,立春を経過したあたりの時期は,関東地方で雪を警戒しなくてはいけない時期のように感じますが,今回の降雪は歴史的,と形容すべきものでした。私が住んでいるところ,そのおとなりの街の測候所で観測された降雪量はなんと!40cmだったそうです。そんなに降ったことがあるのか!?と思いますと,やはり記録を相当にさかのぼらないと見つけることのできない数字なのだとか。
 一夜明けて,駐車スペースに置いてあるクルマの屋根を眺めてみると,これまでの常識を大きく越える雪の量!でありました。雨ならば,勝手に流れていってくれるのでありますが,雪は何もしないと結構な時間,その場にとどまっております。見た目にはキレイなのでありますが,その実,ホントに厄介な存在,であります。ですので,ご推察通り,ほぼ半日程度は雪かきに費やされたのであります。


 というように,関東各地がかなりの降雪であったわけです。


 その翌日,ではあるのですが,交通が大幅に乱れている状態は解消されてはおりません。もともと雪に弱い,とされる関東エリアに歴史的な降雪量,でありますから,どうしても対応が後手に回ってしまう。開催,という判断をしたとして,お客さまが競技場へと向かう,そのための足が確保できない状態だったわけです。
 加えて,競技場の除雪が相当に大きな問題だったのではないか,と推察します。競技を行うにあたって最も重要なフィールドの除雪にしても,かなりの時間が必要なはずです。また,屋根が架かっていないスタンドの除雪などを含めて考えると,時間が圧倒的に足りないでありましょう。安全にお越しいただく,という部分で問題があるし,ベストな状態で決勝戦を戦ってもらう,という側面から見ても問題がある。そこで,9日にセットされていた決勝戦を11日に繰り延べる,とのリリースが出されたわけです。


 9日に向けてコンディショニングしてきたチームにとっては,ピークのセットをやり直すなど,デメリットもあるかも知れませんが,ぜひともしっかりとリセットしていい決勝戦を,と思うところであります。

2.0TFSI、そして“ultra”。

2014-02-06 19:33:39 | クルマ生活版日々雑記
小排気量エンジンで,大きなボディを引っ張る。


 たとえば,セグメントDやEを想定してみますと。


 これまでならば直列6気筒やV型6気筒,あるいはそれ以上の多気筒・大排気量エンジンを搭載していたセグメントですが,このセグメントに小さな排気量のエンジンを搭載する,“ダウンサイジング・コンセプト”であります。BMWですと,かつては直列6気筒を搭載していた5シリーズに2000cc・直列4気筒ターボを搭載していますし,メルセデスもEクラスに2000cc・直列4気筒ターボを搭載するグレードを用意しています。


 廉価版,という位置付けにはなるか,と私自身も思いますが,反面で最も技術的に面白いグレードではないかな,と思ってもいます。そんなグレードが,アウディにも用意されました,というお話をこちらの記事をもとに書いていこう,と思います。


 今回追加されたのは,2000cc・直列4気筒ターボで前輪を駆動する,2.0TFSIであります。





 アウディと言えばフルタイム4WD,という認識からすると,後輪は駆動されないという部分に残念な感じがしないでもありませんが,セグメントEな車体を小排気量エンジンと無段変速トランスミッションで引っ張る,というのは結構面白いのではないかな,と思っています。エンジン単体の重量が軽ければ,運動性能にもポジティブな影響があるのではないか,と思うわけです。


 ただ,個人的にはさらに期待したいクルマがありまして。


 こちらの記事で取り上げられている,“ultra”レンジであります。2000cc・直列4気筒のディーゼルターボでA6の車体を232kmまで引っ張ることができるのだとか。ディーゼルのトルク特性を思えば,低回転域,と言いますか,トルクの美味しい部分を使える回転域を繋いでいくような走らせ方をしてあげれば,エンジンをそれほど高回転域まで追い込まずとも驚くような加速感が感じられる,はずです。


 個人的に思うアウディは,ディーゼルに積極的なメーカ,というものです。LMPマシンに早い時期からディーゼル・エンジンを搭載,その可能性をレーシングな環境で証明してきました。けれど,残念ながら日本市場ではディーゼルの導入に対して積極的ではありません。ディーゼルに対するイメージが決して良くはないこと,環境対応型エンジンとして,ハイブリッドだけがイメージを確立している,という判断があったのでしょう。
 けれど,ほかのメーカはアウディが躊躇している間に,ディーゼルの存在感を地道に高める,その努力をしてきました。メルセデスはブルーテックを投入,ディーゼル再導入の先駆けとなりましたし,BMWはブルーパフォーマンス・レンジを積極的に拡大することで,ディーゼルを武器にしています。国産メーカで言えば,マツダはスカイアクティブ・テクノロジーの大きな柱としてディーゼルを投入しています。


 アウディは,“Vorsprung durch Technik”というスローガンを掲げています。このスローガンをもっと幅の広い商品レンジで実感させてほしい,と個人的には思いますし,環境対策はハイブリッドだけでもないし,EVだけでもない,と思っています。マツダが言うように,すべてのエンジンに環境対応が求められるはずですし,どれが最適解,という話ではなくて「選べること」,使うひとの使い方にあわせたパワーユニットが用意されていることが重要ではないか,と思うのです。
 ぜひとも,“ultra”レンジの日本市場導入を,と思っています。

日産とラリー。

2014-02-02 20:51:28 | レーシング版雑記
日産を代表するレーシング・エンジン,と考えるに。


 たとえば,グループCに使われたVRHを思い浮かべたり,LMP2に使われているVK,そして当然,グループAからJGTC,グループNなどに使われたRB26を思い浮かべるひとが多いのではないかな,と思います。


 これらのエンジンは,レース・トラックを主戦場としてきました。
 スポーツカー・レーシング,あるいはツーリングカーの世界で日産はその存在感を示していた,という見方もできるかな,と思いますが,実際にはレース・トラック「だけ」を舞台としていたわけではありません。そこで今回は,ちょっと期待を込めてラリーな日産の話を書いてみよう,と思います。


 さて。歴史の針を大きく巻き戻してみることにします。


 アウディ・クワトロがラリー・レーシングの世界にひとつの「最適解」を見せ付けた,それ以前の段階であります。この時期のラリー・マシンは,ある意味でバラエティに富んでいたようです。子どもの頃に読んでいたポケット図鑑には,レーシングカーを紹介するセクションが用意されていて,そこにはメルセデス・ベンツSLCやフォード・エスコート,フィアット131やオペル・カデットなどと並んで,日産のバイオレットが紹介されていました。


 このバイオレット,耐久色の強いラリーでは相当に強かったとのことです。スポーツカー・レーシングでは,ル・マン制覇にこだわってきた日産でありますが,ラリーの世界ではサファリを特別なイベントとして位置付けていた,ということではないかな,と思うのですが,実際日産はバイオレットでサファリ4連覇を達成した,ということです。


 この4連覇以降が,なかなかつながらなかった,というのがもったいないな,と思うのです。特に,901運動前後の時期,日産はラリーでの存在感を強めようとして,ベース車両を拡充する方向に動いていたように記憶しています。確か,マーチやブルーバードにラリー参戦を前提とする車両を用意したりしていました。これらの車両はプライベティアを支えるという役割を果たしていたように思いますが,これらの頂点として,日産のラリー活動のイメージを引っ張るべきパルサーが思うような活躍を示せなかったことが大きいように思うのです。


 パルサーに用意されたGTI-Rは,確かにデルタ・フォーマットを踏襲するものでした。でしたが,BNR32では実現できていたことが,このGTI-Rでは抜け落ちていたように感じられます。つまり,技術規則を読み込んで,エンジン性能とタイアサイズのバランスを見極める,という部分が抜けてしまったように思うのです。グループA規定は,排気量によって使用可能なタイアサイズが厳密に決められていた,と記憶しています。パワーを引き出すことができたとして,そのパワーを受け止められるだけのタイアサイズを確保できないと,そのパワーは戦闘力に結び付いてくれません。
 また,GTI-Rは冷却性に問題を抱えていた,ともいいます。もともと,冷却性を意識して大きなエア・インレットを用意していたようには思うのですが,エアを効率的に抜く設計にはなっていなかったのかも知れません。


 というように,不完全燃焼な形でWRCへのチャレンジを終えると,ファクトリーとしての活動はクレジットされないままにいまに至っているわけです。


 いまのWRCを見ると,日産に限らず国産車メーカの存在感は薄いものがあります。恐らく,最も可能性が高いのはトヨタ,かも知れませんが,個人的には再び埃をまとった日産のラリー・マシンを見てみたい,と言いますか,リアルタイムでWRCを戦う日産を再び見てみたい,と思います。乗り越えるべきハードルは相当に多い(のみならず,高い)と思いますが,スポーツカー・レーシングのように,モータースポーツ好きを驚かせるリリースを見てみたい,と思っています。