Dancing on the B-Road

サッカー中心だけどスポーツ全般。クルマやバイクも。好奇心の向くがままにツレヅレに、を目標にしております。

グランツーリスモ。

2014-04-30 22:22:02 | クルマ生活版日々雑記
ポリフォニー・デジタルさんの作品を思い浮かべる方も多いでしょう。


 と言いますか,圧倒的に多いのではないでしょうか。
 けれど,今回のカテゴリは,クルマであります。
 前回に引き続き,ちょっとばかり古いクルマの話をしてみよう,と思います。


 では,いつものように歴史の針を巻き戻してみることにします。個人的に,国産車のビンティッジ・イヤーだと思っている1989年,その2年前がY31型が発表された年,であります。この時期の日産は,クラウンと真っ向勝負,ではなくて,ちょっと違う個性でクラウンと勝負しようと考えはじめたのではないか,と思っています。現在,クラウンはアスリートとロイヤルという,2つのモデル・レンジを用意していますが,この2つの異なる個性という基本発想は,日産がトヨタに対抗する手段として持ち込んだものでもあるのです。いまでこそ,クラウンは個性を強く訴求する方向性ですが,かつてのクラウンはかなり保守的だった,という記憶があります。たとえば,デザインでチャレンジを仕掛けたとしても,その次のモデルではその反動か,手堅いデザインを採用してくる,などという印象が残っています。


 手堅いクラウンに対して,どのような個性を打ち出すか。


 おそらく,商品開発の出発点はこのようなアイディアだったのではないかな,と思います。そこで日産がキーワードとして持ち出したのは,“スポーツ性”でした。もともとのセドリックでありグロリアが表現してきた部分を踏襲する路線は,430型から設定されたグレード・ネームを使った“ブロアム”レンジが受け持つ。新たにスポーツ性を表現する,つまりは想定顧客層を変えたモデル・レンジを,“グランツーリスモ”としたのです。この商品戦略,相当程度に成功したようです。日産が解釈するクラウン,ではなくて,セドリック,あるいはグロリア独自の個性として,市場に受け入れられたように思うのです。実際,このモデルレンジはY33型まで用意されます。


 では,このモデルレンジがなぜ,フェードアウトすることになったのか。


 セドリックとグロリア,それぞれに個性を与えよう,という判断があったから,のようです。セドリックには,“ブロアム”が受け持っていた商品イメージを与え,グロリアには“グランツーリスモ”が受け持ってきたイメージを落とし込む。なるほど,と思う話ではあるのですが,Y34型は必ずしも商業的に成功したとは言いがたいものがあります。


 日産のモデル・レンジで,セドリックを引き継ぐのはフーガ,でありましょう。ディメンションを見ると,ちょっと上方移行しているように思いますが,そのフーガを見ると,“ブロアム”を受け継ぐ“VIP”というグレードが用意されてはいるものの,“GT”というグレード・ネームを中心としていることからも“グランツーリスモ”の血統にあるものと思います。日産の大型車,その個性を決定づけたグレードが,“グランツーリスモ”であった,という見方も決してアンフェアではない,と個人的には思っています。

レパード。

2014-04-27 20:29:22 | クルマ生活版日々雑記
端的に,もったいない。


 すべてのタイミングが,ちょっとずつズレている。
 ズレているがために,市場からの評価を得られなかった。
 そんな印象を持っているクルマであります。


 ・・・初代の話であります。念のため。


 今回は,市場の評価が決して高くはなかったクルマ(直接的な言い方をしてしまえば,失敗作,となりましょうが。)である,日産レパード(初代モデル)について書いてみよう,と思います。


 さて。まずはデザインを振り返ってみますと。


 もちろん,現代と比較しますと面の張りはそれほどでもありませんし,エッジの印象もかなり直接的です。バンパーなどのデザイン処理には,1980年代という時代を強く感じさせる手法が落とし込まれてもいます。しかしながら,現代のクルマでも応用されているデザイン処理が,すでにこのクルマには施されていました。Cピラーをガラスで隠すことで,Cピラーからリア・ウィンドウへの連続性を印象付ける,というデザイン処理を施してきたのであります。このデザイン処理,現代のクルマですと,ジャガーXJが取り入れているデザイン手法とある程度の相似形を描くものではないか,と思います。当時は,Cピラーを隠す処理を施してくるクルマはほとんどありませんでした。ほぼ同時期にリリースされたソアラにしても,ここまで手の込んだ処理をしていたわけではありません。


 というように,デザイン面だけで言えば,なかなかの意欲作ではあったのですが,メカニカルな部分は意欲的,と言うよりも「手堅さ(あるいは慎重さ)」が印象に残るものです。


 このクルマに搭載されていたのは,直列6気筒であるL型と直列4気筒であるZ型であります。仮定論,ではあるのですが,日産の主力エンジンがL型からVG型へと切り替わる時期とこのレパードが発表される時期が重なっていたならば,そして,6気筒エンジンだけを搭載する,という判断ができていたならば,話はちょっと違っていたのではないかな,と思うのです。けれど,日産はVG型をグロリア・セドリックから搭載してきます。このクルマには,間に合うことがなかったのです。加えて書けば,VG型が追加された時期もちょっとばかり遅かった。


 これまで日産がリリースしてきたクルマとは違う個性を打ち出しながら,メカニカルな部分では意欲的な部分が抑え込まれてしまって,結果として個性がぼやけてしまった。商品としての一貫性が表現できなかった,とも言えましょうか。この影響は相当に大きかったのではないか,と思います。


 2代目になると,4ドア・ハードトップは廃止されて2ドアだけ,デザインも初代から大きく印象を変えたものへと変化します。ここから再び4ドア・ボディを採用したか,と思えば,再びデザインの方向性が変わって,さらには不思議な名前が付けられもしました。最終的には,グロリア/セドリックの新たなバリエーションなのかな,というような位置付けになってしまった。


 冒頭にも書きましたが,初代のデザインは現代的な目線から見てもそれほど古さを感じるものではありません。であれば,現代的な再解釈をした初代レパード,というのも見てみたい気がするのです。

ラニア・コンセプト。

2014-04-24 17:43:11 | クルマ生活版日々雑記
たとえば,セグメントCのスポーツ・セダン。


 最近,欧州メーカが注力している商品領域であります。
 ありますが,国産車メーカでこの持ち駒を持っているメーカはごく限られています。どちらかと言うと,セグメントが上方移行してしまっていて,実質的なセグメントDとして理解すべきクルマだったりします。
 それでも,まだ駒があればいいのですけど,駒そのものを持っていないメーカもあります。そんなメーカが日産だと思うわけですが,ひょっとすると,このコンセプトは(ちょっとばかり遅いんですけど)「観測気球」ではないかな,と思います。





 今回は,こちらの記事をもとに日産が北京モーターショーに出展したコンセプト,“ラニア”について書いていこうと思います。


 さて。いつものようにデザインの話からはじめますと。


 フロント・セクションは日産が導入を進めているデザイン言語がしっかりと落とし込まれていて,ライト・ハウジングを見ると,フェアレディやGT-R的な雰囲気の造形となっています。サイドを眺めると,東京モーターショーに持ち込まれたIDxで採用されたCピラーの処理などが反復されているようで,全体的には日産がこれまで発表してきたデザイン要素をうまく組み合わせているようです。で,全体的にはスポーティなまとめ方をしているな,と思います。


 と書いてみましたが,最も重要なのはこの記事で扱われていない部分,ディメンションではないか,と思っています。


 このオフィシャル・フォトを見る限り,それほど大きなディメンションではないのかな,と思っています。大きくてもセグメントD,恐らくはセグメントCか,それよりもちょっとだけ大きめのディメンションではないかな,と推理しています。この大きさのクルマ,日産にあっては「隙間」になっている部分ではないか,と思っています。
 現在,日産が国内市場に投入しているセダンを思い浮かべてみると,想定顧客層がかなり上になっているように思います。このセダンをそのまま,中国市場に持ち込むわけにはいかない。何しろ,セグメントCのセダン・ボディとなると,アウディやメルセデスと真正面から勝負を挑むことになるわけです。明確な個性がなくてはいけないし,当然ながら実用性がなくてはいけないし。


 さすがにコンセプトですから,このオフィシャル・フォトだけで市販化の可能性を見るのは難しいのですが,少なくとも日産はスポーティなライド感を感じさせるセダンを手掛ける,その必要性は高いものと思っています。どのような反応があるかは分かりませんが,ぜひとも勝負を挑んで(市販化に踏み切って)ほしい,と思っています。

エスコート。

2014-04-21 21:50:39 | クルマ生活版日々雑記
リアルタイムなのは,“RSコスワース”ですけれど。


 個人的に印象深いのは,“エスコートMk1”なのであります。当然,リアルタイム世代というわけではありませんで,いつもの通り,ポケット図鑑がファースト・コンタクトなのでありますが。


 今回は,こちらのニュース記事をもとに,フォード・エスコートについて書いてみよう,と思います。


 この記事で扱われているのは,中国市場に投入される新型セダン,であります。この記事で紹介されているオフィシャル・フォトを眺めてみますに,フロント・セクションは最近のフォード,そのデザイン・キューを踏襲していますが,フォーカスやフィエスタと比較すると,それほどスポーティさを強く訴求する方向には振っていないようです。どちらかと言えば手堅い,かつての欧州フォードの持っていた雰囲気に近いようです。


 そんなかつての姿を,ちょっと書いてみようか,と思います。


 では,手始めにRSコスワースが仕立てられる,そのちょっと前にまで時計の針を戻してみよう,と思います。当時,フォードのグループAマシンは“シエラ・コスワース”でありました。となると,エッゲンバーガーがオペレートしていたマシンを思い浮かべるひとも多いのではないか,と思います。というように,ラリー・レーシング,ではなくて,レース・トラックのイメージが強かったわけですが,ラリーの世界にもこのシエラは持ち込まれていました。
 しかし。ラリー・マシンの最適解は,グループA規定であっても4WDでありました。対して,FRであるシエラは,ターマックでは戦闘力を持っていたものの,やはりグラベルでは厳しいものがあったようです。そこで,シエラ・サファイア・コスワースを仕立て,4WDマシンを投入するのですが,今度はボディサイズがネガティブな要素となってしまいます。


 フォードが持っているリソースで,グループA規定での最適解を仕立てる。そこで選択されたのが,エスコートだったのです。ベースとなるエスコートを見ると,やはり手堅いセグメントCのクルマで,取り立てて強い個性を持っている,という感じではありません。エンジンの搭載方向も,シエラとは違う。シエラのパワートレーンを移植するとしても,破綻なく収めるのは難しかったのではないか,と思うのですが,フォードの開発陣としてはディメンションを最優先事項としてエスコートを選んだのではないか,と見ています。


 いつも書いていること,ではありますが,現代のクルマはさまざまな要請を充足すべく,ボディが大型化する傾向です。けれど,道路環境がクルマの大型化に追い付いている,というわけではないのも確かです。当時のクルマが持っていたコンパクトさ,というのは現代においても武器ではないか。エスコート・セダンに限らず,フォーカス・セダンも高い商品性を持っている(日本市場で,勝負できる)のではないか,と思うのです。

回転木戸。

2014-04-18 22:50:48 | サッカー版雑記
ちょっと,場面設定してみましょうか。


 私たちは,リヴァプール・ストリート駅にいます。
 待っているのは,エンフィールド・タウンへ向かう郊外電車です。
 と言っても,エンフィールド・タウンに向かうわけではなくて,途中にある駅が目的地への最寄駅です。最寄駅は,ホワイト・ハート・レーンであります。


 お分かりの方もおられましょうか。
 トットナム・ホットスパーの本拠地,ホワイト・ハート・レーン競技場へと向かおうとしている,そんな場面設定でありますね。


 で,駅からちょっと歩いて競技場へ,と。
 当然,チケットを持っております。
 このチケットチェックがどういう場所で行われるのか,というのが今回のお話でありまして,回転木戸,ターンスティルなんて言い方をします。


 このターンスティル,普段は狭い木製の扉だけが見えている状態です。ですので,どこから競技場内へとアクセスするのだろう,と最初は疑問に思うわけです。この疑問が解けるのは,当然ながらマッチデイのとき,であります。この木製の扉が開けられると,ひとりだけが通過できる通路が見えています。チケットを確認する係員のひとにチケットを提示して,回転扉(とは言いましたが,ホントの扉ではなくて,回転する柵のようなものですね。)を押して競技場内へと入る,というわけなのです。


 対して,国立競技場や埼玉スタジアムなどを思い浮かべると,ひとの動きを明確に規制する仕掛けが用意されているわけではありません。どちらかと言えば,昔の改札口のような感じ,であります。より多くのひとをスムーズに競技場内へと誘導するためには,確かに回転木戸よりも適している,とは思いますが,反面でセキュリティ面での問題が発生する,その可能性を持ったやり方である,とも言えるように思います。たとえば,券種の違うチケットで競技場内へと入ろうとしたり,(基本的には考えたくないこと,ではありますが)クラブから入場禁止を申し渡されているひとが入ろうとするときに,明確なチェックがしにくい,という側面もあるように思うのです。


 セキュリティ面などを考えると,確かに回転木戸には理由がある,と言いますか,ある種の必然性を持って設置されているのだろう,と思うのですが,個人的には,狭い入口を抜けて,観客席へと向かうその道筋に,サッカー競技場へと足を踏み入れたという実感が強く感じられて,何か演出効果があるような,そんな印象を持っていたりするのです。

「ヒルズブラの悲劇」から25年。

2014-04-17 21:44:44 | サッカー版雑記
イングランドのサッカー競技場には,ないものがあります。


 金網であり,ピッチと観客席を隔てる堀です。
 たとえば,イタリアのサッカー競技場では観客席とピッチを隔てるように金網が設置されているのを見ることができるかな,と思いますが,イングランドの競技寿には設置されていません。その代わり,警備を担当される方が多数配置されている姿を見ることができます。


 そして,いまのイングランドの競技場には設置が義務づけられているものがあります。ピッチへと直接救急車がアクセスするための通路,です。


 これらの「ない」ものと,「ある」ものが定められるようになった,あまりに不幸なきっかけが発生してから25年の節目が経過しました,というお話をこちらの記事をもとに書いていこう,と思います。


 ヒルズブラの悲劇は,収容定員を大きく超える観客が押し寄せたことによって発生した事故であります。この事故から25年という節目で,追悼式典が行われたのはアンフィールド競技場です。しかし,事故の現場となったのはシェフィールドにあるヒルズブラ競技場です。なぜ,このような大事故がシェフィールドで発生したのか。FAカップの仕組みと大きく関わってくるのです。
 FAカップは準決勝以降,中立地での開催となります。このとき,準決勝へと進出してきたのはリヴァプールにノッティンガム・フォレストでした。彼らの本拠地とは違う,中立地としてヒルズブラが指名された,というわけなのです。


 ちょっと,当時の競技場をイメージしてみましょう。


 いまとは違って,テラスと呼ばれる立ち見席が競技場には用意されていました。熱狂的なサポータのひとたちは,この立ち見席を選んでいたというわけです。この立ち見席,ところどころに手すりが設けられています。かなり頑丈な木製,あるいは金属製の手すり,であります。そして冒頭にも書いたようにピッチと立ち見席との間には金網が設置されています。この立ち見席エリア,それも一部のエリアに収容可能数を大きく超える観客が誘導されてしまったがために,この手すり,あるいは金網に押しつけられるような形で,被害が大きくなっていった,というわけなのです。


 この事故への対策とフーリガン対策が合わさる形で,イングランドの競技場は大きく変わっていきます。立ち見席から,全席指定席へと変わるとともに,冒頭に書いたように金網の撤去,緊急車両の誘導路(避難路としての意味も当然に含まれています。)の整備が進められたのです。


 プレミアシップが戦われる競技場,あの雰囲気の背後には,このような不幸な歴史があるのです。

ベントレーにもハイブリッド。

2014-04-12 19:53:17 | クルマ生活版日々雑記
高級車は,保守的である。


 なるほど,確かにそうだと思います。
 「高級車はかくあるべし」というお客さまのイメージ,あるいは社会的な認知を外れるクルマはつくれない,という意味で,保守的なつくりになるのは当然だろう,と思うわけです。
 反面で,こうも言えるように思うのです。


 高級車はときに,アバンギャルドである。


 「またぁ。」という反応をされる方も多いかな,と思うのでありますが,どうしてどうして。案外に,技術的には飛び抜けたことをしてくることがあるのですね。であれば,PHVだからといって,そんなに驚くほどのことはない,かも知れません。





 今回は,こちらの記事をもとにベントレーのコンセプトモデル,“ミュルザンヌPHV”について書いていこう,と思います。


 このミュルザンヌPHV,セダンのPHVを予告する,というよりも,SUV(!!)に搭載されるハイブリッド・システムをプレゼンテーションするために仕立てられているようです。個人的には,ベントレーがSUV市場に参入する,ということに少なからず驚いているのでありますが,ベントレー,といいますかVWグループは高級車市場へハイブリッド・システムを導入する(EVの可能性を見ることを含めて,ですが。)ことについて,意外に慎重であったことにも驚いています。


 なぜか,と言いますと。


 ロールスはすでに,EVの実験車両を仕立てているのであります。ロールスがEVとなると,違和感を持たれる方もおられるか,と思いますが,ロールスは意外に,新たな技術に対して積極的だったのです。かつてのロールスはいささか時代を感じされるデザインだったのですが,サスペンションにはシトロエンの血統に連なる油圧機構を装備していたこともあるのです。というように,意外な「技術的なジャンプ」をしてくる会社なのであります。この歴史が,EV実験車両にも反映されていたように思うのです。ではありますが,やはりこのジャンプアップはなかなかに挑戦的「過ぎた」ようで,実験車両から量産型へ,という流れにはならなかったようであります(ひょっとすれば,伏流水化しているのかも知れませんが。)。


 また,ロールスをコントロールしているのはBMW,対するベントレーをコントロールしているのはVWであります。BMWはEVに対して積極的な姿勢を示していますが,VWは慎重にEVへの道筋を描いているようにも感じます。その慎重さが,ベントレーの慎重さにもつながっているように感じます。とは言え,北米や日本市場,あるいは中国市場などを考えると,ハイブリッドは相当な武器となりうることも確かだろう,と思います。どれだけの完成度を持って,SUVに搭載されるのか。どんなデザインで出てくるのかも含めて,興味深い話であります。

ヘリテージ・コレクション。

2014-04-08 17:18:18 | ゲージュツ的雑記
かなりの規模なのですけどね。


 もったいない話であります。
 常設のステージが用意されていないのですから。


 今回は,こちらのページをもとに,再び「博物館収蔵物(的)」なクルマの話であります。


 トヨタさんは,立派な博物館を持っておられますし,ホンダさんも茂木町にコレクション・ホールを持っておられます。対して日産は,かつて座間工場が置かれていた場所に“ヘリテージ・コレクション”を置いています。このコレクション,予約制で見学が可能とのことですが,あくまでも「特別限定公開」であるとのことです。残念ながら,日産は“Open to the Public”な博物館を持っておられません。もったいないな,と思うわけです。


 では,ヘリテージ・コレクションがどの程度の規模なのか,見ていきますと。


 市販車だけでも相当な収蔵数であります。実際に展示されるとなると,どこかの場所で立ち止まりたくなる,そんなクルマを見つけることができるのではないでしょうか。
 また,レーシングカーの収蔵数もなかなかのものです。現在,日産のレーシング・イメージ,特にメーカが前面に立って活動を展開している分野を考えると,スポーツカー・レーシングやグランド・ツーリングなどが思い浮かぶか,と思います。しかし,この収蔵されたマシンたちを見ると,実は日産がスポーツカーだけ,グランド・ツーリングだけにこだわっていたわけではない,ということに気付かれるのではないか,と思います。


 ラリー・レーシングにも熱心だったメーカなのです。実は。


 市販車が持っている性能,たとえば耐久性などをシンプルに訴求するためには,耐久色の強いラリーで活躍すること。そんな意識が作用していたのではないか,と思いますが,日産は欧州のラリー,というよりも耐久色が強いサファリなどでその存在感を示していました。この歴史が止まってしまっていることにも気付かれるのではないかな,と思うのです。


 前回も書きましたが,自動車も工業製品であって,過去の最新は現代では・・・,という側面は確かにあります。けれど,歴史の積み重ねによって最新が生まれる,というのも確かであるはずです。そんなことを感じる機会があってもいい,と思いますし,その機会はできるだけ誰もが足を運びやすい形でつくれるといい。ぜひとも,日産には常設で,しかも「限定」の言葉が外れる展示施設,方法を考えてほしい,と思います。

収蔵庫(保管庫)、あるいは宝箱。

2014-04-04 21:40:21 | ゲージュツ的雑記
表舞台に立てるのは,ほんの一握り。


 となると,飛び抜けた魅力がないからだろうか,なんて「舞台」という言葉から考えてしまいます。でも,こちらの舞台は,「物理的な制約」という意味合いで使われる言葉,であります。展示をしたいけれど,展示できるスペースが限られていて,どうしても絞り込みをしないといけない。多くは舞台裏で,自分たちにスポットライトが当たる時を待っている。


 となると,舞台裏に控えている方が,実は魅力的だったりする。かも知れません。今回は,こちらのコラムをもとに,自動車博物館の舞台裏,という話を書いていこう,と思います。


 トヨタさんは,立派な博物館をもっておられます。素晴らしいことだな,と思うのです。トヨタさんに限らず,自動車は工業製品であり,工業製品は最新こそ最良,というのが自動車メーカ各社の共通認識でありましょう。
 確かにその通りではあるのですが,来し方がなければ最新,あるいは最良の工業製品は生まれようがないのも確かだと思うのです。自分たちがつくってきた製品はそのまま,自分たちがたどってきた歴史であり,その歴史がなければ最新鋭の技術をいまの製品に落とし込もうにも落とし込みようがないのですから。自動車史,その一部分を私は実体験しているわけですが,自分が経験していない歴史を見つめることのできる機会,そして場所を設けてくれていることに,感謝したいと思うのです。


 で,舞台裏です(やっと本題です。)。


 やはり,魅力的なクルマが置かれているようです。
 どういうクルマが置かれているのか,については中村さんの文章をぜひともお読みいただきたいと思いますが,クルマ好きにとっては興味をひかれるクルマがどこかに見つかるのではないでしょうか。ひとによっては,過去のレーシング・マシンであったり,量産車になる前のプロトタイプであったり。あるいは同時代を生きてきた市販車であったり。いずれにしても,どこかで立ち止まり,見つめてしまうクルマが見つかるのではないかな,と思います。


 そういう意味で言えば,恐らく私はレーシング・マシンの前で立ち止まることが多くなる,かも知れません。スポーツ・プロトタイプの前であったり,ラリー・マシンの前であったり。あるいはグループAマシンの前かも知れません。ひょっとすると,パラレル・ワールドを想像させてくれる,開発車両を見つけることもできるかも知れません。


 博物館のHPをチェックしてみますと,定期的にバックヤードツアーを用意してくれているようです。ぜひとも「宝箱」をのぞいてみたいものです。