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まさかのバトンタッチ⑤

2017-12-30 12:02:51 | お話
⑤まさかのバトンタッチ


🔸諏訪、伊藤さんの会社は、十数億円の借金があったわけですから、

それはもう危機的な状況だったでしょうね。

🔹伊藤、うちはとにかく呼吸できない会社だったので、

社長に就任しても生き続けられるかどうか保証はありませんでした。

銀行取引ができず、整理回収機構に債権があるということは借り入れもできない状態で、

返済だけが進んでいく。

もう何もできないんですよ。

よくそれで資金回したねって言われるんですけど、

自分はお給料取らなかったりとか、

当然賞与かんか一回も出してませんし、

あとは母のお友達が年金を取り崩してくれたり、

いろんなことをやって回していったんですね。

ギリギリでしたけど、社員さんにお給料は払い続けました。

で、私は、逆にリストラはしなかったんです。

リストラをすべきかって考えた時に、

諏訪さんのように会社経験や知識があるわけではなく、

メッキのことも会社組織の動きも全く分からない私がどうやって人を見るんだって思ったんです。

だからとにかくリストラをしないで、

この48名で3年以内に絶対黒字化するって決めて、宣言したんですね。

当然、信じてくれる社員は数名だけで、ほとんどが信じてくれませんでした。

でも、信じさせないといけないわけですよね。

🔸諏訪、どうされたのですか。

🔹伊藤、毎月悲しくなるほどの赤字なんですけど、

売り上げや借り入れがどれくらいあるのか、

業績をすべてオープンにしました。

賭けに出たんです。

実際にこれだけ危機的な状況だと分かると、甘えていた社員も行動が変わって、

電気をつけっ放しにしないとか水道を、締めるとか、

一つひとつの無駄を省くようになりました。

自ら辞めた社員は三人いたんですけど、あとはみんな残ってくれたんです。

うちは腕時計の部品のメッキが売り上げの9割を占めていたんですけど、

その仕事がどんどん海外に流れていく中で、何の手立ても降らなかったところに、業績が悪化した一番の要因があります。

だったら、時計を追うのはもうやめて、他に付加価値のあるものを取っていこうと。

実際、いろんな業種のメッキがあって、車やIT関係のメッキは非常に好調でした。

🔸諏訪、どんな分野に切り替えられたのですか。

🔹伊藤、うちのメッキは全部手作業で、貴金属に特化しているために材料費がものすごく高いんですね。

社員はそれを欠点だと思ってしまうんですけど、逆にそれはプラスかもしれないと。

どうせ設備投資できないのであれば、現状の設備でとことん追求できる分野、

つまり、量産ではなくて景気が悪くなってもなくならない分野は何だろうと思った時に、

医療と健康と美容に目をつけたんです。

そこにメッキの需要があるかどうか分からないけど、とりあえず営業しました。

すると、実際そこでいろんな出逢いがあって、医療器具や女性用アクセサリのメッキ加工など、

時計よりも遥かに高い利益率の仕事が増えていったんです。

🔸諏訪、先見の明というか、閃きが降りてきたんですね。

🔹伊藤、私が医療やるって言い出した時、ある医療機器メーカーさんから問い合わせが来たんですが、

全社員ができないって言い張ったんですね。

形状が複雑で微細な医療器具にはメッキを載せられないとか、

人体に悪影響を及ぼすかもしれないとか、

できない理由を並べるわけです。

私が絶対できるって言うと、

「何も知らないくせに偉そうなこと言うな」

と職人気質の人たちがガンガン言ってきたんですけど、

私は負けじと

「できないことは世の中に存在しないし、今できなくても5年後には絶対できる」と。

要するに、できないって言ったらそれでもう終わりだと話をしたら、二名の社員が

「分かりました」

と言って開発に取り組んでくれて、数ヶ月で完成したんですね。

🔸諏訪、それは社員さんの意識改革にものすごく大きな効果をもたらしたでしょうね。

🔹伊藤、そうですね。スイッチが入った瞬間だったと思います。

そういう地道な努力がコツコツと積み上がって、3年目で何とか黒字になったんです。


(つづく)

(「致知」1月号 諏訪貴子さん伊藤麻美さん対談より)

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