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蕎麦の食べ方

2020-01-24 19:13:00 | お話

🍜🍜そばの食べ方🍜🍜


大学生の頃、浅草の「弁天山美家古(べんてんやま みやこ)寿司」の4代目の親方と、そば屋さんに行ったときのことです。

「やまちゃん(山本さんのこと)な、そばっていうのは『食う』とか『すする』とは言わねえんだ。

『たぐる』っつうんだぞ」

「たぐる」とは、綱をたぐり寄せるように「両の手を互い違いに使う」という意味だそうです。

お店に入ると、親方はせいろそばを頼みました。

出てきたそばは、ざるの網み目が見えるくらい少量でした。

そこにそば猪口と徳利、小皿の中にはおろしたてのわさびと刻みたてのネギが添えられていました。

私はいつものように徳利からおつゆを全部注ぎ入れ、

薬味を入れようと手を伸ばした時、

親方がいました。

「やまちゃん、何すんだい」

「えっ、何って、薬味を入れておそばをいただくところです」

親方は言ました。

「あのな、お猪口と徳利とか別々に出てきてるってことをよく考えないといけないよ。

戻しな戻しな」

って。

そして、

「そばつゆってぇのはこんなもんでいいんだ」

と見せられたのは、お猪口の底が見えるくらいのおつゆでした。

「全部注いじまうんだったら徳利なんていらねぇんだ。

これは継ぎ足し継ぎ足し注ぐもんだ」

って。

つまり、おつゆを全部入れてしまったらそばを「だくれない」のです。

「たぐる」ために、そば4、5本じゃないといけないわけです。

「薬味はそば湯の時に使うんだ。

おそばは香りを楽しむんだ」って。

「なるほど」と思いました。

そしてそばを食べ、「ごちそうさまでした」と言うと、今度は「きれっぱしが残ってるじゃねぇか」

と言われました。

「でもこれ、網目に入っているので取れません」

と言うと、

「箸をまっつぐ立ててみろ」

と言われました。

「まっつぐ」とは江戸弁で「垂直」という意味です。

親方に言われた通り垂直に箸を立て網目に挟まっている切れっ端のそばも食べ、

最後におつゆにそば湯を入れていただきました。

私はこの時初めて、

「料理をいただくというのは、作る人の気持ちを考えながら食べるものなんだ。

『美味しい物を食べる』んじゃない、『美味しく食べる』んだ」

と教わりました。

料理人は師匠がいいますが、食べ方を教えてくれる師匠はいません。

みんな「勝手に」食べています。

でも実は、「食べ方」というのがあるんです。

以来私は、「料理を作った人の気持ちを考えながら食べる」ということを何よりも大事に考えるようになりました。


(「日本講演新聞」(みやざき中央新聞)1/20 2820号 山本益博さんより)


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