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途上国のビジネス、2

2016-07-06 11:48:18 | お話
🌸🌸②途上国のビジネス🌸🌸


🔹水野 小田さんが水の浄化に取り組まれるようになったいきさつについて、ぜひお聞かせください。

🔸小田 私はもともと機械工学のエンジニアとして大阪金属工業(現・ダイキン)に勤務していたんです。

若い頃から発明が大好きで、ほら、数字を負わせる家庭用のドアロック、

それからティッシュケースや食品パックの印刷位置がずれないようにする光電マーク、これらは私の発明です。

水質浄化に取り組むようになったのは、阪神・淡路大震災が大きなきっかけでした。

その頃、私は神戸の御影に住んでおりましてね。

飲料水は一日我慢すれば次の日から配られるのですが、炊事や入浴などの生活水にはほとほと困りました。

近くを流れる石屋川を見ながら

「ああ、この水が綺麗にできたらいいのになぁ」

と。

その時、私は10年ほど前に読んだ京都大学の先生の論文に僅か二行か三行、

「納豆のネバネバ成分は保湿性がとても高く、

水質浄化に使えるのではないか」

とあったのを思い出したんです。

早速食品会社からポリグルタミン酸を取り寄せて実験したら、驚いたことに一発目から反応がありました。

もちろん、それからは試行錯誤が続きましたが、ソニーが世界初のトランジスタを発明した時の苦労話を思い出しながら頑張ってやってきたんです。

当時、水の浄化と言えば濾過が一般的でしたから、

マスコミで発表すると

「こんなに手軽の方法があったのか」

とたちまち注目を浴びました。

テレビ局が芸能人を呼んで京都の名刹で池の浄化実験を行ったり、

私も何かと有名になり始めて

「国内の水質浄化を独占して、環境ビジネスで一儲けできるぞ」

と密かにほくそ笑んでいたんです(笑)。

ところが、日本の行政や大企業は既得権重視で、新参者には門戸が狭かったですね。

あるテレビ局が大阪の道頓堀の一画を囲って、それを綺麗にしようと発案してくれた時も、

真っ先に猛反対したのは行政でした。

それで「この国はダメだ」とがっかりしたわけです。

🔹水野 活路を開けたのですか?

🔸小田 2004年のスマトラ島沖地震はご記憶でしょう?

その頃、うちの社員に阪大出たタイ人がいて、たまたま王室と近い間柄だったから救援の要請を受けて駆けつけたんです。

例の調子で実験をやって大変な反響だったのですが、

そのうちに「もう一回来てほしい」と言われて、今度は神様のように大事にされて。

自分が活動する舞台は海外なのかな、と思うようになりました。

地震の3年後、サイクロン・シドルによってバングラディッシュが大変な被害に見舞われた時も

支援を求められ、ここでも救世主扱いでした。

ですから、海外進出を計画的に進めたと言うわけではなく、

行き当りばったり、その時の成り行きで海外に活路を見つけたというのが正直なところですね。

私たちの事業は人間の生命や健康に関わるものですから、もちろん勝手にやっていいわけではありません。

必ずその国の許認可を得て、月に2回は現地の行政官の水質をチェックしています。

🔹水野 水質浄化剤は貧しい人々でもすぐに手に入るのですか?

🔸小田 100グラムで1ドル。これで千リットルの水をきれいにできます。

「奥地の人でもこの値段なら買える」というのでバングラデシュで商談が成り立ちました。

ただ、いくら貧しい国でも特権階級はいて

「自分たちに任せてくれたら、アッという間に国中に広めてみせる」

と言ってきたんです。

ところが、地域や郡長たちは

「いや、日本人がやらなかったら、自分たちに浄化剤は回ってこない」と。

そうなのかと思って、以来、バングラデシュには40回ほど直接足を運んで販売や指導に当たっています。

その間、現地調達の取材を使った浄水装置も完成させました。

地元の知事からは

「もうそろそろ来なくなるかと思っていたけど、あなたの根気には頭が下がる」

と言われたくらいです(笑)。

水野さんも感じているでしょうが、アジアもアフリカも現地の人は可愛いですよね、

人間が素朴だし、頼られると嬉しくなる。

私が行くと朝から晩までついて回る子供たちもたくさんいます。

肌の黒い人たちに交じって私も黒くなった感覚でいますよ。

🔹水野 おっしゃるように、現地に行くと現地の人たちが好きになりますね。

これは仕事をする上でとても大きな強みだと思います。


🔸小田 私は時々「この人たちは本当に貧乏なのだろうか」と思う時があります。

田舎に行くとマンゴーはたわわに実乗っているは、バナナはふんだんにあるは、鶏はたくさんいるわで、ある意味で豊かにも見えるんです。

🔹水野 その通りですね。

🔸小田 そういえば、ある時、現地のポリグルレディから

「月末に集金に行ったところ、現金がないので鶏や果物をもらってくれないか、と言われた。

どうしたらいいですか」

と相談を受けたことがありました。

私は

「自分で市場に売りに行って換金するならいいよ」とOKを出したのですが、

彼女たちは、そのうちに鶏や果物をマーケットで高く売って利益を出すことを覚えるようになりました。

ビジネスが面白くなるできたのでしょうね。

「自分たちの力でも生活できる」というある種の自信をつけてきたんです。

🔹水野 特にアフリカの女性はよく働きますね。

住友化学の防虫蚊帳の工場も85%が女性ですし、家事も子育ても畑仕事も自分たちでこなします。

🔸小田 イスラム圏では14歳かそこらで結婚し、家に閉じこもっている女性が多いのですが、

彼女たちがいまポリグルレディになっていきいきと働いてくれていますよ。

その姿は美しく輝いて見えます。

それに、面白いのは私たちは各地に浄水場を作るでしょう。

大型浄水タンクから水が供給できる仕組みになっていて、村民たちがポリタンクを持って集まってくる。

するとその一帯が自然と「道の駅」化していくんですね。

タンザニアのある村では、最初にトウモロコシやナマズを売る店が五件ほどあったのが、浄水場ができて半年後にはなんと200件です。

🔹水野 オアシスと同じで、水がある所に人が集まってくるわけですね。

🔸小田 そこからは遠くの家にバイクで水を運ぶといった、新しいビジネスも生まれています。

🔹水野 活動の規模が世界に広がると人材も必要になりますね。そこはどうされているのですか?

🔸小田 インドでもソマリアでもタンザニアでもそうですが、

水の浄化指導したり、販売をしたり、浄水装置を取り付けたりする人はどうしても必要です。

かといって人材を急に増やすことは難しいし、日本の社員を現地に送れば多額の費用がかかります。

そこで考えたのがバングラデシュで技術を習得させた職員をアフリカやインドに派遣することでした。

現地の人たちにしたら、バングラデシュ人が指導する様子を見て「自分たちもできる」という自信につながりますし、

バングラデシュ人にとっては水専門の技術者として海外に派遣されることが誇りになっているんです。


(つづく)

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