自分が通った小学校は、今は取り壊されてしまいましたが、黒い、木造の二棟でできていました。
日あたりを考慮したためか南北にニの字に並んでおらず、東西にずらして建っており、中央廊下と呼ぶ太い通路で繋いで乙の字のようにクランクしていました。
そのため見通しが悪く、距離もあったため、北校舎の低学年と南校舎の高学年は分断されて、年齢層から来る明らかな雰囲気の違いを生み出していました。
私が五年生くらいの時、ひとりで、中央廊下から見える荒れた中庭を、見るともなく眺めていると、突然降って湧いたように、「人は私の言動など特に気にしていない」ということに気付かされました。
今でもはっきり覚えています。前後関係はわかりませんが、突然そんな考えに打たれたのです。肩から力が抜けてゆく感じがしました。楽になりました。天からの啓示などという立派なものではありませんが、自分なりに思うところがあったのでしょう。
しかしあれから既に半世紀が経過してしまいました。恥ずかしながら日々の憂さに心を腐らせている自分がいます。私は何も成長していません。
後は平穏な日々が過ぎて行ってくれればと、ただ願うばかりです。