民主党の小沢一郎幹事長が党運営だけでなく鳩山内閣の政策決定にも影響力を及ぼすなか、小沢氏と確執を生じてきた次世代リーダー格の「七奉行」が動き出した。
政権交代後、初めてとなる会合を今月に開催し、「非小沢」の立場から発信を強めている。
「党で全く議論をしていない。国民の理解を得られない」。今月22日の記者会見で、七奉行の一人で元党代表の前原誠司国土交通相が不満をあらわにした。
来年度予算案の編成作業中、小沢氏が鳩山由紀夫首相に対し、高速道路の無料化を掲げるマニフェストに反し、党要望として有料で建設を続ける提案をつきつけたからだ。
さらに前原氏は25日、89ダム事業の凍結につながる方針を表明。全国からの陳情を「全国民の要望」と主張し、公共事業の場所選びにも関与を図る小沢氏を牽制(けんせい)した。
小沢氏が党代表となった2006年以降、「非小沢」の中核となってきた七奉行。だが、政権交代で岡田克也外相ら4人が政府の役職につく一方、党常任幹事会メンバーは玄葉光一郎衆院財務金融委員長だけとなり、「分断統治された」(岡田氏周辺)。
5月の党代表選で、鳩山氏を推す小沢グループに対抗して、七奉行の大半は岡田氏を支持。このため、首相の指導力不足で小沢氏の存在感が増すことへの不安が特に強い。
玄葉氏は22日の講演で、予算編成について「誰が仕切るかはっきりせず、小沢さんが出てきた」と指摘。後見人の渡部恒三前最高顧問を交えた10日夜の会食では七奉行から「鳩山さんの精神状態は大丈夫か」といった声も出た。
七奉行の一人は新人を集めて党運営への不満を聴き、議員立法や国会質問を制限する執行部に改善を求めている。「小沢さん一辺倒はよくない。みんな相当ストレスがたまっている。幹事長に意見を言う場を党内につくるべきだ」と話す。