個人的な感触に過ぎないが、自腹で本を買うのと会社の経費などで本を買うのでは、身につく程度に10倍くらい差がある。
20年前の話ばかりで申し訳ないが、高校時代は遊ぶ時間がたっぷりあったが、東大に入ると遊ぶ時間がほとんどなくなる(入学して1年くらいを除いて)。
孫子は言った。およそ軍隊を用いるやり方としては、四頭だての小型の戦車千台、輜重(しちょう)車(=軍需品を運ぶ車)千台、武装した兵士十万人を動員し、千里の遠くに兵糧を送るので、国内、国外での費用、外交の費用、「にかわ」や「うるし」などの武具の材料、戦車や甲冑(かっちゅう)(=よろいとかぶと)の費用などで、1日に千金を費やしてはじめて十万人の軍隊を動かせる。勝つために時間がかかると、自分の兵隊の鋭敏さがが鈍(にぶ)り、城を攻めるときは、城を屈服させるのに力を使い果たす。挙兵して時間がかかると、自国の経済が疲弊し、その兵隊の鋭敏さをなくし、軍隊を鈍らせ、国力を使い尽くして経済力もなくなってしまえば、周りの国々がその疲弊に便乗して国を襲おうと兵を挙げる。こうなってしまえば、たとえ智者といえども、その後始末をよくやることはできない。ゆえに、用兵はまずくて速いというのはあるが、うまくて遅いというのはないのである。戦争を長くやって、国に利益をもたらした例はない。したがって、軍隊の使うときの害を知らない者は、軍隊を使用するときの利点も知らないのである。