今年11月のアメリカ大統領選挙の民主党候補にジョー・バイデン元副大統領が指名された。副大統領候補には、ハリス上院議員。女性で初めての副大統領候補である。8年間のオバマ政権の後、彼の実施してきた政策をことごとくひっくり返す事のみに4年間専念してきたトランプ大統領と正面から衝突する。
どんな選挙でもそうだが2期目の再選と言うのは極めて有利であり、この点ではトランプも例外ではない。しかし、さすがの共和党も一部にはトランプに見切りをつける党員も出始めてきて今回の選挙は大変な接戦が予想されるが、まだ選挙までにはあと2か月半以上もあり、何が起きるかわからない。トランプも安泰とは言えないし、バイデンも圧倒的に有利とはいえない。内部で足を引っ張るのは民主党のお家芸であり、事実バイデンを公然と批判する党員もいる。党員ですらそんな状況なのだから一般有権者に至ってはどちらにでもすぐに変わってしまう。それにしても77歳対74歳の老老対決だ。高齢者の活用と言う点でさすがにアメリカは日本の一歩先を行っている。
クリントン大統領が2期8年の任期を終えた後の大統領選挙、ゴア副大統領とブッシュテキサス州知事との一騎打ちになった2000年の選挙ではフロリダ州の開票結果があまりの接戦で最後まで混迷をしたが結局、ブッシュが当選したことがある。副大統領が選挙に勝つのはそれほど容易ではない。
この時の教訓からするとアメリカの選挙民は副大統領職を大統領の一歩手前と感じるよりも、常にわき役、代役としてみるということで、そう染みついた垢はそう簡単には拭い去れないのではないか。もっとも副大統領経験者から大統領になったのは最近ではケネディの後のジョンソンがいるし、ニクソンもそうだ。またレーガン時代の副大統領だったブッシュ(父)のケースもある。
アメリカの有権者は自分の支持政党をはっきり明言する人が多い。どういうわけか、自分の知り合いには民主党員が多い。もっともニューヨークは民主党がもともと強いから当然と言えば当然だが。そこから聞こえてくるのはトランプに対する激しい反発だ。なんとしてでもトランプの再選阻止を、と訴えている。
ところで、これらのニューヨークの知人は、日本のメデイア(NHKや朝日新聞?)がオバマ・バイデンに対して批判的で、トランプに肩入れしていることが多いと感じている。その理由は、オバマやバイデンの対中宥和政策にあるという。オバマ・バイデンの、中国共産党でも人権や世界秩序を守るのではないかと言う期待に基づいた理想主義が中国をつけ上がらせ、世界は中国に食い物にされてきたのに対し、トランプは敢然と対抗しているから、と。もしバイデンが当選すると再び中国の思いのままになる時代が再来し、その被害を受けるのは日本だ、と言うことらしい。ニューヨークの民主党支持の知人はそういう日本のメデイアの考えに危惧している。
もちろん、日本のメディアがいくら親トランプだからと言って、トランプが再選されるわけではない。審判を下すのはアメリカ国民である。日本の世論を心配するニューヨークの知人に対しては、たとえ愛国的なメディアがいくら親トランプであろうと、余り心配することはない、日本の世論はトランプ政権のアメリカ第一主義、孤立主義や、人種差別主義を是としてはいない、と伝えておいた。
アメリカ大統領の一挙手一投足が瞬時に世界を巡る時代である。何が出来るわけでもないが、この選挙の行方には注目しなければならないだろう。