北斎の富嶽三十六景のタイトルは多様です。三大役物は、凱風快晴、山下白雨、神奈川沖浪裏で、場所を示したものや気候や天候を示したものになっています。他には長いもので、江都駿河町三井見世略圖、五百らかん寺さゞゐどう、御厩川岸両國橋夕陽見、従千住花街眺望ノ不二など、漢文調のものから、あえてひらがなを多用したものまであります。また、、礫川雪ノ且では、且の文字が旦の誤刻とされています。そして、甲州石班澤ですが、石班澤は鰍沢らしいのですが、石班を(かじか)と読ませるのです。これは難読ですが、江戸時代にあったのでしょうか。web上の情報を探っていると、岩下書店さんのサイトで、江戸時代の百科辞典「和漢三才図絵」に「石伏」「石斑魚」「鮖」で「いしぶし」「いしふし」と読んでカジカの仲間のことを示しているらしいとありました。そこで、「石斑魚澤」とするべきところを「石班澤」と誤刻したのではとの案内でした。文字としては魚が抜けて、斑は班になったという。なるほどという情報です。
30秒の心象風景28571・甲州石班澤~北斎の富嶽三十六景~
https://youtu.be/MQQCWJXZfws