はんたろうのがらくた工房

えーと、えーと…。

土用茄子の日

2013-07-22 19:08:23 | いきもののこと
ウナギが危ない、と、心から思っている。


身近な魚だが、いまだ生態は殆ど解明されていない。
「養殖」されているといっても、野生の稚魚を捕獲して育てているに過ぎない。

そう、稚魚を獲っている

他の魚のように、大きな個体だけ獲って稚魚は逃がす、とかいう配慮は、ない。
成熟させて、卵を取って受精・孵化させて…とかいうことも、一切できていない。
獲ったら獲っただけ、育てて、食べてしまう。
種の保全と呼べるようなことは、なにひとつ、なされてはいないのだ。

そして、稚魚の獲れる量は、激減している。

ニホンウナギを絶滅危惧種に指定して捕獲を禁止しようという動きもある。
欧州産のウナギは、ワシントン条約に基づきEUからの輸出が禁止された。

それでもなぜか、鰻を食べることを控えましょう、という世論は、まったくと言っていいほど聞かれない。
値上がりしたと嘆きはしても、鰻屋の行く末を案じはしても、保護しなければ、とは、不思議なことに、誰も言わない。


そもそも、土用丑の日に鰻を、というのは、江戸時代に平賀源内が考えた、鰻屋のためのキャッチコピーに過ぎないという。
科学、風水、宗教、どれを取っても、この日に国を挙げて鰻を食すべき、正当な根拠は、ない。
強いて言えば、丑の日に「う」のつく食べ物を、という言い伝えはあるらしいが、それならば、うどんでも卯の花でも宇治金時パフェでもいいわけである。

にもかかわらず、人々はなにがなんでも鰻の蒲焼を食べたがり、飲食店も小売店も、この日を目がけておびただしい数の鰻を屠り、開き、焼いて、売る。
如何に希少でも、如何に高価でも、調理して、売れ残れば、廃棄されるのであろう。



前置きが長くなった。



そんなわけで、私は、当分鰻は食べないことを宣言した。
鰻の蒲焼は大好きである。
正直、食べないのは寂しい。
だけど、10年先、20年先にも、リーズナブルにウナギを食べ続けられる世界であってほしいと思うので、未来の世界、未来の自分のために、暫くがんばるつもりだ。

だが、この悲壮な決意とは裏腹に、世間は丑の日に向けて盛大なカウントダウンをやめない。



そんな時、Twitterでフォローしている友達経由で、ひとつのレシピに出会った。

鰻に見えたら成功?なすの蒲焼き丼  ~クックパッド

面白い。
外見から鰻に似せようという心意気がいい。
旬の茄子が使えるのも有り難い。

さっそく、試してみた。
それが、亥の日のことである。

味は、まぁ間違いない。間違いようがない。
ものの見事に、「蒲焼のタレを絡めた焼き茄子をごはんにのっけたものの味」になった。
そりゃあ、そうだ。
動物性の味が皆無だし。

ということで、丑の日、すなわち今日、再挑戦した。

魚介系の味を足すために、タレのうち、醤油の半分をナンプラーに置き換え、顆粒のかつおだしを少量加えた。

これが、大当たり。

茄子が魚に変わるわけではないが、味の深みがぐっと増した。

画像は一昨日のもの。
今日作ったものは、うっかり撮影を忘れてしまったが、茄子の繊維を切る方向に、3cmくらいの感覚で軽く包丁を入れた。
茄子が崩れやすくなるけど、外見はいっそう鰻っぽくなるので、興味があればお試しいただきたい。



さて、丑の日に「う」のつくもの…。

梅酒でいいや。

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