はんたろうのがらくた工房

えーと、えーと…。

ヤッコソウ

2018-11-26 18:59:58 | いきもののこと
ヤッコソウ(Mitrastemon yamamotoi)。
葉緑体を持たない、寄生植物である。
Wikipediaによれば、ヤッコソウ科は1属2種のみが知られている。
東南アジアから日本に分布するヤッコソウと、中南米に分布するM. matudae。
どうやら、英語名はまだ持たないらしい。



ヤッコソウのことは、ごく最近まで、まったく知らなかった。
去年の夏、思い立って室戸岬を訪ねた折、室戸岬灯台そばの最御崎寺(ほつみさきじ)の境内で、偶然、ヤッコソウを紹介する立て看板を見つけたのだった。

いつか再訪するぞと決めて調べてみると、姿だけでなく、その分布もユニークだった。
九州南部と、四国の足摺岬、室戸岬。
飛び飛びである。
いや、そういう飛び飛びの分布自体は珍しくない。
例えば高山植物や、動物ならばライチョウもそうだ。
ただ、足摺、室戸と、その間に横たわる高知平野とでは、高山と亜高山ほどにも気候は異ならないであろうに、なぜか高知の中部では見られないらしい。

最御崎寺の立て看板には、開花は11月とあった。
昨今は大雪が降ったり猛暑だったり災害も多かったりで、全国で秋に桜が開花するようなご時世だから、花(?)の時期も、ブログなどの過去の日付は当てにできない。
11月の頭に、室戸のジオパークに直接問い合わせたところ、はたして開花はゼロ。
そこで、同月下旬に見に行こうと決めた…のが、今回の訪問である。

さて、ヤッコソウの自生地を検索して室戸で最初にヒットするのは、四国札所でも、24番の最御崎寺ではなく、26番の金剛頂寺(こんごうちょうじ)であったが、



まず、縁浅からぬ最御崎寺から参拝する。





立て看板のすぐ裏手に、小指の先ほどの大きさの、白っぽいものが散らばっていた。
ヤッコソウである。



侍の従者、奴(やっこ)の姿に似ているから、ヤッコソウ。
なんか、かわいい。





せっかくなので、25番札所、津照寺(しんしょうじ)にも立ち寄る。



大師堂はともかく、本堂はものすごい石段を上った先。
バリアフリーの彼岸にあるような寺であった。





さて、国道55号を逸れ、細い山道をえんえんと上った先に、金剛頂寺はあった。



本堂に向かって右手に「天然記念物」の標識。
そこから森に少し足を踏み入れると、



地面近くにヤッコソウがいくつも見えてきた。

参拝者は何組かいたが、どうやら誰も、ヤッコソウには興味がない…というか、そもご存じないふうである。

まあ、確かに、珍しいとはいえ、とても地味な植物ではある。

ところで。

冷奴はまっ四角な豆腐だけど、なんで「やっこ」なのだろうな?

…と思って調べたら、ネットとはじつに便利なもので、すぐにわかった。



奴さんの着物にある紋、いわゆる「奴紋」が白い四角で、これに豆腐を見立てたんだそうな。
いや、さすがにそれはヒネりすぎだろう。



ちなみにその「便利な」ネットだが、手抜きしてひらがなの「やっこ」で検索すると、なんかアイドルの人の画像ばかりがヒットするので、注意が必要である。

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