はんたろうのがらくた工房

えーと、えーと…。

こんなときだからこそ能登観光・能登金剛

2007-04-15 23:20:42 | 【特設】能登半島地震
能登の観光地を、ぐるっと回ってきた。

天候は最悪であった。
前日から気温ががくんと下がり、風が強く、雨も降った。
それでも、とにかく行ってきた。




能登半島の中ほど、旧富来町の海岸線には、険しい断崖や奇岩が多い。
それらが能登金剛と総称されている。
その南端にあたる巌門は、無傷のようだった。
潮が満ちていて、おまけに波がものすごいから、洞窟に降りるのはやめたけど。



入り口にあるドライブイン「能登金剛センター」も、元気に通常営業。
貝類のつくだ煮と焼き海苔を買う。





機具岩(はたごいわ)も無事。
…にしてもすごい風と波。
駐車場脇の無料休憩所が退避所に思えた。



国道249号線を北上し、旧富来町の中心部にさしかかると、海辺の公園に、ごみが堆く積み上げられていた。
八朔祭り(能登のキリコ祭りのひとつ)のときには、観光客向けの臨時駐車場になる場所だった。
マスメディアから流れてくる情報はどうしても旧門前町に偏るが、隣接する旧富来町の被害も大きい。

オレンジのウィンドブレーカーを着た、たくさんのボランティアが片付けをしていた。
忘れられてはいない。
ちゃんと、手は差し伸べられていた。



能登金剛の北端にあたるヤセの断崖が崩れたことは、ニュースで見て知っていた。
敢えて、行く。



近くの「義経の舟隠し」はまったく無事。



古びた遊歩道にはひび割れも見られたが、とくに歩きにくくもなかったから、たんに古くなって傷んだだけかもしれない。



ヤセの断崖は崩落して形が変わっていた。かつては断崖の突端近くまで歩けたが、いまは立入禁止になっている。



地震で損傷した家屋を見ると、破壊された暮らしが思われて、胸が痛む。
だが、ヤセの断崖に関しては、「残念」という感情がわかなかった。
ただ、感動だけがあった。

それは、人が作り、命を与え、守ってきたものと、自然に出来上がったものとの違いだろう。

たとえば、わずか十万年遡るだけで、ここは全く違う姿をしていた筈なのだ。
ひょっとすると海岸でさえなかったかもしれない。
それが、長い長い年月を経て、隆起や沈降、侵食や崩落によって、あの、人の横顔に似た奇岩が形成された。
今回、それが失われたこともまた、自然による造形のひとつに過ぎない。

たかだか百年に満たぬ寿命の人間が今、地球が鏨(たがね)を打ち込む瞬間に立ち会うことができた。

それを私は、純粋にすごいと思う。


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