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by hamarie_february

原発震災まとめ(3.放射線核種の分析問題)

2011-06-23 01:45:33 | 気になるニュース

「原発震災まとめ」の続きです。

前回からあっという間に一ヶ月経ってました。ぐずぐずしている間に収束してこのシリーズもフェイドアウトできるかしらと目論んでいたのですが(泣)。。。まぁ、趣味でやってることなので、そこまで貫徹しなくていいんですけど。。続けたいと思います。。

公式のまとめサイト、繰り返しになりますが、はじめてにあげときます。。

【はじめに】

東日本大震災への対応~首相官邸ホームページ

公式発表のまとめと言えば、このページですね。ここから各省庁の情報にもつながります。更新情報も随時アップされております。

直近の政府発表の「平成23 年(2011 年)東京電力(株)福島第一・第二原子力発電所事故(東日本大震災)について[PDFファイル] 」はこれまでの経緯がすべてあります(正確にかどうかは私にはわかりませんが。。)

↑ 一時(参議院行政委員会にあのお三方が登壇された5/23から少なくとも5/27まではw)更新されなくて心配しましたが(爆)、久しぶりに覗いてみますと着々とページ数を増やしております。6/21現在(6/20 17:00更新)で347ページです^^

特に「原発震災」関連情報ならば、こちらが簡潔にまとまっていますね。

福島原発・放射能関連情報

それから、原子力政策のお膝元、経済産業省のページも素晴らしい。こっちのほうが詳細なデータを調べる際には便利かな。。私には見やすかったです。

経済産業省 東日本大震災 関連情報

さらに、東京電力さんのホームページがリニューアルされていて、とても見やすくなってます。

東日本大震災後の福島第一・第二原子力発電所の状況

福島第一原子力発電所構内での計測データ

福島第一敷地内の放射線量データも大放出してくださいましたね!3/11~3/20までのデータで未公開だった貴重(!)なデータを、ついに5/28に出してくださいました。見やすいように丁寧に色分けとかしてくれてます。親切ですね(爆)

モニタリング追加・修正データ(3月11日~21日)(PDF)

 

【3.放射線核種の分析問題】

さて、放射線核種です。先日(というか一ヶ月前ですが)、NHK教育で放送された「ネットワークでつくる放射能汚染地図~福島原発事故から2ヶ月~」が大きな反響を呼びました。

ワタシは再放送の5月20日に観たのですが、その時の感想を。。

迅速な核種の採取がより深い分析には重要。チェルノブイリと違い各地点の各種比率が似ているらしい。暴発ではなく低温でじわじわと漏れ出たからだろうと。また燃料棒自体は燃えてない(←の?)ので揮発性のものが出ていると分析。高揮発性核種はほぼ出尽くしたという認識でOKっすか?

と、つぶやきました。よくわかっていないのですが(爆)。。。実はかなり最初の段階から「核種」には興味があって

どんな種類の放射性物質が出てるんだっけ。。

と、3月15日につぶやいてます。その翌日にNHK報道番組に広島大学の先生が出演しておられて、核種が公表されていないことを批判されてましたので、それを受けて。。

やっぱりどんな種類の放射性物質が出ているかは公表されていないのか。技術的には10分程度でわかるらしいのに。

と、つぶやきました。。「技術的には10分程度でわかる」というのはすべての核種に言えるのかというと、それはどうも違うようです。ストロンチウム90検出が公表された際(4月13日)にちょっとだけ調べてつぶやいたのですが、同定という作業に2週間ほどかかるようです。

これによると、時間的には試料の2週間の放置が必要なのか。。「ストロンチウムの放射化学分析と測定」 http://t.co/xHEM2SG

ちなみに、4月13日に公表されたストロンチウム90は、微量でしたが福島県内の土壌や植物で、3月16~19日に採取されたものとの報道でした。。1ヶ月弱かかってますねorz

 

まぁ、まずは公式発表された情報を時系列に並べてみます。

[3/20] 初めて核種の分析結果が公式発表される。採取は3/19の12時前後、場所は福島第一原発敷地内事務本館北側、検出されたのはヨウ素-131 /132 /133、セシウム-134/137の5種。このうち濃度基準を超えたのはヨウ素-131のみとのこと。(経済産業省)

↑ ちなみに、上記のNHK教育の番組では、3/15から原発周辺地域で試料を採取し分析した結果、原発から36km地点の田村市で3/15にヨウ素-131が基準値の約40倍検出、22km地点の田村市で3/16にチェルノブイリ移住レベルのセシウム検出とのことでした。

[3/29] プルトニウム検出が公式発表される。採取は3/21日及び22日、場所は福島第一原発敷地内5点、検出されたのはプルトニウム-238/239/240。濃度は過去の大気圏核実験で観測されたフォールアウトと同等のレベルとのこと。(経済産業省)

[4/06] プルトニウム検出が公式発表される。採取は3/25日及び28日。(経済産業省)

[4/13] ストロンチウム検出が公式発表される。採取は3/16~19日。場所は福島県内の土壌および植物。ごく微量で人体に影響はないとのこと。(文部科学省)

↑ ちなみに、5/9時点でストロンチウムの検出は福島県内11箇所となっています。こちら

[4/22] ウラン検出が公式発表される。採取は4/11。場所は福島第一原発敷地内3点。検出されたのはウラン234,235,238。濃度は天然に存在するものと同じレベルとのこと。(経済産業省)

↑ 濃度は天然に存在するものと同じレベルだとしても、ウラン燃料そのものが出ているということは、かなり問題じゃないんでしょうか。。

ちなみに米国環境保護局(EPA)のRadNetのデータベースで、3月下旬から4月初旬にグアム・ハワイや米国西海岸で異常な濃度のプルトニウム・ウランが検出されていたらしいです。神風、吹いてましたからねwww

[6/13] キュリウム検出が公式発表される。採取は5/1。場所は大熊町夫沢(原発から西南西2~3キロ) 微量。

 

さて、核種の分析が重要だという意味のひとつは、メディアでさんざん言われていたことなので皆さんもご承知だと思いますが、核種によって半減期が違うということです。

当初は、ヨウ素の検出ばかり報道され(まぁそれが基準値を超えていたからでしょうけど)、8日間で半減するから大丈夫ですよとばかり報道されました。

しかし、事態はどんどん悪化して、福島県内のセシウムによる土壌汚染はご承知のとおり。

ここ最近の報道(6月13日 読売新聞)では、海水から基準値240倍のストロンチウムが検出されたというニュースがありました。(6月12日公式発表 採取は5/16 場所は福島第一原発取水口付近の海水)

 

ふたつめは、取り込むことで影響が及ぶ人体の部位が異なるということです。

ヨウ素は甲状腺に溜まり、セシウムは体全体に分布し、ストロンチウムは骨に溜まるというやつですね。。

。。というか、原子炉からの放射性物質の大量飛散によって、もう日本の大地や大気はすでに放射能汚染まみれですので、いまさら何をどうしようと、生きるためにする「呼吸」によって何かをすでに取り込んでいるかもしれないのですが、。。。確実な危険は避けておいたほうがいいですね。つまり、飲食物の見極めですが。。実は私自身はあまり気にせずともいい年齢なので水道水を飲んでいるのですが、小さいお子様がおられるご家庭などは重要になってくると思います。これは、次にまとめたいと思っている【食品/水の制限推移】と重なりますので、その時に。。(たぶん)

飲食物の見極め以外では、ヨウ素には予防的にヨウ素剤を飲むという方法がありました(医師の処方が必要)

セシウムにも「放射性セシウム体内除去剤」という医師により処方される内服薬があるそうですが、今回のように少量の放射性セシウムを継続的に摂取する状況には有効でないらしいです。

ストロンチウムは、γ線を放出するヨウ素やセシウムと違い、崩壊する際にβ線しか放出しないので、そもそも被曝しているかどうか、内部被曝の量がどのくらいかの判断がカラダの外側から非常に難しいらしいです。

 

みっつめは、放出された核種を分析することで、原子炉の状態がわかるらしいです。つまり、ウランやプルトニウムが検出されたということは。。。などと専門家の方が見えない原子炉の内部状況を推定しやすいということでしょうか。

ひとつには核種によって何度で気体になるかが違うらしい。例えば、クリプトンやキセノンは常温で気体になるため、事故が起こると全量が放出されます。

今回よく検出されているヨウ素131やセシウム137は、それぞれ184℃、678℃で気体化するため、よく放出されているとのこと。(セシウム137は粒子で放出されているわけではないのですね??)

ちなみにセシウム137は、ウラン235の熱中性子による核分裂生成物のヨウ素137から「壊変」したもので、ヨウ素137→キセノン137→セシウム137→バリウム137へと崩壊するそうですが、ヨウ素、キセノンでいる時間が短いためセシウムとして検出されているということ。セシウムからバリウムへはβ崩壊するそうです。。(セシウムもβ崩壊なんですね。。)

ストロンチウムは、イットリウムに壊変し、さらにジルコニウムに壊変します。どちらもβ崩壊して強力なβ線を放出。。

さらに、先日(6/13)検出されたアメリシウムとキュリウムは、ウランに中性子が当たってアメリシウム、アメリシウムに中性子が当たってキュリウムといったことらしい。。

うーん。。。つまり、どういうことなんでしょう??5/1に採取された試料ですよね。。ホンマにもう後出しで驚かせるのはやめてほしいですけども。。

ちょっとかなり難しくて、正しいことを書いている自信はほとんどないです(爆)知らなかったとしても困らない話かもしれません。。いや、困らないというのは違うんですが、知っていても知らなくても防御法は一緒って意味で。。

基礎知識としては、こちらのページこちらのページが比較的わかりやすかったです。

あと、今発売中のAERAが、放射性物質の核種の特徴を解説していて、永久保存版らしいです。ワタシも明日買いに行こうと思います!!

 

最後に。最近、全国の自治体で独自に放射線量を測る試みがされています。ニュースで観たのですが、福島のある市では、児童生徒にひとりひとりに携帯用のガイガーカウンターを配布しておりました。

ガイガーカウンターってデジタルでピピッとその場で数字が表示されて安心できますよね。でも放射線量の計測というのは、実はもっと複雑で面倒くさくて一筋縄ではいかないものだと思います。

というのは、専門家たちは核種分析から放射線量を算定しているようで、経済産業省の資料で、3/11~4/5の核種放出総量の報告があったのですが

原子力安全委員会では、ヨウ素131:15万テラベクレル/セシウム137:1万2千テラベクレル=63万テラベクレル

原子力安全・保安員では、ヨウ素131:13万テラベクレル/セシウム137:6千テラベクレル=37万テラベクレル

でした。同じ政府の機関で(←関係ないかw)倍ほど違っているわけですが、経済産業省の説明によると、算定の仕方が違うからだそうです。。。

もうひとつ例をあげると、今回(いや、これまで通りに)いろいろと活動をされている京大原子炉研究所の小出さんが3/15に東京で測定した核種の量と、高崎にあるCTBT放射性核種探知観測所のデータ(PDF)が3/15に測定した核種の量に、やはり大きな差があるそうです。この場合、小出さんは昼間の1時間のみ(11:54~12:54)に計測し、高崎のCTBTでは24時間計測したという条件の違いもあるようですが。。。(なのに)前者の方が数十倍高いということで。。。なんと小出さんが測定した1時間だけ放射能雲が滞留していたとかしていないとかで。。。もうワケわからんですよね。放射能雲やら滞留やらまで出てくると。。

そんなわけで、日々の空気中の放射線量に一喜一憂するよりも、飲食や土壌について考えたほうがいいんでしょうね。。と思う今日この頃なのでした。。と次へつなげた(つもり)

追伸:はっと気づいたら、今日は「もんじゅ」の引き抜き作業の日ですね。南無。。


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