「原発震災まとめ」の続きです。
原子力災害対策の柱のひとつである「環境、放射線、住民に係る部分」に関して、まとめていきたいと思います。(随時、追加や訂正入れます)
公式のまとめサイト。繰り返しになりますが、はじめにあげときます。。。
【はじめに】
公式発表のまとめと言えば、このページですね。ここから各省庁の情報にもつながります。更新情報も随時アップされております。
直近の政府発表の「平成23 年(2011 年)東京電力(株)福島第一・第二原子力発電所事故(東日本大震災)について[PDFファイル] 」はこれまでの経緯がすべてあります(正確にかどうかは私にはわかりませんが。。)
↑ 前回はURLをリンクしてましたが、日付ごとにURLが変わってしまうみたいなので、リンクはやめました。
特に「原発震災」関連情報ならば、こちらが簡潔にまとまっていますね。
それから、原子力政策のお膝元、経済産業省のページも素晴らしい。こっちのほうが詳細なデータを調べる際には便利かな。。私には見やすかったです。
【2.避難/警戒区域】
4/11に枝野官房長官が会見を行い、避難指示について、従来の同心円(原発からの距離)によるものではなく、「積算放射線量」を基準とした「計画的避難区域」を指定すると発表しました。
積算放射線量とは、同じ場所に長くとどまった場合に浴びる放射線総量のこと。風向きなどの気象条件や地形によって変わってきますと、このとき初めて明言したんだったと思います。会見のQ&Aはこちら
経済産業省の資料(報道発表された「地震被害情報」たとえばこちら(PDF)など)から、ここに至る&以降の経緯をざっとみてみると。。。(福島第一原発に関して)
3/11 20:50 半径2キロ圏内の住民に避難指示
3/11 21:23 上記を半径3キロ圏内に訂正
3~10キロ圏内の住民に屋内退避指示
3/12 05:44 半径10キロ圏内の住民に避難指示
3/12 10:17 一号機、ベント開始
3/12 15:36 一号機、爆発
3/12 18:25 半径20キロ圏内の住民に避難指示
3/13 08:41 三号機、ベント開始
(5/20追加:3/13 ジャーナリスト広河隆一さん、双葉町を突撃取材)
3/13 11:00 二号機、ベント開始
3/13 17:00 各自治体の長に向けて政府勧告?
3/13 18:30 住民避難の状況データ発表 *1
3/14 11:01 三号機、爆発
3/15 08:25 二号機、白煙発生
(5/20追加:3/15~ 木村真三さんとETV取材班が現地で実計測を開始)
3/15 09:38 四号機、火災発生
3/15 11:00 半径20~30キロ圏内の住民に屋内退避指示
3/17 NCRが80キロ圏内に住む米国人に避難を勧告 *2
3/21 文部科学省がモニタリングの強化を通達。3/22より測定。
3/25 20~30キロ圏内の住民へ自主避難を勧告?
3/30 IAEA 飯舘村に避難勧告
4/04 研究者チームが放射線量サーベイ結果を発表 *3
4/11 枝野くんの会見
4/12 レベル7認定
4/21 11:00 半径20キロ圏内を22日午前0時をもって警戒区域に設定と通達 *4
4/22 09:44 半径20~30キロ圏内を、計画的避難区域及び緊急時避難準備区域に設定と通達(ただし、上記の警戒区域を除く) *5
*1 浪江町だけ突出して避難が遅れています。3/13時点で、対象となる20,000人のうち2,000人しか完了していない。。。浪江町は今回、DASH村だった事実が明かされ脚光を浴びたところですね。3月末の東電の見舞金もここだけ受け取らなかったみたい。
*2 NCRは米国原子力規制委員会。朝日新聞が3/24に報じた。
*3 研究者(京都大学と広島大学のグループ)のサーベイは20~30キロ圏内の飯舘村を対象に3/28、3/29に実施。高濃度に汚染されている実態が明らかになった。環境NGO団体グリーンピースも3/26~サーベイ実施。
*4 警戒区域が含まれる市町村は公示によれば次のとおり(富岡町、双葉町、大熊町、浪江町、川内村、楢葉町、南相馬市、田村市、葛尾村)
*5 計画的避難区域は、葛尾村、浪江町、飯舘村、川俣町の一部及び南相馬市の一部。緊急時避難準備区域は、広野町、楢葉町、川内村、田村市の一部及び南相馬市の一部。ちなみに、緊急時避難準備区域の住民には、自主避難を勧告している。
5/20追加:警戒区域が含まれる村では、早くから全村自主避難を決断し実行されたようです。こちらのブログには川内村が3/15に決断した経緯が詳細に記されています。また、先日のETV特集では葛尾村は3/14に決断したと紹介されていました。
4/11の会見で枝野くんが従来の同心円設定を見直すと言いつつ、やはり公示された文書には距離ベースしかありませんね。前回もしつこく書いたように、放射線量が地震直後から実計測されてない(あるいは、計測されているかもしれないが公表されていない)のだから、「積算放射線量」を基準とするなんて、無理な話なのです。新聞に不十分な概算を書かせることは出来ても、公示文書には出せないでしょう。
5/12に東京電力は、実に2ヶ月経って、1号機が地震発生後16時間でメルトダウンしていた可能性を示唆しましたが、これが事実であれば、この最初の16時間(3/12の午前6時頃まで)における政府の避難指示には納得がいきます。(ただし、枝野くんは翌5/13の会見で、「(メルトダウンの)可能性高いが確証はない」と述べたようですし、5/16現在で保安院も見解を示してないようです。)
しかし(関連が証明できているわけではないでしょうけど)、3/12の午後(1号機爆発後)には東北電力・女川原発のモニタリングポストでも放射線量があがってますし、政府の同心円を基準にした避難指示が万全だったかと言えば、それはほど遠いと思います。
また今回、情報が開示され大々的にマスコミに載った飯舘村で、この20キロ圏外の自律した村で、飛びぬけて高放射線量である「ホットスポット」だとわかったのは、上の時系列で行くと、米軍機の航空機モニタリングのデータを受けてNCRが米国人に避難勧告して、その後、文部科学省がモニタリング強化を打ち出して、有志の研究者が現地に出向き実測した結果ですが、要するに動かしたのはアメリカ(外圧)なんですね。(5/20追加:IAEAの3/30の勧告も影響はあったと思いますがダメ押しの役目w)
なんというか、この構図はそれほど珍しいものではないけれど、今回ばかりは深いシコリとなって残ると思います。
(余談ですが、東電がようやくというか、急にというか、地震発生時のデータを出してきたみたいですが、これもアメリカに言われたんだろうか。まさか、ハーヴァードのシンポジウムを見て決心したんじゃないだろうが、株主からの入れ知恵はあったかも。。)
それから、今回は飯舘村が「見つかった」のですが、東北以外の地域(例えば新宿や東京近郊の柏市)でも「ホットスポット」化しているという民間・個人レベルでの計測および情報はあり、そうした情報を拾い上げていくと、「避難/警戒区域」というのは、必然「場所(地形)プラス個人の特性」を基準とすることになっていくべきなんじゃないかと思いますね。。
まぁ、「個人の特性」でイメージしているのは、「学童疎開」なんですけど。。
「場所(地形)」については、風向き・風力・雨雲の影響といった、台風が来てしまえば全部ご破算になってしまうようなSPEEDI的予測によって、それこそ「風任せ」に流浪の民となってもいいんですが(これをニッポン・ディアスポラと名づけようかw)、放射能が溜まる「風の谷」を全国的に調査してそこを逆シェルター化する(これをナウシカ・プロジェクトと呼びましょうw)ようにすればいいのではないかと思います。
最後は少し妄想入っちゃいましたが(そういう研究ってないんでしょうかねぇ)。。。今日はこのへんで。。