goo blog サービス終了のお知らせ 

怠惰なひな菊

漫画家・萩原玲二(はぎわられいじ)の怠惰なブログ(2006~2019)

宮崎駿氏 記者会見 主催:日本外国特派員協会

2015-07-14 10:01:30 | アニメーション
【辺野古基金】宮崎駿氏 記者会見 録画放送 主催:日本外国特派員協会 - 2015_07_13 18_00開始 - ニコニコ生放送



興味深かった応答は、以下のあたり。

25:20
辺野古基金共同代表を引き受けた経緯。

私は共同代表になるような資格や能力を持っていないので、本当に当惑したんです。ただですね、沖縄の問題というのは、ここにいればなかなか伝わって来ませんが、実は自分の大事な友人に沖縄の人がおりまして、この人が沖縄返還の年、1972年5月1日に返還されましたが、東京の大学に入るために4月28日にパスポートと黄色い伝染病の予防注射の紙を持って東京にやってきた。その時にその人間が感じた、ありとあらゆる感情、非常に抑えたられた感想でしたが、その時の話を思い出すと、私は沖縄の人にものすごく申し訳ないと思っています(ここで監督は涙を浮かべ、声を詰まらせる)。ですから、この代表を引き受けることにいたしました。


29:45
合衆国への言及。

僕はアメリカに非常に大事な友人たちがずいぶんいるんです。極めて誠実な、本当に友情に厚い友人ですが、アメリカの文化は僕は好きではありません。アメリカの生活様式も 日本に多く浸透している色々な生活のやりかたも、基本的に好きじゃない人間なので、そういう色眼鏡だけで見てしまいます。 今、具体的にどういう方針をめぐってどうなのかとここで述べることはできませんが、僕はいつか大量消費文明に終りが来るだろうという予感の中で生きていますので、それでお答えをご勘弁してください。


44:20
沖縄の地政学的、軍事的見解。

沖縄をなんのために基地にするかと言ったら、それは中国の封じ込めの最前線でしょ。だけどなぜアメリカがグアムに海兵隊を持って行こうとしているかといったら、それは最前線に最強部隊を置くことはできない(から)ですよ。だって、パールハーバーもクラークフィールドも、そこに最強の基地があったから日本海軍は攻撃したんです。必ずそういうことになりますから。沖縄を拠点にすることは、もはやアメリカの戦略上でもよくないことになっていると思います。ベトナム戦争の時とは違うんです。ですから、辺野古に基地をつくっても、結局それは自衛隊が使うことになるでしょう。そう考えると、僕は辺野古に埋め立ての基地を作るのは反対です。本当に。そこは標的を作るようなものです。


57:20
右傾化していると評判の日本の若者への提言。

スマホを手放してくれれば変わります。


1:17:30
十五年戦争の総評。

あの戦争に至る前どこで止められたんだろうという風によく考えます。そうすると、だんだん遡っていって、ついに日本とロシアの戦争にまで至ります。実はその前に日清戦争というのもありますが、これは結局、東アジアにヨーロッパが来て、大砲で開国を迫ったことによる、"文明の衝突"から始まったんです。でも、それを言っていると、責任が曖昧になります。ですから、僕はやっぱり、やっていけないことはやっていけいないんだということでしかないんじゃないかと思います。他国を自国のための犠牲にして侵略することは、絶対やってはならない。どんな理由をくっつけても、どんなに美化しても美化しきれない。その原則だけは絶対守るべきであると思います。侵略してはいけないんです。それで、私たちは島国ですから一番やりやすいはずです。



矛盾と混沌の坩堝からの理想主義―――かつ曖昧を許さない断言!という、いつもの宮崎さんであって、安心の会見であった。

肌つやもよく、ご健康そうで何よりです。

合衆国への言及にはらはらしてしまうのは、本音をいえば「911」すら肯定するのが宮崎さんであるから、ジブリの経営陣などまったくもって戦々恐々だろう。



↓別アングル(ニコ生とは3分くらいのずれ)

Hayao Miyazaki_ One of the key backers behind the Henoko Fund to block new U.S. base in Okinawa - YouTube


↓参考

【全文】「世界がもっと根元の方でみしみしと悪くなっていくようです」〜宮崎駿監督が会見 (1_3) (2_3) (3_3)



大村益次郎 ≒ 堀越二郎

2015-02-23 15:15:00 | アニメーション
零戦―設計者が語る傑作機の誕生 (学研M文庫)

堀越 二郎 (著),奥宮 正武 (著)

学研パブリッシング


『風立ちぬ』の地上波放送を言い訳にテレビを買い、HDDに最高画質で録画する!というのを計画していたが、失敗‥‥‥!
つまり放映日をよくわかっていなかったという‥‥‥!

これでおれがテレビを買うことはよほどの天変地異が起きない限り、まあない、という‥‥‥!

『風立ちぬ』は一度劇場で観たきりで、しかも後半は滂沱の涙がトレペのように視界を妨げ、ラストの零戦が22型であることなどまったくわからず、長門や鳳翔や三式艦戦や一三式艦攻や九六式陸攻やI-15もまとめて、もう一度、しっかと鑑賞したかったのだが‥‥‥

BDのパッケージがくそださいので、北米版を‥‥‥いや!クライテリオン!から出るまで待つべき‥‥‥


ところで、前の記事の大村益次郎、なんか既視感があるな~と『花神』を読んでいて思っていて、そうか、なるほど堀越二郎ではないか!と気づいた。

発達障害を疑うほどのコミュ障―――というキャラクター。

以前なにかで、渡辺洋二さんが、一度だけ路上で堀越氏と挨拶をかわした印象を、社交性などとは無縁で取りつく島もない―――みたいに評していた文章を読んだ記憶があり、ふーむという。

そういえば、宮崎さんのモデグラ掲載用の時代劇漫画の進捗はどのようになっておるのか!
せめて、『風立ちぬ』(MG連載・全9回)の単行本くらいは出しましょう!宮崎さん!!!


風立ちぬ 北米版 / Wind Rises [Blu-ray+DVD][Import]





To Have and Have Not

2014-12-01 07:18:23 | アニメーション
Oscar 2015, Miyazaki ritira il premio alla carriera. Guardate foto e video Movie for Kids

宮崎駿原理主義者としては、↑のページ等の、↓の、すごく尊い写真をコピペせざるをえない!











「荒地の魔女」風(!)のモーリン・オハラさんが尊い。

ところで、『ハウル』の英語吹き替え版で「荒地の魔女」を演じたのは、今年亡くなったローレン・バコールさんなのであった。

Lauren Bacall's Honorary Oscar 2009 Governors Awards - YouTube


↑2009年の名誉賞授与式での、“スリム”さん―――デビュー作の役名‥‥‥(ホークス監督夫人の愛称でもあった)

その、ハワード・ホークス監督によるデビュー作『脱出(原題・持つ者と持たざる者/To Have and Have Not)』〔1944〕のDVDには、特典にパロディ・カートゥーン『Bacall To Arms』が収録されており、くっそ馬鹿馬鹿しくて最高である。

Bacall To Arms (Edited Extract) - YouTube



脱出 特別版 [DVD]

文豪ヘミングウェイのベストセラー小説をノーベル賞作家のウィリアム・フォークナーが脚色。名匠ハワード・ホークス監督、ハンフリー・ボガートと後に私生活でもパートナーとなるローレン・バコールが初共演を果たしたアクション巨編。

ワーナー・ホーム・ビデオ



Hayao Miyazaki receives an Honorary Award at the 2014 Governors Awards

2014-11-10 04:19:24 | アニメーション
Hayao Miyazaki receives an Honorary Award at the 2014 Governors Awards - YouTube


↑宮崎さんのアカデミー名誉賞受賞のスピーチ。

↓プレゼンターのジョン・ラセター氏の政治力と尽力の賜物であろう。

John Lasseter honors Hayao Miyazaki at the 2014 Governors Awards - YouTube


途中、村上春樹ばりのKYな言説に、日本が50年間戦争をせずにすんだのは冷戦のおかげではないかしら?と茶々を入れたくなりつつも、最後に、今回同じく名誉賞を受賞したモーリン・オハラと会えたことをミーハーに喜んでみせる宮崎さんに微笑まざるをえない(微笑)。

そのモーリン・オハラさん(94歳!)の、ややはらはらするスピーチ(プレゼンターにクリント・イーストウッドとリーアム・ニーソン)↓

Maureen O’Hara receives an Honorary Award at the 2014 Governors Awards - YouTube


The Quiet Man (Kiss Scene) - YouTube


↑『静かなる男』〔1952・監督ジョン・フォード〕―――吹き荒ぶ風の中のジョン・ウェインとモーリン・オハラのくそかっこいいキスシーン。
しびれるのう。


Academy Honorary Award

2014-08-30 00:44:54 | アニメーション
Hayao Miyazaki Childhood Interests - YouTube


アカデミーによる、ジョン・ラセターと宮崎駿の対談。
えらく断片的なフッテージで、全部でいくつあるのかよくわからん。

自分の子供時代を訊かれて、「空想していた」と答える宮崎さん。

その空想が「戦争」や「兵器」や「戦術」や「宿命に翻弄される少女」であったろうことは、疑いの余地がない。

宮崎駿監督にアカデミー名誉賞 NHKニュース

で、黒澤明以来、日本人2人目となるアカデミー名誉賞の受賞であるが、この調子だと今年にも文化勲章をもらったりしてしまうのであろうか。

‥‥‥
アカデミー名誉賞といえば、晩年のハワード・ホークスも1975年4月8日に第47回アカデミー賞で受賞しており、そのVTR映像はネットにないのかと以前から気になっていて、今回ちょっとぐぐってみたら公式のOscars - YouTubeのチャンネルにあがっておった↓

John Wayne and Howard Hawks 1975 Oscars - YouTube


プレゼンターのデュークのウィッグが、すごくウィッグなことに目を奪われつつも、ホークスのスピーチは亡くなる直前のジョン・フォードとの会話に言及した感動的なもので、貴重である。

会話の中の、『イングロリアス・バスターズ』〔2009〕でも引用されていた『ヨーク軍曹』〔1941〕は、ホークス唯一のアカデミー監督賞のノミネートであり、その年の監督賞が『ラピュタ』〔1986〕の元ネタのひとつといえる、ジョン・フォードの傑作『わが谷は緑なりき』〔1941〕なのだった。

ちなみに、『わが谷は緑なりき』の主演女優は、今回宮崎さんと一緒に名誉賞をもらう、モーリン・オハラ(94歳!)である。

‥‥‥ある日、彼は笑いながら言った。『‥‥‥私はそれほど良くない作品を作り、君は『ヨーク軍曹』を作った』。で、彼は言った。『アカデミー賞は私がもらった』。そして彼はそれまで笑っていたのを止めて、真顔でいった。『まあ、君ももらえるさ』。私が『そうは思えない』と答えると、彼は『何を言う。もらうことになるよ』と言った。そのようなわけで、アカデミーの方々には、彼の予言を真実にして下さったことに感謝したい。‥‥‥
(『ハワード・ホークス―ハリウッド伝説に生きる偉大な監督』トッド・マッカーシー著・フィルムアート社/744P)


↓スピーチ全文

Year: 1974 (47th) Academy Awards
Category: Honorary Award
Winner: To Howard Hawks - A master American filmmaker whose creative efforts hold a distinguished place in world cinema.