ベタベタなタイトルやなぁと思いながら、本屋で立ち読んでみると、ベスト10の何が画期的だったのかとか、二人のデビュー前の芸能界の状況をかいつまんで見せるとか、色々と新しい切り口がありそうで買ってみました。
僕はアイドルというよりは、どっちかというとニューミュージックのほうに行きたい派だったのですが、それでも松田聖子のカバーアルバムとか買うと、ほとんど知っていたりするし、アンチ松田聖子としての中森明菜は結構好きだったし、それなりに関わってきていました。この本では、ベスト10だけじゃなくて、当時の芸能誌まで資料として取り扱っていて、僕があえて無視していた女性誌のバッシングやら結婚報道とかもいろいろと載っていて、やはり彼女達はそういうのも視野に入れながら、いろいろと生き残り戦略を取っていて、そういうのの背景として紹介される分には面白いし、楽しめました。
これが楽しめるというのは、まさに同時代を生きてきて、その時代を俯瞰的な立場から眺めなおす快感が味わえるということで、1960年代生まれの人にお勧めです。
なお、松田聖子は歌が下手という神話があって、僕は本気で信じていたのですが、この本で見事に打ち崩されてしまいました。
さらに僕は歌が下手な松田聖子でなく、実力派の中森明菜を応援していたと思っていたのですが、ポストモダン松田聖子と遅れてきた構造主義中森明菜だったのですね。それは、それで納得できるような。
でも、単純な構造主義でもないところも面白い。
また、Winkが最後のアイドルという神話もあって、確かにこの本の流れで行くと、最後はWinkかなと思っていたのですが、時期的にも合っているのですが、残念ながらWink は出てきません。
この話をうちの奥さんにしたところ、その後、小室軍団とか、モー娘とか出てきているじゃんという指摘もあって、僕としては、その辺の歌を知らないので、やはり特定の世代に向けて書かれている本かもしれません。
ピンクレディー、キャンディーズから山口百恵への流れを説明しているだけで、その前の、浅田美代、天地真理、アグネスチャンあたりも出てきていないのは、おそらく本書の趣旨に合わないからでしょうね。
一生懸命に背を向けていながらも汚染されていた、かつて存在した輝やかしい世界の貴重な記録として面白かったです。
------ 08/1/8 追記 ---------------------------
著者の中川右介氏からご指摘をいただきました。
>さらに僕は歌が下手な松田聖子でなく、実力派の中森明菜を応援していたと思っ
>ていたのですが、ポストモダン松田聖子と遅れてきた構造主義中森明菜だったの
>ですね。それは、それで納得できるような。
>でも、単純な構造主義でもないところも面白い。
という部分は、元の本では
中森明菜=遅れてきた実存主義、松田聖子=構造主義、小泉今日子=ポストモダン
とされています。
これらの思想について、このブログエントリーを書いたタイミングではそれぞれを理解せずに書いていたのですが、中川氏からの指摘を受けて、遅まきながら、にわか勉強しました。僕のにわか勉強の内容をあまり書くよりも、ウィキペディアや書籍などにあたって欲しいのですが、
アイドルは「演じるべき記号」なのか、「引き受けるべき役割」なのかというところで、松田聖子vs中森明菜、あるいは、構造主義vs実存主義が分かれる部分なのでしょうね。ポストモダンについて、あるいは、小泉今日子については、まだもう少し勉強してから来ます。
僕はアイドルというよりは、どっちかというとニューミュージックのほうに行きたい派だったのですが、それでも松田聖子のカバーアルバムとか買うと、ほとんど知っていたりするし、アンチ松田聖子としての中森明菜は結構好きだったし、それなりに関わってきていました。この本では、ベスト10だけじゃなくて、当時の芸能誌まで資料として取り扱っていて、僕があえて無視していた女性誌のバッシングやら結婚報道とかもいろいろと載っていて、やはり彼女達はそういうのも視野に入れながら、いろいろと生き残り戦略を取っていて、そういうのの背景として紹介される分には面白いし、楽しめました。
これが楽しめるというのは、まさに同時代を生きてきて、その時代を俯瞰的な立場から眺めなおす快感が味わえるということで、1960年代生まれの人にお勧めです。
なお、松田聖子は歌が下手という神話があって、僕は本気で信じていたのですが、この本で見事に打ち崩されてしまいました。
さらに僕は歌が下手な松田聖子でなく、実力派の中森明菜を応援していたと思っていたのですが、ポストモダン松田聖子と遅れてきた構造主義中森明菜だったのですね。それは、それで納得できるような。
でも、単純な構造主義でもないところも面白い。
また、Winkが最後のアイドルという神話もあって、確かにこの本の流れで行くと、最後はWinkかなと思っていたのですが、時期的にも合っているのですが、残念ながらWink は出てきません。
この話をうちの奥さんにしたところ、その後、小室軍団とか、モー娘とか出てきているじゃんという指摘もあって、僕としては、その辺の歌を知らないので、やはり特定の世代に向けて書かれている本かもしれません。
ピンクレディー、キャンディーズから山口百恵への流れを説明しているだけで、その前の、浅田美代、天地真理、アグネスチャンあたりも出てきていないのは、おそらく本書の趣旨に合わないからでしょうね。
一生懸命に背を向けていながらも汚染されていた、かつて存在した輝やかしい世界の貴重な記録として面白かったです。
------ 08/1/8 追記 ---------------------------
著者の中川右介氏からご指摘をいただきました。
>さらに僕は歌が下手な松田聖子でなく、実力派の中森明菜を応援していたと思っ
>ていたのですが、ポストモダン松田聖子と遅れてきた構造主義中森明菜だったの
>ですね。それは、それで納得できるような。
>でも、単純な構造主義でもないところも面白い。
という部分は、元の本では
中森明菜=遅れてきた実存主義、松田聖子=構造主義、小泉今日子=ポストモダン
とされています。
これらの思想について、このブログエントリーを書いたタイミングではそれぞれを理解せずに書いていたのですが、中川氏からの指摘を受けて、遅まきながら、にわか勉強しました。僕のにわか勉強の内容をあまり書くよりも、ウィキペディアや書籍などにあたって欲しいのですが、
アイドルは「演じるべき記号」なのか、「引き受けるべき役割」なのかというところで、松田聖子vs中森明菜、あるいは、構造主義vs実存主義が分かれる部分なのでしょうね。ポストモダンについて、あるいは、小泉今日子については、まだもう少し勉強してから来ます。
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらもぜひお読みください。
http://www.alphabeta-cj.co.jp/aisatsu.html
それと、松田聖子が構造主義、中森明菜は遅れてきた実存主義、小泉今日子がポストモダン、と書いたつもりです。
「ポストモダンだとかいう訳の分からない時代になりそうだからこそ、唯一確実と思われる」という文章を見つけて、そこだけで誤った引用をしてしまいました。
著者自らご指摘いただくとは!ありがとうございます。
そして、恥ずかしいぞ>おれ
本文のほうに追記しておきます。