三毛様

お家近くの
栗の木が植えて
ある所に、多分
あの三毛さんが。
近くまで行って
見た。。。って
言ってもお母ちゃん
だけ。
あたしは待てと。

やっぱり凄く
可愛い子だょ？
ゆき。。。

だから、ってお友達に
なれないんでしょ？

この三毛さんは
甲斐犬雑種のお家
の子じゃないのかしら
。。。

そんな中。。。

視線の先に
嬉しいモノを
捉えてしまい
ましたとさ。

霧雨じゃなぃ

毎度雨模様の時
にやるおばはんの
行動。。。
何回も外を見たり
時々、出てもみたり
とか。

これ位なら、ゆき、
大丈夫そぅかね？
行こうっ！！！

おばはんは、傘も差さず
ジャンバーのフードを
被って。
あたしは仰々しくレイン
コートは着ないで、直に
林家パー子仕様のピンク
ベンチを。
１１℃だから暑いかも
だけど霧雨で結構、涼しいし、
って。

歩き出すと結構、雨が酷く
なって来た。

おばはんのフードから
滴る雨水で、首から下げた
携帯も、右手に持った
カメラも濡れて。

あたしもビッショリ。

ゆき、こりゃ霧雨どこ
じゃなぃよ、やばいやばい
。。。帰ろ？
前が見えないぞぅ～
と五月蠅くなり始めた。

自尊心-飼い主の複雑な気持ち

これは、昴君と別れた
後に、３０メートル
程先を「イヌ」が飼い主
と早歩きでサッサと闊歩
して居るモノを追い掛け
て居る。

脇目も振らずにその子を
追い掛ける。
凄まじい速さで。

自分にはその子の尻尾が
ポメの尻尾の様に厚ぼっ
たく左右に振れて居る様
に見えた。

距離が縮まるに連れ、結構
大きな子だというのが
判って来る。

ゆきはゼィゼィ息を切らせ
乍らも必死で追い掛ける。

一体何なのだろう、
これまでにその様な事等
皆無であった。。。
何が起こったのか皆目検討
が付かない。。。

「その子」がマーキング
をする為に立ち止まる。

「その子」はこれまでにも
擦れ違う度ゆきを限り
無く威嚇する子であった。
リードをピンと張り、今
にも襲いかかって来る勢いで
。。。

威嚇される度、ゆきは
刃向かう事も無く腹立た
し気な表情を向けるのみ、
その場をやり過ごして居た。

しかし。。。彼女はずっと
心に引っ掛かって居たのかも
知れない。。。
頭に来て居たのかも解ら
ない。

ドラッグストア前の横断
歩道で「その子」；雑種の
中型；が止まった。

数メートル手前でゆきも
止まる。首を真っ直ぐ上げ、
尻尾をピンと伸ばし、目は
真剣だった。

飼い主さんが気配を感じ
振り返る。

仕方が無い故、
何だか、気になるみたぃで
大分前から後を追い掛けて
。。。
と言った。

雄ですか？

いいえ、雌です。

あ、じゃ、ダメだ。。。
雌には吠えて向かって行く
んですょ。
と。。。

もしかしたら飼い主さんは
単純に好意的な意味で興味が
有り追い掛けて来た、と
思ったかも知れない。
その様な雰囲気だった。

ゆきは。。。この１１年、
自分から攻撃は疎か威嚇を
したり、他イヌに対し一切
の迷惑行為を示した事は無い。

ヒト社会の中に於いても
従順で賢く、状況判断にも
優れ、常に飼い主を崇め立て
て居る様にさえ見えるイヌだ。

それが。。。実は気持ちは
強くイヌの部分を持って
居る、自尊心の強い子なの
ではなかろうか。。。

彼女の具合が著しく悪く
なり今まで仲良くして居た
子等に襲われたり等という
事が彼女の崇高なプライドを
どれ程傷付けた事だろう。。。

それ等を考えるとこの上無く
悲しくなり、切無くもなる。

傷付く彼女の為に何か
出来るのであろうか。。。
あれ以来、ずっと考えて居る。
体調が悪くなり、
今まで穏やかに接して来て
居た子等が襲って来る様
になった、多くの体験。。。

しかし、行き着くのは。。。
これはもうヒトが介入出来る
領域では無いのかも解らない、
といったところ。。。

帰宅し。。。彼女が存在
する事に因りどれ程の幸せを
与えられたか、を抱き締める
事で表すしかなかった。

その行動が全くリンクしない
と解って居ても。。。
いや、もしかして少しは
自尊心に繋がるのか？

---イヌ、のゆき---
---人間である飼い主---

彼女に対して出来る事は
限られて居る。。。
表面上の事しか出来ない自分
が情けない。。。

探したけど

居なかった。