第121回日本外科学会総会にあわせて第29回日本大動脈外科研究会が4月9日に開かれました。今回はオンライン開催となってしまったため会場で直接演者の先生たちと意見交換したりすることはできませんでしたが、その代わり、自宅で夕食を食べながら視聴でき、それも一つの学会の新しい参加の形だと思いました。
今回は自治医科大学附属さいたま医療センター心臓血管外科の山口敦司教授が主幹のため、当医局関連施設から三演題の発表があり、テーマ「Shaggy Aortaに対する手術」にちなんで横須賀市立うわまち病院からは、Shaggy Aortaに対するBrain Isolation Techniqueを使用して弓部大動脈置換を実施した2症例の症例報告を行いました。Brain Isolation Techniqueは、Isolated Cerebral Perfusionとも言い、大動脈の粥腫を人工心肺からの送血で巻き上げて脳梗塞を起こすのを防ぐために人工心肺からの脳への送血を大動脈を介さないルートで送血する方法で、両側腋窩動脈送血を開始と同時に左総頚動脈を遮断して、左総頚動脈から直接カニューレを挿入して左大脳半球の血流を確保することで、大動脈を介した全身還流と脳の還流を完全に分離する方法です。頸動脈や脳内動脈にプラークや粥腫などがあってそれが脳梗塞を起こすという可能性は排除できませんが、Shaggy Aortaにより粥腫飛散は防止できます。当院の経験した症例もこの方法で脳梗塞を回避でき、経過良好で退院できました。またオープンステントで粥腫を裏打ち、圧着することで、吻合操作による粥腫飛散を防止し、さらに大腿動脈で血液をフラッシュすることで、下半身に粥腫が飛散し臓器血流障害を起こすこともある程度防止できました。
横浜市立大学センター病院からの発表では同様にこのBrain Isolation Techniqueについての発表があり、この方法導入前の選択的脳還流をしていた時代と、Brain Isolation Techniqueに切り替えた後の症例を比較して優位に弓部大動脈置換術における脳梗塞が減少しているという内容でした。オリジナルは浜松医科大学の椎谷先生が考案した方法で、浜松、および横浜市立大学の笠間啓一郎先生が書いた論文を参考に当院でもBrain Isolation Techniqueを実施しています。
大動脈の診療に限定した研究会は国内のエキスパート施設からの演者によって非常に熱い議論が毎回行われる会です。来年は熊本で行われるということで、次回も楽しみにしております。
今回は自治医科大学附属さいたま医療センター心臓血管外科の山口敦司教授が主幹のため、当医局関連施設から三演題の発表があり、テーマ「Shaggy Aortaに対する手術」にちなんで横須賀市立うわまち病院からは、Shaggy Aortaに対するBrain Isolation Techniqueを使用して弓部大動脈置換を実施した2症例の症例報告を行いました。Brain Isolation Techniqueは、Isolated Cerebral Perfusionとも言い、大動脈の粥腫を人工心肺からの送血で巻き上げて脳梗塞を起こすのを防ぐために人工心肺からの脳への送血を大動脈を介さないルートで送血する方法で、両側腋窩動脈送血を開始と同時に左総頚動脈を遮断して、左総頚動脈から直接カニューレを挿入して左大脳半球の血流を確保することで、大動脈を介した全身還流と脳の還流を完全に分離する方法です。頸動脈や脳内動脈にプラークや粥腫などがあってそれが脳梗塞を起こすという可能性は排除できませんが、Shaggy Aortaにより粥腫飛散は防止できます。当院の経験した症例もこの方法で脳梗塞を回避でき、経過良好で退院できました。またオープンステントで粥腫を裏打ち、圧着することで、吻合操作による粥腫飛散を防止し、さらに大腿動脈で血液をフラッシュすることで、下半身に粥腫が飛散し臓器血流障害を起こすこともある程度防止できました。
横浜市立大学センター病院からの発表では同様にこのBrain Isolation Techniqueについての発表があり、この方法導入前の選択的脳還流をしていた時代と、Brain Isolation Techniqueに切り替えた後の症例を比較して優位に弓部大動脈置換術における脳梗塞が減少しているという内容でした。オリジナルは浜松医科大学の椎谷先生が考案した方法で、浜松、および横浜市立大学の笠間啓一郎先生が書いた論文を参考に当院でもBrain Isolation Techniqueを実施しています。
大動脈の診療に限定した研究会は国内のエキスパート施設からの演者によって非常に熱い議論が毎回行われる会です。来年は熊本で行われるということで、次回も楽しみにしております。