横須賀うわまち病院心臓血管外科

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歯周病から全身病へ・口は災いの元

2018-07-17 14:35:34 | 心臓病の治療
 主に歯科医師会の先生たちを対象に行った、心臓血管外科手術と周術期口腔管理という演題の講演では、最新の心臓血管外科手術について、歯周病と外科手術・全身疾患の関係、そして感染性心内膜炎の外科治療についてお話しさせていただきました。

 歯周病から全身病に進展するには、歯周病で発生した炎症性サイトカインが血中に入り込んで全身に影響を及ぼす場合と、歯周病菌が主に血中に入り込んで菌血症から起こす全身病とがあります。
 炎症性物質はTNF-αやインターロイキン、エンドトキシンなどが関与し、これによってインスリン抵抗性が悪化したりして血糖管理が悪化させたり、慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患に影響することもあります。また動脈硬化の促進により、虚血性心疾患や脳梗塞、認知症の悪化が起こるとも言われています。また、エンドトキシンの影響でウィルス感染が起きやすくなりインフルエンザにかかりやすくなったり、HIVを活性化してエイズ発症にも関与するといわれています。
 一方、菌血症から起こるものの代表は、心臓の弁膜などに感染を起こす感染性心内膜炎です。他に動脈硬化のプラークやバージャー病の血管病変から細菌が同定されており、動脈硬化性疾患の悪化に関与するといわれています。また口腔内環境が悪いと誤嚥性肺炎にもなりやすいといわれており、特に人工呼吸器装着中に起こす人工呼吸器関連肺炎(VAP: Ventilator Assissted Pneymonia)の頻度が増加するといわれています。

 口腔ケアはその意味で周術期は特に重要ですが、普段から口腔内の衛生環境を整えておくことは、病気の発生や進行予防には非常に重要です。
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