DNAR=Do Not Resuscitate 蘇生しない=救命しない=治療放棄
外科医は病気を治すのに対して、内科医は病気を治す医者もいますが、多くは病気を診るのが役割のようです。病気を診る、というのは、治すのとは全然違うようです。診察して、診断するのが主で、診断して病態を把握した時点で仕事の半分以上終わっていると思っている内科医が多いようです。患者の期待する「治療」とは診断がついて病態把握してから、始まるのに、治療を始める前に治療を放棄してDNARの同意を取得しようとする内科医のいかに多いのには驚きます。そうした内科医は治療に失敗した際に責任を負わされたくない、という一心から積極的にDNARの同意を家族から取ろうとします。また、診ているうちに病態が悪化してくると、すぐにDNARの同意を取ろうとします。高齢という理由だけで治療を放棄してもいい、なんて一般の人は考えないですし、たとえ治らなくとも痛みや苦しみを緩和してあげるのも治療の一つです。痛みや苦痛を取るような治療すらしないことを、BSC=Best Supportive Careと呼ぶ人もいますが、これは患者に対するBest Supportではなく、何も治療したくない医者に対するBest Supportだとしか聞こえません。医師免許が不要な仕事しかしない医者に運悪くあたってしまわないようにしたいものですが、心臓血管外科の積極的な診療をしていると、常にこうした「治療放棄」の医者と戦うことになる現状は年々ひどくなっているように思えてなりません。患者さん、およびそのご親族にはこうした医者の治療放棄に関する説得に押し負けることなく、治療希望をしっかり伝えてできる治療を受ける権利を主張していいと思います。そのために救急車を読んだり、病院を受診したりしているのですから。