筆者は自治医大の卒業生としてへき地の病院に6年間勤務しました。その当時は20代~30代前半ということもあり、タイトルのような経験を幾度ともなく経験しました。
田舎の診療はそれまで在籍していた年配のドクターの引継ぎだったりすることもあり、いわゆるエビデンスとはかけ離れた昔の慣習的な医療を求められることも多数ありました。
しかし、地域での医療を継続的に行っていくためにはいくつかの妥協は必要です。これは意味がないと思っても、患者さんが満足してまたクリニックに来てくれるということであれば、徐々にそうした医療はしない方向に持っていくことにして、ある程度は許容してあげるひつようがあります。
自分のいう、エビデンスのない医療とは、ウィルス感染に抗生剤を処方したり、必要ないのに湿布薬処方を強要されたり、不要な点滴、トリガーポイント注射、膝関節のアルツ注射などなどです。「自分はこの薬があっているから」と言われ適切な処方変更ができないことも多々ありましたが、気長に相手の気持ちが受け入れ可能となるまで何度か外来で会って、信頼関係が構築されてから変更するという手もあります。
地域医療では一回で治療を完結させないのがコツ、と先輩医師に言われたことがあります。信頼関係が構築されれば意外にすんなりこちらの言い分を受け入れてくれることが多いと思います。
新しく横須賀市立総合医療センターが開院し、横須賀市立うわまち病院が中身そっくり移った形態ではありますが、新規の病院の意識で、初診を忘れずに、患者さんに足を運んでもらう病院を目指したいと思います。
https://www.m3.com/news/general/1251780 の筆者による投稿記事より