① 皮膚切開ですが、女性の場合は乳房下縁の皺、もしくは前腋窩線で切開が基本で、そこから乳房をよけて、大胸筋外縁を剥離して第4肋間に入っていきます。大胸筋は極力きらないほうが、術後の乳房変形を予防できます。
② 分離肺換気は確実に分離するためにブロンコキャスを使用し術直後にシングルのものに入れ替えしております。麻酔科医に入れ替えが面倒とか、嫌われがちですが、安定した確実な視野確保が最優先されますので、MICSをしている施設では知る限り、当院でもブロンコキャスにして特に支障なく実施しています。
③ 女性の場合は皮膚切開と肋間切開の位置は一致しません。肋間切開できるように、皮膚切開から乳房を受動することで乳房の変形を防いでいます。
④ RITAは結果的に切れてしまう場合もありますが、その手前で肋間筋切開を止めています。
⑤ 第5肋骨を視野不良の場合は外すことも一手と思います。自治では最初に実施した2例のMVPで第肋骨をはずしましたが、その後ははずしていません。
⑥ 開胸器は必要です。しかし、手術操作の邪魔になることもあり、症例によっては操作開始とともに外す場合もあります。Wound RetactorはMで行っています。
⑦ 予想視野よりも実際は深い視野で手術する必要がある場合が多いと思います。開けたときに、これでほんとうにやるの~!!って印象を持つ可能性がありますが、なんとかなることが多いです。
⑧ 心膜を開ける前に人工心肺を装着し、運転開始後に開けている施設もありますが、Stonehenge法では心膜を開ける前にヘパリンを開始して牽引糸を貫通した胸壁などから出血して難渋するケースもあるため、視野を確保してからヘパリンを注射し、その後に人工心肺を装着しています。
⑨ 通常、心膜を開ける前に人工心肺で脱血して行う必要はないことが多いですが、右房などを手術操作で損傷することがないように注意する必要があります。なので、送脱血間を留置するまえに損傷させるリスクがある操作はしないようにしています(実際にカニュレーション前に出血して苦労した経験があります)。
⑩ LA-LV弁とは術野から十分挿入留置が可能です。基本的にシングルポートでの手術操作をしています。別穴から挿入するのは困難ですので、シンプルな回路とするこが肝要かと思われますが、もし、完全鏡視下手術を目指して創を小さくしていく場合には操作用のポート、遮断鉗子の挿入口などを別創にすることが有用とおもわれます。
⑪ 牽引糸は外側により大きく引っ張りたいために外側に多くし、内側は3針ほどにしています。できるだけ大動脈を尾側に牽引するように糸の方向を考えて穿刺位置を決定しています。エンドクローズでケガしないように注意してください。
⑫ ARでDdが大きいと、心臓が大きくて牽引しても手前に引っ張ってこれない可能性があります。視野が悪くても方向さえよければ手術は可能なことがおおいです。正中切開のように全貌を一視野で確認できず、部分的に観察しながら手術しなければならないこともありますので、その視野、操作性の悪さをある程度覚悟しておく必要があります。
MICS-AVRに関するポイントです
② 分離肺換気は確実に分離するためにブロンコキャスを使用し術直後にシングルのものに入れ替えしております。麻酔科医に入れ替えが面倒とか、嫌われがちですが、安定した確実な視野確保が最優先されますので、MICSをしている施設では知る限り、当院でもブロンコキャスにして特に支障なく実施しています。
③ 女性の場合は皮膚切開と肋間切開の位置は一致しません。肋間切開できるように、皮膚切開から乳房を受動することで乳房の変形を防いでいます。
④ RITAは結果的に切れてしまう場合もありますが、その手前で肋間筋切開を止めています。
⑤ 第5肋骨を視野不良の場合は外すことも一手と思います。自治では最初に実施した2例のMVPで第肋骨をはずしましたが、その後ははずしていません。
⑥ 開胸器は必要です。しかし、手術操作の邪魔になることもあり、症例によっては操作開始とともに外す場合もあります。Wound RetactorはMで行っています。
⑦ 予想視野よりも実際は深い視野で手術する必要がある場合が多いと思います。開けたときに、これでほんとうにやるの~!!って印象を持つ可能性がありますが、なんとかなることが多いです。
⑧ 心膜を開ける前に人工心肺を装着し、運転開始後に開けている施設もありますが、Stonehenge法では心膜を開ける前にヘパリンを開始して牽引糸を貫通した胸壁などから出血して難渋するケースもあるため、視野を確保してからヘパリンを注射し、その後に人工心肺を装着しています。
⑨ 通常、心膜を開ける前に人工心肺で脱血して行う必要はないことが多いですが、右房などを手術操作で損傷することがないように注意する必要があります。なので、送脱血間を留置するまえに損傷させるリスクがある操作はしないようにしています(実際にカニュレーション前に出血して苦労した経験があります)。
⑩ LA-LV弁とは術野から十分挿入留置が可能です。基本的にシングルポートでの手術操作をしています。別穴から挿入するのは困難ですので、シンプルな回路とするこが肝要かと思われますが、もし、完全鏡視下手術を目指して創を小さくしていく場合には操作用のポート、遮断鉗子の挿入口などを別創にすることが有用とおもわれます。
⑪ 牽引糸は外側により大きく引っ張りたいために外側に多くし、内側は3針ほどにしています。できるだけ大動脈を尾側に牽引するように糸の方向を考えて穿刺位置を決定しています。エンドクローズでケガしないように注意してください。
⑫ ARでDdが大きいと、心臓が大きくて牽引しても手前に引っ張ってこれない可能性があります。視野が悪くても方向さえよければ手術は可能なことがおおいです。正中切開のように全貌を一視野で確認できず、部分的に観察しながら手術しなければならないこともありますので、その視野、操作性の悪さをある程度覚悟しておく必要があります。
MICS-AVRに関するポイントです