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ステロイドの副作用からこどもの骨を守る治療法開発に成功

2020-05-09 | 健康・病気
 北海道大学大学院医学研究院の髙畑雅彦准教授、同大学院歯学研究院の網塚憲生教授らの研究グループは、第一三共株式会社と共同で、同社が創生したシグレック15抗体が小児ステロイド性骨粗しょう症に対し、有効かつ安全な治療法となり得ることを世界で初めて証明した。本研究成果は2020年3月23日(月)公開のBONE誌にオンライン掲載。
 ポイント
 〇抗シグレック15療法がステロイドの副作用である骨粗しょう症の予防に有効であることを証明。
 〇抗シグレック15療法は骨成長を妨げずに骨量及び骨強度を増加させる。
 〇小児ステロイド性骨粗鬆症治療薬開発の進展に期待。
 骨粗しょう症は高齢者に多い病気だが、小児でも骨系統疾患(生まれつきの骨の病気)やネフローゼ症候群、小児がんなどの疾病やその治療に用いられる薬剤によって骨粗しょう症を発症することがある。
 最も頻度が高いのはステロイド薬による骨粗しょう症で、長期的に使用した場合やパルス療法を行なった場合は、脆弱性骨折を起こすこともまれではない。成人では、ステロイドを投与する場合、予防的に骨粗しょう症治療薬を併用投与することが推奨されている。しかし小児では、既存の骨粗しょう症治療薬の安全性が確立されておらず、ステロイドと併用できる骨粗しょう症治療薬がない。そのため、小児にも安全に使用できる新しいステロイド性骨粗しょう症治療薬の開発が必要とされている。
 骨粗しょう症の治療には破骨細胞の分化や働きを抑える骨吸収抑制薬が主に用いられるが、この薬剤を成長期の小児に使用した場合、骨の成長を妨げる可能性がある。これは、成人の骨が形を変えないままリモデリング(新陳代謝)で維持されるのに対し、成長期の骨はリモデリングに加えて、成長に伴う形態変化(モデリング)が必要なためだ。破骨細胞はこのモデリングにおいても重要な役割を担っている。実際に、遺伝的に破骨細胞ができない/機能しないマウスでは長幹骨に成長障害がみられ、こびと症を呈する。
 シグレック15抗体と既存骨粗しょう症薬、予防効果と骨成長への影響をラットで比較
 シグレック15 は主に破骨細胞の細胞膜に発現するシアル酸受容体ファミリータンパク質のひとつで、破骨細胞の最終分化を制御するI型膜タンパク質。シグレック15遺伝子を欠損するマウスは破骨細胞分化不全による大理石病様表現型を示すものの、成長障害はきたさない。これは成長帯付近にシグレック15の代償経路が存在するためだ。つまり、抗シグレック15分子標的療法は、骨の成長に悪影響を与えずに骨量を増加させる理想的な小児骨粗しょう症治療法といえる。そこで今回、研究グループは、成長期の小児ステロイド性骨粗しょう症に対するシグレック15 抗体と代表的な既存骨粗しょう症治療薬であるアレンドロネートの予防的治療効果と骨成長への影響を、ラットを用いて検討した。
 6週齢の成長期雌ラット背部にステロイド(プレドニゾロン)が徐々に溶け出すペレットを埋め込み、ステロイド性骨粗しょう症モデルを作成。このラットに、シグレック15 抗体、アレンドロネート、溶媒のみ(コントロール)をステロイド投与と同時期に6週間投与し、骨成長への影響と骨量・骨強度増加効果を比較検証した。骨成長への影響は、経時的な体長、大腿骨長の計測と成長帯の組織学的観察で評価した。骨量・骨強度増加効果は、X線マイクロCTを用いた骨量・骨微細構造解析、重エネルギーX線吸収測定法による骨密度測定、組織学的観察で評価した。
 抗シグレック15療法は骨成長を妨げず、骨量と骨強度を増加
 ステロイドを投与したラットは、健常ラットと比較して大腿骨の骨量と骨強度が低下するとともに体長及び大腿骨長の成長が鈍化した。ステロイドに加え溶媒のみを投与したラットと比較して、シグレック15抗体を投与したラットでは体長や大腿骨長に変化はなかったが、大腿骨の骨量、骨密度と骨強度が有意に改善した。アレンドロネートを投与したラットでは、骨量や骨密度が有意に改善したが、骨の形態異常や骨成長帯に異常が生じた。シグレック15抗体はアレンドロネートと比較して骨量増加効果や骨強度改善効果が優れていたが、これはアレンドロネート投与により骨形成がさらに低下したのに対し、シグレック15抗体投与では低下しないためと考えられた。つまり、骨成長に対する安全性だけでなく、骨粗しょう症治療効果においてもシグレック15抗体は既存の骨吸収抑制剤よりも優れる可能性が示された。
 研究グループは、「抗シグレック15療法は、小児ステロイド性骨粗しょう症に対して有効かつ安全に使用できる可能性が示された。小児がんや自己免疫疾患、ネフローゼ症候群などの病気に苦しむ子どもにステロイドを使う際の有効な予防法になると期待される」と、述べている。
 ◆用語解説
 〇破骨細胞
 骨の新陳代謝の過程において、古い骨を溶かして吸収する細胞。閉経や炎症、がんなどで過剰に数が増えると病的な骨吸収を引きおこし、骨粗しょう症や病的骨破壊の原因となる。
 〇シグレック15
 骨の吸収を担う破骨細胞の最終分化を制御するタンパク質(免疫グロブリン様受容体)。
 〇成長帯
 関節の近くの軟骨でできた部分。骨は、成長帯において伸びる。
 〇パミドロネート、アレンドロネート
 骨粗しょう症治療の第一選択薬であるビスフォスフォネート製剤。破骨細胞に取り込まれ、細胞の自死(アポトーシス)を誘導することで骨吸収を強力に抑制する。

 今日の天気は晴れ。日々、気温が上がり、今日の最高気温は、23℃とか。
 小さなお庭の隅で、”ゴウダソウ”の花が咲き始めている。・・まだ団扇の様な丸い莢の実は付いていない。
 名(ゴウダソウ)の由来は、1901年(明治34年)に東京美術学校教授の合田清氏がパリから種子を持ち帰ったのが始まりである。学名はルナリア(Lunaria annua)、属名の Lunaria はラテン語の「Luna(月)」からである。団扇(うちわ)の様な丸い莢(さや)の形から名づけられたものである。因みに、昨日紹介した”ヒメキンギョソウ(姫金魚草)”は、別名:リナリア(Linaria)。
 花後にできる莢がとてもユニークで、団扇の様な円形の平たい莢の中に数粒の種がある。最初は淡緑色だが段々と曇りガラスの様な透明感のある薄い膜となる。熟して種が出てしまっても薄い膜(隔膜)が株に残る。
 ゴウダソウ(合田草)
 別名:大判草(おおばんそう)、銀扇草(ぎんせんそう)、銀貨草(ぎんかそう)
    ルナリア(Lunaria)
 学名:Lunaria annua
 アブラナ科ルナリア属
 一年草
 原産地はヨーロッパ中央部
 開花時期は5月~6月
 花は径2cm位でアブラナ科特有の十字形の花びら
 花色は赤紫色、白色もある
 花後の種子は薄く半透明で団扇のような形の莢に入っている


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