ハサミ
それは私にとって無くてはならない嗜み
それで花業に勤しみ励み営み
その中で幾多の時を刻み
忙しく過ぎる日々に
花を切るはずのハサミは
いつしか人への感情も断ち切っている
時間が勿体無いと親身になれず
すぐに冷めては切り捨てる
段々と人を信用出来ないほどに心は淀み
そんな自分に哀れみを覚えては
花見をしてまどろみ風見
何処吹く風のようにフラフラし
そんな中で私に
”ハサミは運命を切り開く”と
華道家がハサミと言葉をくれた
だから微笑み前を向き歩き出し
また楽しいことを夢見企み
成さなきゃ無意味と意気込み
明日からまた自然の恵みを摘み組み
そして切り包み
花束を作り渡し
社会に甘みは無いと志し
またハサミを強く握りしめて
歯を食い縛りながら切り
心はもはや花にのみと知り
冷たい鉄の
開けば遠のき
閉じれば傷付けてしまう
それの仕組みは
どこか自分の対人関係に似ているなと慰み
ハサミ
丹澤
東京 中野 花屋 GREENCOAST
