公私conGRECO 

大塚の隠れ家ライヴハウスGRECOより音楽的酒と薔薇の日々

川村奈美子オール・ショパン&リスト プログラム

2010-08-28 10:51:28 | Weblog
川村さんに初めて出会ったのは
かれこれ10年近くも前になろうか、親友のホームパーティーでのことだった。
たらふく飲んでたらふく食べ、宴もたけなわの中
その日のホステスであるわが友の紹介を受け
すすっと進み出ると リストを1曲弾いた。
稲妻が光ったようだった。

さっきまで隣でにこやかに座っていた小柄な彼女がこれを弾くのか。
酒の入ったパーティーの席で リストだ。

惚れた。

そのときからの縁である。

川村さんはいつも全身全霊全体力をピアノに注いで演奏する。

昨日も本当に凄い、すばらしいピアノを聴かせてくださった。
見ていただければ一目瞭然、一切手加減なしのプログラムだ。

ショパン
マズルカ、プレリュードで順当なスタート、
その後のエチュードでは、
NO.9のあとの黒鍵、続けての革命、
普通ならこれで終わって当然のところ
さらに アンダンテスピナートと華麗なる大ポロネーズ である。
そして30分の休憩ののちは
リスト!!それも3曲!!!
ハンガリアンラプソディー1曲だけだって2キロは痩せるんじゃないか。

ひたすら感動する。

この日のためにどれだけの時間彼女が準備してくれたのか。
いつも華奢な彼女がさらにほっそりして現れたとき
一瞬でそれを思った。

「クラシックピアニストっていうのはねえ、半っ端じゃないんですよ」
「頭、上がんないですよ」
多くのピアニストたちが口にするのは 身をもってわかっているからだ。


グレコのような小さな場所で、
それも飲み食べしながら聴くクラシックコンサート、などというと
大曲を1曲、中曲(こんな言い方があるもんかどうかですが)を1.2曲
あとは耳なじみのいいほとんどポップスといってもいい曲を並べ
はい、クラシックでございますとしゃらりとお辞儀する演奏者がほとんどだ。

それなのに
大ホールでのリサイタル同様の演目が
手を伸ばせば触れられる距離で
息遣いさえ届く距離で 繰り広げられる。

吸い込まれる。

「皆さんに聴いていただけて本当にありがたいです」
「この部屋 音が跳ね返らないから手加減無く弾けるんですよ」
うれしいことを言って来てくれる。
0のひとつ足りないギャラで来てくれる。

この出会いに恵まれたことに深く感謝する。
10年前 彼女を紹介してくれた友に感謝する。
その友と出会えた縁に深く深く感謝する。

そして昨日お越しくださったみなさまに
心からありがとうございました。

また来年
ガチの川村コンサート どうぞご期待くださいませ。