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基礎栄養学 実戦問題11 問題
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1 栄養学の歴史に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) クレブスは, ペントースリン酸回路の確立に貢献した.
(2) ベルナールは, 牛乳から糖質, 脂質, たんぱく質を分離した.
(3) エイクマンは, 抗壊血病物質が柑橘類中にあることを見つけた.
(4) ビタミンと名付けられた物質は, 最初に米ぬかから抽出された.
(5) 佐伯矩は日本ではじめて栄養研究所を設立し, 栄養学研究および専門家の育成に努めた.
2 遺伝形質と栄養の相互作用に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 遺伝子1塩基多型 (SNP) は, 表現型に影響を与える場合が多い.
(2) ヒトでは, ビタミンCを合成する酵素のmRNAが発現されない.
(3) 2型糖尿病の発症には, 遺伝素因は関わらない.
(4) 生活習慣病の遺伝素因があると, 生活習慣を改善しても発症リスクは変わらない.
(5) 倹約 (節約) 遺伝子は, 効率よくエネルギーを消費させる仮説の遺伝子である.
3 消化器系の構造と機能に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 消化には, 機械的消化, 化学的消化及び生物学的消化がある.
(2) 消化液の分泌は, 神経性による調節を受けない.
(3) 胃壁の構造を管腔側からみると, 粘膜下層は固有筋層の外側にある.
(4) 壁細胞には, ガストリン受容体が存在する.
(5) 小腸粘膜細胞は, 多数の絨毛をもつ.
4 口腔内消化に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 酸味は, 毒物などの有害物質に対するシグナルとなっている.
(2) 旨味は, たんぱく質やアミノ酸に対するシグナルとなっている.
(3) 副交感神経の刺激により粘液性の唾液が少量分泌される.
(4) 唾液にはプロテアーゼが含まれている.
(5) 唾液のα-アミラーゼにより, でんぷんは α-1,4 結合が加水分解されてグルコースとなる.
5 膜消化と吸収に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) ラクターゼによって生成する単糖の吸収には, ATPは必要ではない.
(2) アミノペプチダーゼは, エンド型酵素である.
(3) 能動輸送は, エネルギーを消費しない膜輸送形態である.
(4) 単純拡散は, 担体を必要としない膜輸送形態である.
(5) グルコースの腸管からの吸収は, エネルギーを必要としない.
6 栄養素の消化と吸収に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) β-でんぷんは, α-でんぷんより消化が速い.
(2) グルコーストランスポーターを介したグルコースの輸送は, 促進拡散である.
(3) ビタミンB12は, 空腸から吸収される.
(4) カルシウムの腸管吸収には, レチノイン酸によって誘導されるたんぱく質が関与する.
(5) 腸管から吸収された脂溶性成分は, 門脈へ運ばれる.
7 分枝 (分岐鎖) アミノ酸に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) チロシンは, 分枝 (分岐鎖) アミノ酸である.
(2) 分枝 (分岐鎖) アミノ酸は, すべて必須アミノ酸である.
(3) 早朝空腹時には, 門脈から肝臓へ分枝 (分岐鎖) アミノ酸が供給される.
(4) 分枝 (分岐鎖) アミノ酸は, 肝臓に効率良く取り込まれて代謝される.
(5) 筋肉に取り込まれた分枝アミノ酸は, グルコースに変換されて放出される.
8 血糖の調節に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) インスリンは, 骨格筋でグルコース輸送体 (GLUT4) に作用する.
(2) 血糖指数は, グルコース, スクロース, デンプンなど消化吸収されやすい糖質であればほぼ等しい.
(3) 肝臓のグリコーゲン量は, 湿重量の約 20% である.
(4) 糖質を多く含む食事により, 筋肉ではグリコーゲンの合成が抑制される.
(5) 肝臓は, 筋肉中で生成した乳酸をアセチルCoAに変換し, 糖新生の基質とすることができる.
9 脂肪酸に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) リノール酸は, 飽和脂肪酸から生成される.
(2) オレイン酸は, 必須脂肪酸である.
(3) アラキドン酸は, α-リノレン酸から生成される.
(4) ドコサヘキサエン酸は, 炭素数22の脂肪酸である.
(5) 飽和脂肪酸の摂取は体内の過酸化脂質を増加させ, 健康障害をもたらす可能性がある.
10 ビタミンKに関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 抗生物質の長期投与時には, ビタミンKの必要量が減少する.
(2) ビタミンKは, 肝臓でプロトロンビンを生成するのに必要である.
(3) ビタミンKは, 血液凝固因子の合成に酵素として関与する.
(4) ビタミンK依存性凝固因子は, 2, 7, 8, 10因子である.
(5) ビタミンKが不足すると, 血液凝固が促進される.
※アラビア数字で表記
11 水溶性ビタミンに関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 葉酸の摂取不足は, 血中ホモシステイン濃度を低下させる.
(2) B群のビタミンには, 腸内細菌によって合成されるものはない.
(3) ビタミンB6は, 腸内細菌によって産生される.
(4) エネルギー消費の増加に伴って, ビタミンCの必要量が増加する.
(5) エネルギー源として脂肪酸利用が高まった場合には, ビタミンB1の必要量が増す.
12 鉄に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 鉄の必要量は, 閉経後に増加する.
(2) ヘモグロビンの分解で遊離した鉄は, 尿中に排泄される.
(3) 鉄を運搬するのは, セルロプラスミンである.
(4) 鉄欠乏の初期では, 血中ヘモグロビン値が低下する前に血清フェリチンが減少する.
(5) 鉄欠乏の中期からさらに進行すると, 血中ヘモグロビン値が低下する前に, 血清鉄飽和度が低下する.
13 代謝水に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 脂質が体内でエネルギー源として利用されると, 代謝水が生じる.
(2) 電子伝達系では, 代謝水は生じない.
(3) グルコース 1 g の代謝による代謝水量は, リノール酸 1 g の代謝による代謝水量とほぼ同じである.
(4) 代謝水の産生量は, 通常の食事では消費エネルギー 100 kcal あたり約 100 mL である.
(5) 成人の一日の水分出納は約 2.4 L で, その排泄は尿や代謝水などである.
14 呼吸商に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 排泄された二酸化炭素量と消費した酸素量の容積比 (O2/CO2) を, 呼吸商 (RQ) という.
(2) 糖質は分子内に酸素を多く持っているので, 脂質に比べて呼吸商 (RQ) が大きい.
(3) 飢餓状態の呼吸商 (RQ) は, ほぼ 1 に等しい.
(4) 非たんぱく質呼吸商は, 糖質の燃焼割合が高いほど小さくなる.
(5) たんぱく質の燃焼量は, 呼吸商から求めることができる.
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基礎栄養学 実戦問題11 解答と解説
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1=(4)かつ(5)
(1) 誤 クレブスは, クエン酸回路の確立に貢献した.
(2) 誤 ベルナールは, 脂肪を分解する作用が膵臓にあることを見いだした.
(3) 誤 エイクマンは, 抗脚気物質が米ヌカ中にあることを見いだした.
(4) 正 ビタミンと名付けられた物質は, 最初に米ぬかから抽出された.
(5) 正 佐伯矩は日本ではじめて栄養研究所を設立し, 栄養学研究および専門家の育成に努めた.
2=(2)
(1) 誤 遺伝子1塩基多型 (SNP) は, 表現型に影響を与えない場合が多い.
(2) 正 ヒトでは, ビタミンCや必須脂肪酸などを合成する酵素の遺伝子が欠損している.
(3) 誤 2型糖尿病は, 複数の遺伝素因をもとに環境要因が作用することによって発症する.
(4) 誤 生活習慣病の遺伝素因があっても, 生活習慣要因を改善することにより, 生活習慣病の予防は可能である.
(5) 誤 倹約遺伝子とは, 少ないエネルギーを効率よく利用し, エネルギー蓄積の増加などを起こすように変異した遺伝子である.
3=(1)かつ(4)
(1) 正 消化には, 機械的消化, 化学的消化及び生物学的消化がある.
(2) 誤 消化液の分泌は, 神経性による調節と消化管ホルモンによる調節の両方を受ける.
(3) 誤 胃壁の構造を管腔側からみると, 粘膜下層は固有筋層の内側にある.
(4) 正 塩酸を分泌する壁細胞には, ガストリン受容体, ヒスタミン受容体, アセチルコリン受容体が存在する.
(5) 誤 小腸粘膜細胞は, 多数の微絨毛をもつ.
4=(2)
(1) 誤 酸味は, 代謝を促進する有機酸や腐敗物に対するシグナルとなっている.
(2) 正 旨味は, たんぱく質やアミノ酸に対するシグナルとなっている.
(3) 誤 副交感神経の刺激により, 漿液性の唾液が大量に分泌される.
(4) 誤 唾液には, プロテアーゼ (たんぱく質分解酵素) は含まれていない.
(5) 誤 唾液のα-アミラーゼにより, でんぷんは α-1,4 結合が加水分解されて主にデキストリンやマルトースとなる.
5=(4)
(1) 誤 ラクターゼは, ラクトース (乳糖) をガラクトースとグルコースに分解する. ガラクトースもグルコースも能動輸送で吸収される.
(2) 誤 アミノペプチダーゼは, エキソ型酵素である.
(3) 誤 能動輸送は, エネルギーを消費する膜輸送形態である.
(4) 正 単純拡散は, 担体を必要としない膜輸送形態である.
(5) 誤 グルコースの腸管からの吸収は能動輸送によるものであり, エネルギーを必要とする.
6=(2)
(1) 誤 β-でんぷんはα-でんぷんより消化が遅い.
(2) 正 グルコーストランスポーター (GLUT) を介したグルコースの輸送は, 濃度勾配に従って進行する促進拡散である.
(3) 誤 ビタミンB12は, 回腸から吸収される.
(4) 誤 カルシウムの腸管吸収には, 活性型ビタミンDによって誘導されるたんぱく質が関与する.
(5) 誤 腸管から吸収された脂溶性成分は, キロミクロンを形成してリンパ管に入る.
7=(2)
(1) 誤 バリン, ロイシン, イソロイシンは, 分枝 (分岐鎖) アミノ酸である.
(2) 正 分枝 (分岐鎖) アミノ酸は, すべて必須アミノ酸である.
(3) 誤 食後, 分枝 (分岐鎖) アミノ酸は門脈から肝臓を経て筋肉や脳に供給される.
(4) 誤 分枝 (分岐鎖) アミノ酸は, 筋肉で効率よくエネルギーに転換され, あるいはアラニンなどに変換されて放出される.
(5) 誤 筋肉に取り込まれた分枝アミノ酸は, 効率よくエネルギーに転換され, あるいはアラニンなどに変換されて放出される.
8=(1)
(1) 正 インスリンは, 骨格筋や脂肪組織でグルコース輸送体 (GLUT4) に作用し, グルコースの細胞膜透過を亢進させる.
(2) 誤 血糖指数は, グルコース, スクロース, デンプンなど消化吸収されやすい糖質でも異なる.
(3) 誤 肝臓のグリコーゲン量は, 湿重量の約 5% 程度である.
(4) 誤 糖質の摂取量が多いと筋肉ではグリコーゲンの合成が亢進し, グリコーゲン含量が増大する.
(5) 誤 激しい運動時に筋肉内に生成した乳酸は肝臓に送られ, ピルビン酸を経て糖新生によってグルコースとなる.
9=(4)
(1) 誤 リノール酸は体内で飽和脂肪酸から合成されない必須脂肪酸で, 発育や機能維持に重要である.
(2) 誤 オレイン酸は, 非必須脂肪酸である.
(3) 誤 n-6 系の脂肪酸 (γ-リノレン酸とアラキドン酸) は, 体内でリノール酸から合成される.
(4) 正 ドコサヘキサエン酸は, 炭素数22の脂肪酸である.
(5) 誤 酸化されやすい多価不飽和脂肪酸の摂取は体内の過酸化脂質を増加させ, 健康障害をもたらす可能性がある.
10=(2)
(1) 誤 抗生物質の長期投与時には, ビタミンKの必要量が増加する.
(2) 正 ビタミンKは, 肝臓における血液凝固因子 (プロトロンビン) の合成に必要である.
(3) 誤 ビタミンKは, 血液凝固因子の合成に補酵素として関与する.
(4) 誤 ビタミンK依存性凝固因子は, 2, 7, 9, 10因子である.
(5) 誤 ビタミンKが欠乏すると, 血液凝固の遅延が起こる.
※アラビア数字で表記
11=(3)
(1) 誤 葉酸の摂取不足は, 血中ホモシステイン濃度を上昇させる.
(2) 誤 ビタミンB群の多くは, 腸内細菌によって合成される.
(3) 正 ビタミンB6は, 腸内細菌によって産生される.
(4) 誤 エネルギー代謝が亢進している時やエネルギー摂取量が多い時には, ビタミンB1, ビタミンB2, ナイアシンの必要量が増加する.
(5) 誤 エネルギー源として脂肪酸利用が高まった場合には, ビタミンB2 (リボフラビン) の必要量が増す.
12=(4)
(1) 誤 鉄の必要量は, 閉経後も変わらない.
(2) 誤 ヘモグロビンの分解で遊離した鉄は, 再利用される.
(3) 誤 鉄 (非ヘム鉄, Fe3+) は, アポトランスフェリンと結合したトランスフェリンのかたちで血中を輸送される.
(4) 正 鉄欠乏の初期では, 血中ヘモグロビン値が低下する前に血清フェリチンが減少する.
(5) 誤 鉄欠乏の中期からさらに進行すると, 血清鉄飽和度が低下した後に, 非貯蔵性組織鉄が減少する.
13=(1)
(1) 正 熱量素 (糖質, 脂質, たんぱく質) が体内でエネルギー源として利用 (酸化) されると, 代謝水が生じる.
(2) 誤 電子伝達系では, 代謝水が生じる.
(3) 誤 糖質, 脂質, たんぱく質のなかでは, 単位重量あたりの代謝水は脂質からのものが最も多い.
(4) 誤 代謝水は, 通常の食事では消費エネルギー 100 kcal あたり約 12 mL (約 300 mL/日) 生じる.
(5) 誤 成人の一日の水分出納は約 2.4 L で, その摂取は飲食物, 飲水, 代謝水である.
14=(2)
(1) 誤 消費した酸素量と排泄された二酸化炭素量の容積比 (CO2/O2) を, 呼吸商 (RQ) という.
(2) 正 誤 糖質が燃焼した時の呼吸商は約 1.0, たんぱく質が燃焼した時の呼吸商は約 0.8, 脂肪が燃焼した時の呼吸商は約 0.7 である.
(3) 誤 絶食や飢餓状態では体脂肪の分解によるエネルギー産生が大きくなるので, 呼吸商 (RQ) は, 約 0.7 となる.
(4) 誤 非たんぱく質呼吸商は, 糖質の燃焼割合が高いほど大きくなる.
(5) 誤 たんぱく質の燃焼量は, 呼吸商から求めることはできない.
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今回をもって, 「基礎栄養学」 の実戦問題をすべて終了とします.
次回からは, 「食べ物と健康」 の実戦問題 (25問×7回) をお送りします.
基礎栄養学 実戦問題11 問題
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1 栄養学の歴史に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) クレブスは, ペントースリン酸回路の確立に貢献した.
(2) ベルナールは, 牛乳から糖質, 脂質, たんぱく質を分離した.
(3) エイクマンは, 抗壊血病物質が柑橘類中にあることを見つけた.
(4) ビタミンと名付けられた物質は, 最初に米ぬかから抽出された.
(5) 佐伯矩は日本ではじめて栄養研究所を設立し, 栄養学研究および専門家の育成に努めた.
2 遺伝形質と栄養の相互作用に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 遺伝子1塩基多型 (SNP) は, 表現型に影響を与える場合が多い.
(2) ヒトでは, ビタミンCを合成する酵素のmRNAが発現されない.
(3) 2型糖尿病の発症には, 遺伝素因は関わらない.
(4) 生活習慣病の遺伝素因があると, 生活習慣を改善しても発症リスクは変わらない.
(5) 倹約 (節約) 遺伝子は, 効率よくエネルギーを消費させる仮説の遺伝子である.
3 消化器系の構造と機能に関する記述である. 正しいのはどれか. 2つ選べ.
(1) 消化には, 機械的消化, 化学的消化及び生物学的消化がある.
(2) 消化液の分泌は, 神経性による調節を受けない.
(3) 胃壁の構造を管腔側からみると, 粘膜下層は固有筋層の外側にある.
(4) 壁細胞には, ガストリン受容体が存在する.
(5) 小腸粘膜細胞は, 多数の絨毛をもつ.
4 口腔内消化に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 酸味は, 毒物などの有害物質に対するシグナルとなっている.
(2) 旨味は, たんぱく質やアミノ酸に対するシグナルとなっている.
(3) 副交感神経の刺激により粘液性の唾液が少量分泌される.
(4) 唾液にはプロテアーゼが含まれている.
(5) 唾液のα-アミラーゼにより, でんぷんは α-1,4 結合が加水分解されてグルコースとなる.
5 膜消化と吸収に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) ラクターゼによって生成する単糖の吸収には, ATPは必要ではない.
(2) アミノペプチダーゼは, エンド型酵素である.
(3) 能動輸送は, エネルギーを消費しない膜輸送形態である.
(4) 単純拡散は, 担体を必要としない膜輸送形態である.
(5) グルコースの腸管からの吸収は, エネルギーを必要としない.
6 栄養素の消化と吸収に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) β-でんぷんは, α-でんぷんより消化が速い.
(2) グルコーストランスポーターを介したグルコースの輸送は, 促進拡散である.
(3) ビタミンB12は, 空腸から吸収される.
(4) カルシウムの腸管吸収には, レチノイン酸によって誘導されるたんぱく質が関与する.
(5) 腸管から吸収された脂溶性成分は, 門脈へ運ばれる.
7 分枝 (分岐鎖) アミノ酸に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) チロシンは, 分枝 (分岐鎖) アミノ酸である.
(2) 分枝 (分岐鎖) アミノ酸は, すべて必須アミノ酸である.
(3) 早朝空腹時には, 門脈から肝臓へ分枝 (分岐鎖) アミノ酸が供給される.
(4) 分枝 (分岐鎖) アミノ酸は, 肝臓に効率良く取り込まれて代謝される.
(5) 筋肉に取り込まれた分枝アミノ酸は, グルコースに変換されて放出される.
8 血糖の調節に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) インスリンは, 骨格筋でグルコース輸送体 (GLUT4) に作用する.
(2) 血糖指数は, グルコース, スクロース, デンプンなど消化吸収されやすい糖質であればほぼ等しい.
(3) 肝臓のグリコーゲン量は, 湿重量の約 20% である.
(4) 糖質を多く含む食事により, 筋肉ではグリコーゲンの合成が抑制される.
(5) 肝臓は, 筋肉中で生成した乳酸をアセチルCoAに変換し, 糖新生の基質とすることができる.
9 脂肪酸に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) リノール酸は, 飽和脂肪酸から生成される.
(2) オレイン酸は, 必須脂肪酸である.
(3) アラキドン酸は, α-リノレン酸から生成される.
(4) ドコサヘキサエン酸は, 炭素数22の脂肪酸である.
(5) 飽和脂肪酸の摂取は体内の過酸化脂質を増加させ, 健康障害をもたらす可能性がある.
10 ビタミンKに関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 抗生物質の長期投与時には, ビタミンKの必要量が減少する.
(2) ビタミンKは, 肝臓でプロトロンビンを生成するのに必要である.
(3) ビタミンKは, 血液凝固因子の合成に酵素として関与する.
(4) ビタミンK依存性凝固因子は, 2, 7, 8, 10因子である.
(5) ビタミンKが不足すると, 血液凝固が促進される.
※アラビア数字で表記
11 水溶性ビタミンに関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 葉酸の摂取不足は, 血中ホモシステイン濃度を低下させる.
(2) B群のビタミンには, 腸内細菌によって合成されるものはない.
(3) ビタミンB6は, 腸内細菌によって産生される.
(4) エネルギー消費の増加に伴って, ビタミンCの必要量が増加する.
(5) エネルギー源として脂肪酸利用が高まった場合には, ビタミンB1の必要量が増す.
12 鉄に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 鉄の必要量は, 閉経後に増加する.
(2) ヘモグロビンの分解で遊離した鉄は, 尿中に排泄される.
(3) 鉄を運搬するのは, セルロプラスミンである.
(4) 鉄欠乏の初期では, 血中ヘモグロビン値が低下する前に血清フェリチンが減少する.
(5) 鉄欠乏の中期からさらに進行すると, 血中ヘモグロビン値が低下する前に, 血清鉄飽和度が低下する.
13 代謝水に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 脂質が体内でエネルギー源として利用されると, 代謝水が生じる.
(2) 電子伝達系では, 代謝水は生じない.
(3) グルコース 1 g の代謝による代謝水量は, リノール酸 1 g の代謝による代謝水量とほぼ同じである.
(4) 代謝水の産生量は, 通常の食事では消費エネルギー 100 kcal あたり約 100 mL である.
(5) 成人の一日の水分出納は約 2.4 L で, その排泄は尿や代謝水などである.
14 呼吸商に関する記述である. 正しいのはどれか. 1つ選べ.
(1) 排泄された二酸化炭素量と消費した酸素量の容積比 (O2/CO2) を, 呼吸商 (RQ) という.
(2) 糖質は分子内に酸素を多く持っているので, 脂質に比べて呼吸商 (RQ) が大きい.
(3) 飢餓状態の呼吸商 (RQ) は, ほぼ 1 に等しい.
(4) 非たんぱく質呼吸商は, 糖質の燃焼割合が高いほど小さくなる.
(5) たんぱく質の燃焼量は, 呼吸商から求めることができる.
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基礎栄養学 実戦問題11 解答と解説
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1=(4)かつ(5)
(1) 誤 クレブスは, クエン酸回路の確立に貢献した.
(2) 誤 ベルナールは, 脂肪を分解する作用が膵臓にあることを見いだした.
(3) 誤 エイクマンは, 抗脚気物質が米ヌカ中にあることを見いだした.
(4) 正 ビタミンと名付けられた物質は, 最初に米ぬかから抽出された.
(5) 正 佐伯矩は日本ではじめて栄養研究所を設立し, 栄養学研究および専門家の育成に努めた.
2=(2)
(1) 誤 遺伝子1塩基多型 (SNP) は, 表現型に影響を与えない場合が多い.
(2) 正 ヒトでは, ビタミンCや必須脂肪酸などを合成する酵素の遺伝子が欠損している.
(3) 誤 2型糖尿病は, 複数の遺伝素因をもとに環境要因が作用することによって発症する.
(4) 誤 生活習慣病の遺伝素因があっても, 生活習慣要因を改善することにより, 生活習慣病の予防は可能である.
(5) 誤 倹約遺伝子とは, 少ないエネルギーを効率よく利用し, エネルギー蓄積の増加などを起こすように変異した遺伝子である.
3=(1)かつ(4)
(1) 正 消化には, 機械的消化, 化学的消化及び生物学的消化がある.
(2) 誤 消化液の分泌は, 神経性による調節と消化管ホルモンによる調節の両方を受ける.
(3) 誤 胃壁の構造を管腔側からみると, 粘膜下層は固有筋層の内側にある.
(4) 正 塩酸を分泌する壁細胞には, ガストリン受容体, ヒスタミン受容体, アセチルコリン受容体が存在する.
(5) 誤 小腸粘膜細胞は, 多数の微絨毛をもつ.
4=(2)
(1) 誤 酸味は, 代謝を促進する有機酸や腐敗物に対するシグナルとなっている.
(2) 正 旨味は, たんぱく質やアミノ酸に対するシグナルとなっている.
(3) 誤 副交感神経の刺激により, 漿液性の唾液が大量に分泌される.
(4) 誤 唾液には, プロテアーゼ (たんぱく質分解酵素) は含まれていない.
(5) 誤 唾液のα-アミラーゼにより, でんぷんは α-1,4 結合が加水分解されて主にデキストリンやマルトースとなる.
5=(4)
(1) 誤 ラクターゼは, ラクトース (乳糖) をガラクトースとグルコースに分解する. ガラクトースもグルコースも能動輸送で吸収される.
(2) 誤 アミノペプチダーゼは, エキソ型酵素である.
(3) 誤 能動輸送は, エネルギーを消費する膜輸送形態である.
(4) 正 単純拡散は, 担体を必要としない膜輸送形態である.
(5) 誤 グルコースの腸管からの吸収は能動輸送によるものであり, エネルギーを必要とする.
6=(2)
(1) 誤 β-でんぷんはα-でんぷんより消化が遅い.
(2) 正 グルコーストランスポーター (GLUT) を介したグルコースの輸送は, 濃度勾配に従って進行する促進拡散である.
(3) 誤 ビタミンB12は, 回腸から吸収される.
(4) 誤 カルシウムの腸管吸収には, 活性型ビタミンDによって誘導されるたんぱく質が関与する.
(5) 誤 腸管から吸収された脂溶性成分は, キロミクロンを形成してリンパ管に入る.
7=(2)
(1) 誤 バリン, ロイシン, イソロイシンは, 分枝 (分岐鎖) アミノ酸である.
(2) 正 分枝 (分岐鎖) アミノ酸は, すべて必須アミノ酸である.
(3) 誤 食後, 分枝 (分岐鎖) アミノ酸は門脈から肝臓を経て筋肉や脳に供給される.
(4) 誤 分枝 (分岐鎖) アミノ酸は, 筋肉で効率よくエネルギーに転換され, あるいはアラニンなどに変換されて放出される.
(5) 誤 筋肉に取り込まれた分枝アミノ酸は, 効率よくエネルギーに転換され, あるいはアラニンなどに変換されて放出される.
8=(1)
(1) 正 インスリンは, 骨格筋や脂肪組織でグルコース輸送体 (GLUT4) に作用し, グルコースの細胞膜透過を亢進させる.
(2) 誤 血糖指数は, グルコース, スクロース, デンプンなど消化吸収されやすい糖質でも異なる.
(3) 誤 肝臓のグリコーゲン量は, 湿重量の約 5% 程度である.
(4) 誤 糖質の摂取量が多いと筋肉ではグリコーゲンの合成が亢進し, グリコーゲン含量が増大する.
(5) 誤 激しい運動時に筋肉内に生成した乳酸は肝臓に送られ, ピルビン酸を経て糖新生によってグルコースとなる.
9=(4)
(1) 誤 リノール酸は体内で飽和脂肪酸から合成されない必須脂肪酸で, 発育や機能維持に重要である.
(2) 誤 オレイン酸は, 非必須脂肪酸である.
(3) 誤 n-6 系の脂肪酸 (γ-リノレン酸とアラキドン酸) は, 体内でリノール酸から合成される.
(4) 正 ドコサヘキサエン酸は, 炭素数22の脂肪酸である.
(5) 誤 酸化されやすい多価不飽和脂肪酸の摂取は体内の過酸化脂質を増加させ, 健康障害をもたらす可能性がある.
10=(2)
(1) 誤 抗生物質の長期投与時には, ビタミンKの必要量が増加する.
(2) 正 ビタミンKは, 肝臓における血液凝固因子 (プロトロンビン) の合成に必要である.
(3) 誤 ビタミンKは, 血液凝固因子の合成に補酵素として関与する.
(4) 誤 ビタミンK依存性凝固因子は, 2, 7, 9, 10因子である.
(5) 誤 ビタミンKが欠乏すると, 血液凝固の遅延が起こる.
※アラビア数字で表記
11=(3)
(1) 誤 葉酸の摂取不足は, 血中ホモシステイン濃度を上昇させる.
(2) 誤 ビタミンB群の多くは, 腸内細菌によって合成される.
(3) 正 ビタミンB6は, 腸内細菌によって産生される.
(4) 誤 エネルギー代謝が亢進している時やエネルギー摂取量が多い時には, ビタミンB1, ビタミンB2, ナイアシンの必要量が増加する.
(5) 誤 エネルギー源として脂肪酸利用が高まった場合には, ビタミンB2 (リボフラビン) の必要量が増す.
12=(4)
(1) 誤 鉄の必要量は, 閉経後も変わらない.
(2) 誤 ヘモグロビンの分解で遊離した鉄は, 再利用される.
(3) 誤 鉄 (非ヘム鉄, Fe3+) は, アポトランスフェリンと結合したトランスフェリンのかたちで血中を輸送される.
(4) 正 鉄欠乏の初期では, 血中ヘモグロビン値が低下する前に血清フェリチンが減少する.
(5) 誤 鉄欠乏の中期からさらに進行すると, 血清鉄飽和度が低下した後に, 非貯蔵性組織鉄が減少する.
13=(1)
(1) 正 熱量素 (糖質, 脂質, たんぱく質) が体内でエネルギー源として利用 (酸化) されると, 代謝水が生じる.
(2) 誤 電子伝達系では, 代謝水が生じる.
(3) 誤 糖質, 脂質, たんぱく質のなかでは, 単位重量あたりの代謝水は脂質からのものが最も多い.
(4) 誤 代謝水は, 通常の食事では消費エネルギー 100 kcal あたり約 12 mL (約 300 mL/日) 生じる.
(5) 誤 成人の一日の水分出納は約 2.4 L で, その摂取は飲食物, 飲水, 代謝水である.
14=(2)
(1) 誤 消費した酸素量と排泄された二酸化炭素量の容積比 (CO2/O2) を, 呼吸商 (RQ) という.
(2) 正 誤 糖質が燃焼した時の呼吸商は約 1.0, たんぱく質が燃焼した時の呼吸商は約 0.8, 脂肪が燃焼した時の呼吸商は約 0.7 である.
(3) 誤 絶食や飢餓状態では体脂肪の分解によるエネルギー産生が大きくなるので, 呼吸商 (RQ) は, 約 0.7 となる.
(4) 誤 非たんぱく質呼吸商は, 糖質の燃焼割合が高いほど大きくなる.
(5) 誤 たんぱく質の燃焼量は, 呼吸商から求めることはできない.
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今回をもって, 「基礎栄養学」 の実戦問題をすべて終了とします.
次回からは, 「食べ物と健康」 の実戦問題 (25問×7回) をお送りします.