「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 の 「B 糖質の代謝」 の解答と解説です。
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4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝
B 糖質の代謝 解答と解説 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
1=(4)
(1) 誤 解糖系は, 細胞質に存在する代謝経路である.
(2) 誤 解糖系は, 無酸素 (嫌気的) 条件ではグルコース1分子から乳酸2分子を生成する.
(3) 誤 解糖系は, 有酸素 (好気的) 条件ではグルコース1分子からピルビン酸2分子を生成する.
(4) 正 解糖系では, 基質レベルのリン酸化により2分子のATPが産生される.
(5) 誤 嫌気的条件下では, 乳酸脱水素酵素とNADHによりピルビン酸が還元されて, 乳酸が生成する.
2=(3)
(1) 誤 骨格筋のヘキソキナーゼや肝臓のグルコキナーゼは, 解糖系の酵素である.
(2) 誤 解糖系の第一段階は, ヘキソキナーゼやグルコキナーゼによるグルコースのリン酸化 (グルコース 6-リン酸の生成) である.
(3) 正 解糖経路を構成する酵素によって触媒される反応は, 律速酵素が関与する3か所のみ不可逆的に進行する.
(4) 誤 解糖系における高エネルギーリン酸化合物の生産には, 酸化還元反応が関与する.
(5) 誤 オキサロ酢酸とアセチルCoAは, ともにピルビン酸から生成する.
3=(2)
(1) 誤 ピルビン酸脱水素酵素は, アセチルCoAによるフィードバック制御を受ける.
(2) 正 解糖系において, ATPを用いるリン酸化反応はマグネシウムイオンを必要とする.
(3) 誤 フルクトース, ガラクトースは, ともに解糖系に入り分解される.
(4) 誤 グリセロールは, グリセロール 3-リン酸を経て解糖過程に入る.
(5) 誤 グルコース 6-リン酸は, 解糖系, ペントースリン酸回路, 糖新生の中間体である.
4=(1)
a 正 筋肉や脳の解糖系で生成したNADH+H+の電子は, グリセロール 3-リン酸シャトルでミトコンドリアの電子伝達系に渡される.
b 正 肝臓や腎臓の解糖系で生成したNADH+H+の電子は, リンゴ酸-アスパラギン酸シャトルでミトコンドリアの電子伝達系に渡される.
c 誤 グリセロール 3-リン酸シャトルでは, ミトコンドリア内のFADに電子が渡される.
d 誤 リンゴ酸-アスパラギン酸シャトルでは, ミトコンドリア内のNAD+に電子が渡される.
5=(2)
(1) 誤 クエン酸回路の酵素は, ミトコンドリア内に存在する.
(2) 正 解糖系やクエン酸回路には, 基質と酸素分子との反応過程はない.
(3) 誤 クエン酸回路には, 基質レベルのリン酸化による高エネルギー化合物生成反応が存在する.
(4) 誤 解糖系で生成したピルビン酸は, ミトコンドリアマトリックスでアセチルCoAになる.
(5) 誤 ピルビン酸脱水素酵素は, ビタミンB1を補酵素とする.
6=(4)
(1) 誤 アセチルCoAは, クエン酸回路および脂質合成の中間体である.
(2) 誤 アセチルCoAは, オキサロ酢酸と反応してクエン酸回路に入る.
(3) 誤 α-ケトグルタル酸, コハク酸は, いずれもクエン酸回路を構成する中間体である.
(4) 正 クエン酸回路は, 解糖やβ酸化, 脱アミノ反応によるアセチルCoAのアセチル基を酸化 (代謝) する.
(5) 誤 クエン酸回路では, 脱水素反応によってNADH+H+とFADH2が生成する.
7=(2)
(1) 誤 解糖系の側路であるペントースリン酸回路は, 細胞質に存在する.
(2) 正 ペントースリン酸回路は, リボース 5-リン酸およびNADPH+H+を生成する.
(3) 誤 ペントースリン酸回路で生成するリボース 5-リン酸は, DNAおよびRNAの五炭糖部分になる.
(4) 誤 ペントースリン酸回路で生成するNADPH+H+は, 脂肪酸やコレステロールの合成に利用される.
(5) 誤 ペントースリン酸回路では, ATPは生じない.
8=(3)
a 正 グリコーゲンの合成にはエネルギー源としてUTPが用いられ, UDP-グルコースからグルコース残基が供給される.
b 誤 グリコーゲン合成において, UDP-グルコースはグリコーゲン鎖の非還元末端に α-1,4 結合する.
c 誤 グリコーゲン合成酵素の活性は, グルカゴンやアドレナリンによって抑制される.
d 正 グリコーゲンの合成にあたっては, 分枝酵素によって特有の樹状構造を形成する.
9=(5)
a 誤 グルカゴンは, 肝臓のグリコーゲン分解を促進するが, 筋肉のグリコーゲン分解には関与しない.
b 誤 グリコーゲンホスホリラーゼは, グリコーゲンを加リン酸分解してグルコース 1-リン酸を生成する.
c 正 グリコーゲンの分岐部の分解には, 脱分枝酵素が関与する.
d 正 グリコーゲンホスホリラーゼは, リン酸化により活性化される.
10=(4)
a 誤 乳酸, ピルビン酸, オキサロ酢酸, グリセロール, 糖原性アミノ酸などからグルコースが合成されることを, 糖新生という.
b 正 糖新生は, 細胞質で進行する.
c 正 糖新生の酵素であるグルコース-6-ホスファターゼは, 肝臓でグルコース 6-リン酸を脱リン酸化してグルコースを生成する.
d 誤 グルカゴンは, 糖新生を促進する.
11=(4)
a 誤 脂肪酸やそのβ酸化物であるアセチルCoAは, 糖新生の基質とはならない.
b 正 オキサロ酢酸は, 糖新生およびクエン酸回路の中間体である.
c 正 肝臓では, グルコース 6-リン酸がグルコースに変換される.
d 誤 骨格筋にはグルコース-6-ホスファターゼが存在しないので, 骨格筋のグリコーゲンからは血糖は供給されない.
12=(2)
a 正 ウロン酸回路やペントースリン酸回路は, 解糖系から分岐する反応経路である.
b 誤 ウロン酸回路は, グルクロン酸抱合に用いられるUDP-グルクロン酸の生産に役立っている.
c 正 乳腺では, UDPグルコースからUDPガラクトースが合成される.
d 誤 乳腺におけるラクトースの生合成では, グルコースとUDPガラクトースが縮合してラクトースとなる.
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次回は、 「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 の 「C 脂質の代謝」 の問題です。
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4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝
B 糖質の代謝 解答と解説 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
1=(4)
(1) 誤 解糖系は, 細胞質に存在する代謝経路である.
(2) 誤 解糖系は, 無酸素 (嫌気的) 条件ではグルコース1分子から乳酸2分子を生成する.
(3) 誤 解糖系は, 有酸素 (好気的) 条件ではグルコース1分子からピルビン酸2分子を生成する.
(4) 正 解糖系では, 基質レベルのリン酸化により2分子のATPが産生される.
(5) 誤 嫌気的条件下では, 乳酸脱水素酵素とNADHによりピルビン酸が還元されて, 乳酸が生成する.
2=(3)
(1) 誤 骨格筋のヘキソキナーゼや肝臓のグルコキナーゼは, 解糖系の酵素である.
(2) 誤 解糖系の第一段階は, ヘキソキナーゼやグルコキナーゼによるグルコースのリン酸化 (グルコース 6-リン酸の生成) である.
(3) 正 解糖経路を構成する酵素によって触媒される反応は, 律速酵素が関与する3か所のみ不可逆的に進行する.
(4) 誤 解糖系における高エネルギーリン酸化合物の生産には, 酸化還元反応が関与する.
(5) 誤 オキサロ酢酸とアセチルCoAは, ともにピルビン酸から生成する.
3=(2)
(1) 誤 ピルビン酸脱水素酵素は, アセチルCoAによるフィードバック制御を受ける.
(2) 正 解糖系において, ATPを用いるリン酸化反応はマグネシウムイオンを必要とする.
(3) 誤 フルクトース, ガラクトースは, ともに解糖系に入り分解される.
(4) 誤 グリセロールは, グリセロール 3-リン酸を経て解糖過程に入る.
(5) 誤 グルコース 6-リン酸は, 解糖系, ペントースリン酸回路, 糖新生の中間体である.
4=(1)
a 正 筋肉や脳の解糖系で生成したNADH+H+の電子は, グリセロール 3-リン酸シャトルでミトコンドリアの電子伝達系に渡される.
b 正 肝臓や腎臓の解糖系で生成したNADH+H+の電子は, リンゴ酸-アスパラギン酸シャトルでミトコンドリアの電子伝達系に渡される.
c 誤 グリセロール 3-リン酸シャトルでは, ミトコンドリア内のFADに電子が渡される.
d 誤 リンゴ酸-アスパラギン酸シャトルでは, ミトコンドリア内のNAD+に電子が渡される.
5=(2)
(1) 誤 クエン酸回路の酵素は, ミトコンドリア内に存在する.
(2) 正 解糖系やクエン酸回路には, 基質と酸素分子との反応過程はない.
(3) 誤 クエン酸回路には, 基質レベルのリン酸化による高エネルギー化合物生成反応が存在する.
(4) 誤 解糖系で生成したピルビン酸は, ミトコンドリアマトリックスでアセチルCoAになる.
(5) 誤 ピルビン酸脱水素酵素は, ビタミンB1を補酵素とする.
6=(4)
(1) 誤 アセチルCoAは, クエン酸回路および脂質合成の中間体である.
(2) 誤 アセチルCoAは, オキサロ酢酸と反応してクエン酸回路に入る.
(3) 誤 α-ケトグルタル酸, コハク酸は, いずれもクエン酸回路を構成する中間体である.
(4) 正 クエン酸回路は, 解糖やβ酸化, 脱アミノ反応によるアセチルCoAのアセチル基を酸化 (代謝) する.
(5) 誤 クエン酸回路では, 脱水素反応によってNADH+H+とFADH2が生成する.
7=(2)
(1) 誤 解糖系の側路であるペントースリン酸回路は, 細胞質に存在する.
(2) 正 ペントースリン酸回路は, リボース 5-リン酸およびNADPH+H+を生成する.
(3) 誤 ペントースリン酸回路で生成するリボース 5-リン酸は, DNAおよびRNAの五炭糖部分になる.
(4) 誤 ペントースリン酸回路で生成するNADPH+H+は, 脂肪酸やコレステロールの合成に利用される.
(5) 誤 ペントースリン酸回路では, ATPは生じない.
8=(3)
a 正 グリコーゲンの合成にはエネルギー源としてUTPが用いられ, UDP-グルコースからグルコース残基が供給される.
b 誤 グリコーゲン合成において, UDP-グルコースはグリコーゲン鎖の非還元末端に α-1,4 結合する.
c 誤 グリコーゲン合成酵素の活性は, グルカゴンやアドレナリンによって抑制される.
d 正 グリコーゲンの合成にあたっては, 分枝酵素によって特有の樹状構造を形成する.
9=(5)
a 誤 グルカゴンは, 肝臓のグリコーゲン分解を促進するが, 筋肉のグリコーゲン分解には関与しない.
b 誤 グリコーゲンホスホリラーゼは, グリコーゲンを加リン酸分解してグルコース 1-リン酸を生成する.
c 正 グリコーゲンの分岐部の分解には, 脱分枝酵素が関与する.
d 正 グリコーゲンホスホリラーゼは, リン酸化により活性化される.
10=(4)
a 誤 乳酸, ピルビン酸, オキサロ酢酸, グリセロール, 糖原性アミノ酸などからグルコースが合成されることを, 糖新生という.
b 正 糖新生は, 細胞質で進行する.
c 正 糖新生の酵素であるグルコース-6-ホスファターゼは, 肝臓でグルコース 6-リン酸を脱リン酸化してグルコースを生成する.
d 誤 グルカゴンは, 糖新生を促進する.
11=(4)
a 誤 脂肪酸やそのβ酸化物であるアセチルCoAは, 糖新生の基質とはならない.
b 正 オキサロ酢酸は, 糖新生およびクエン酸回路の中間体である.
c 正 肝臓では, グルコース 6-リン酸がグルコースに変換される.
d 誤 骨格筋にはグルコース-6-ホスファターゼが存在しないので, 骨格筋のグリコーゲンからは血糖は供給されない.
12=(2)
a 正 ウロン酸回路やペントースリン酸回路は, 解糖系から分岐する反応経路である.
b 誤 ウロン酸回路は, グルクロン酸抱合に用いられるUDP-グルクロン酸の生産に役立っている.
c 正 乳腺では, UDPグルコースからUDPガラクトースが合成される.
d 誤 乳腺におけるラクトースの生合成では, グルコースとUDPガラクトースが縮合してラクトースとなる.
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次回は、 「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 の 「C 脂質の代謝」 の問題です。