「3 生体エネルギーと代謝」, 「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 の 「A アミノ酸・たんぱく質の代謝」 の解答と解説です.
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3 生体エネルギーと代謝 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
26=(5)
(1) 誤 基質準位のリン酸化で産生されるATPの量は, 酸化的リン酸化によるものよりも少ない.
(2) 誤 ATPは, 筋肉が収縮するときの直接のエネルギー源である.
(3) 誤 高エネルギーリン酸化合物は, プリンまたはピリミジンのヌクレオシド三リン酸だけではない.
(4) 誤 AMPは, 高エネルギーリン酸結合を持たない.
(5) 正 クレアチンリン酸の高エネルギー結合は, ATP生成に利用される.
27=(4)
(1) 誤 ミトコンドリアの電子伝達系において, 酸素分子は電子受容体として働く.
(2) 誤 ミトコンドリア内膜には, H+の濃度勾配を利用してATPを産生する酵素が存在する.
(3) 誤 電子伝達系と酸化的リン酸化によるATPの産生は, ミトコンドリア内膜に存在する酵素によって行われる.
(4) 正 FADH2は, 電子伝達系と共役した酸化的リン酸化によるATPの産生に寄与する.
(5) 誤 NADH+H+は, 電子伝達系と共役した酸化的リン酸化によるATPの産生に寄与する.
28=(1)
(1) 正 摂取した水分子に由来する酸素原子は, 呼気中の二酸化炭素分子に含まれる.
(2) 誤 グルコース代謝での酸化還元反応は, 細胞質およびミトコンドリアで進行する.
(3) 誤 リンゴ酸-アスパラギン酸シャトルは, 細胞質で生じたH+をミトコンドリア内に送り込む機構である.
(4) 誤 細胞質で生成したNADHはミトコンドリア膜を通過できないので, シャトル機構によってH+がミトコンドリア内に入る.
(5) 誤 脱共役たんぱく質 (UCP) は, ミトコンドリア内膜を通過するH+の流れとATP産生を脱共役させる.
29=(3)
(1) 誤 酵素は, 化学反応の活性化エネルギーを低下させる.
(2) 誤 酵素は, それが触媒する反応様式によって分類されている.
(3) 正 すべての酵素は, 基質が結合する基質結合部位を持っている.
(4) 誤 脱水素酵素 (デヒドロゲナーゼ) は, 酸化還元酵素である.
(5) 誤 拮抗障害は, 酵素の基質によく似た構造をもつ化合物が酵素の活性部位に結合することによって生じる阻害である.
30=(2)
(1) 誤 アイソザイムは, 同一反応を触媒するが構造の異なる酵素である.
(2) 正 基質特異性とは, 酵素が特定の性質をもつ基質のみに作用することである.
(3) 誤 酵素反応は, 温度やpHが変化するとその反応速度も変化する.
(4) 誤 基質結合部位以外の部位に結合して酵素の活性を阻害する物質は, アロスリック阻害剤と呼ばれる.
(5) 誤 リン酸化による酵素活性の調節では, リン酸化により活性化されるものも不活性化されるものもある.
31=(2)
a 正 酵素の中には, 前駆体からペプチドが切りはなされることによって活性化されるものがある.
b 誤 金属イオンが結合することによって活性化される酵素を, 金属酵素という.
c 正 酵素に可逆的に結合し, 活性発現に寄与する低分子有機化合物を補酵素という.
d 誤 酵素の中には, 補欠分子族が結合しないと活性を発揮できないものがある.
4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
A アミノ酸・たんぱく質の代謝
32=(3)
(1) 誤 アミノ基転移反応は, 肝臓や心臓などの細胞内で行われる. 細胞が破壊されると, 血中に出る.
(2) 誤 アミノ基転移反応は, トランスアミナーゼによる可逆反応である.
(3) 正 アミノ酸のα-アミノ基は, アミノ基転移反応によって再利用される.
(4) 誤 プロリンおよびヒドロキシプロリンは, アミノ基転移反応を受けない.
(5) 誤 アミノ基転移をつかさどる酵素は, 補酵素としてピリドキサールリン酸を必要とする.
33=(3)
(1) 誤 グルタミン酸は, アミノ基転移反応によってα-ケトグルタル酸となる.
(2) 誤 アスパラギン酸は, アミノ基転移反応によってオキサロ酢酸となる.
(3) 正 アラニンは, アミノ基転移反応によってピルビン酸になる.
(4) 誤 必須アミノ酸の炭素骨格は, 脂質や糖質の中間代謝産物から合成できない.
(5) 誤 筋肉では, 分岐鎖アミノ酸はアミノ基転移反応で主にアラニンとなり, 利用される.
34=(1)
a 正 アミノ酸の炭素骨格は, 脂肪や糖質に合成され, あるいはエネルギー源として利用される.
b 正 アミノ酸の炭素骨格は, 最終的に二酸化炭素と水に代謝される.
c 誤 クエン酸回路の中間体に変換されるアミノ酸は, 糖原性アミノ酸である.
d 誤 ロイシンの炭素骨格は, 脂肪酸合成に用いられる.
35=(4)
a 誤 ケト原性アミノ酸のロイシンは, グルコースには転換されない.
b 正 糖原性アミノ酸のアラニンは, 糖新生経路によってグルコース合成に利用される.
c 正 メチオニンは, メチル基の供与体としてさまざまな化合物の合成に役立っている.
d 誤 グルタミン酸は, アンモニアと反応してグルタミンとなる.
36=(5)
(1) 誤 尿素は主として肝臓細胞内で尿素回路によって合成され, 血液によって腎臓に運ばれる.
(2) 誤 アミノ酸に含まれる窒素を尿素として処理するには, ATPが必要である.
(3) 誤 尿素の前駆体のアミノ酸は, アルギニンである.
(4) 誤 尿素回路で合成される尿素の2つのアミノ基は, アンモニアに由来するものとアスパラギン酸に由来するものである.
(5) 正 尿素回路を構成するシトルリンは, たんぱく質合成には利用されない.
37=(4)
(1) 誤 ドーパミンの前駆体のアミノ酸は, チロシンである.
(2) 誤 ナイアシンの前駆体のアミノ酸は, トリプトファンである.
(3) 誤 チロキシンは, チロシンから合成される.
(4) 正 メラニンは, チロシンから合成される.
(5) 誤 一酸化窒素の前駆体のアミノ酸は, アルギニンである.
38=(2)
(1) 誤 トリプトファンからナイアシンを経てNADが生合成される.
(2) 正 セロトニンは, トリプトファンから生成する.
(3) 誤 γ-アミノ酪酸 (GABA) は, グルタミン酸から生成する.
(4) 誤 アレルギー反応に関与するヒスタミンは, ヒスチジンの脱炭酸反応によって生成する.
(5) 誤 クレアチンは, アルギニンおよびグリシンから生成する.
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引き続き, 「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 の 「B 糖質の代謝」 と 「C 脂質の代謝」, および 「5 個体の恒常性 (ホメオスタシス) とその調節機構」 の問題です. 15問です.
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B 糖質の代謝
39 解糖系に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) 解糖系の反応は, ミトコンドリアマトリックス内で進む.
(2) 解糖系では, 1分子のグルコースから2分子のピルビン酸または乳酸が生成する.
(3) 乳酸脱水素酵素は, 乳酸からオキサロ酢酸を生成する.
(4) 解糖系の第一段階は, グルコース-6-ホスファターゼによるグルコース 6-リン酸の脱リン酸化である.
(5) 解糖系における高エネルギーリン酸化合物の生産には, 酸化還元反応は関与しない.
40 解糖系およびクエン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) オキサロ酢酸とアセチルCoAは, ともにピルビン酸から生成する.
(2) ビタミンB6は, ピルビン酸脱水素酵素の補酵素である.
(3) クエン酸回路では, 脱水素反応によってNADPHとFADH2が生成する.
(4) クエン酸回路には, 基質レベルのリン酸化による高エネルギー化合物生成反応は存在しない.
(5) クエン酸回路は, グルコース以外の化合物から生成したアセチルCoAのアセチル基を代謝できない.
41 糖質の代謝に関する記述である. 正しいものの組合せはどれか.
a ペントースリン酸経路では, NADHおよびリボース 5-リン酸が生成する.
b ペントースリン酸回路では, ATPが生じる.
c ウロン酸回路は, グルクロン酸抱合に用いられるUDP-グルクロン酸の生産に役立っている.
d グリコーゲン鎖が伸長する時には, グルコース残基はUDP-グルコースから供給される.
(1) aとb (2) aとc (3) aとd (4) bとc (5) cとd
42 糖質の代謝に関する記述である. 正しいものの組合せはどれか.
a グリコーゲンの合成にあたっては, 分枝酵素によって特有の樹状構造を形成する.
b ラクトースの生合成は, UDPグルコースからUDPガラクトースを経てなされる.
c 脂肪酸からグルコースが合成される.
d 糖新生の代謝経路には, オキサロ酢酸からピルビン酸が産生される過程が含まれる.
(1) aとb (2) aとc (3) aとd (4) bとc (5) cとd
43 糖質の代謝に関する記述である. 正しいものの組合せはどれか.
a 骨格筋にはグルコース-6-ホスファターゼが存在しないので, 骨格筋のグリコーゲンからは血糖は供給されない.
b グルカゴンは, 骨格筋のグリコーゲン分解を促進する.
c グリコーゲンホスホリラーゼは, グリコーゲンの加リン酸分解を促進する.
d グリコーゲンホスホリラーゼは, リン酸化により不活性化される.
(1) aとb (2) aとc (3) aとd (4) bとc (5) cとd
C 脂質の代謝
44 脂肪酸の合成と分解に関する記述である. 正しいものの組合せはどれか.
a 脂肪酸合成の初発反応は, マロニルCoAの脱炭酸によるアセチルCoAの生成である.
b 脂肪酸合成は, β酸化を逆行する反応である.
c 脂肪酸合成に用いられる還元剤は, NADP+の還元型 (NADPH) である.
d アシルCoAは, アシルカルニチンとしてミトコンドリア内膜を通過する.
(1) aとb (2) aとc (3) aとd (4) bとc (5) cとd
45 脂肪酸の酸化に関する記述である. 正しいものの組合せはどれか.
a 脂肪酸のβ酸化は, カルボキシ基側から炭素原子が1個ずつ離脱していく反応である.
b 脂肪酸のβ酸化は, ミトコンドリア内で進行する.
c カルニチンの合成障害があると, 脂肪酸のβ酸化が障害される.
d 不飽和脂肪酸の最終代謝産物は, 胆汁酸と二酸化炭素である.
(1) aとb (2) aとc (3) aとd (4) bとc (5) cとd
46 不飽和脂肪酸の代謝に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) オレイン酸は, 必須脂肪酸である.
(2) エイコサペンタエン酸は, α-リノレン酸から合成される.
(3) ドコサヘキサエン酸は, γ-リノレン酸から合成される.
(4) γ-リノレン酸は, リノール酸を経てアラキドン酸となる.
(5) 飽和脂肪酸を不飽和化する代謝経路は, ヒト体内には存在しない.
47 ケトン体の1つであるアセト酢酸の代謝に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) 脂肪酸の分解が亢進している状況下では, アセト酢酸の合成が促進される.
(2) アセト酢酸は肝細胞のミトコンドリア内で合成され, 血液中に放出される.
(3) 肝細胞は, アセト酢酸をエネルギー源として利用できる.
(4) 筋肉細胞は, アセト酢酸をエネルギー源として利用できない.
(5) アセト酢酸をエネルギー源として利用する代謝経路は, 解糖系である.
48 コレステロールの代謝に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) コレステロールの合成経路では, すべての炭素がアセチルCoAから供給される.
(2) コレステロール合成の律速酵素は, アセチルCoAカルボキシラーゼである.
(3) コレステロール生合成は, コレステロール自身によるフィードバック調節を受けない.
(4) コレステロールは, 胆汁色素およびステロイドホルモンの前駆物質である.
(5) 脂肪酸やコレステロールの生体内貯蔵は, 遊離型で行われている.
49 脂質の輸送とリポたんぱく質に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) アポたんぱく質 (アポリポたんぱく質) は, 脂質とたんぱく質からなる.
(2) VLDL, LDL, HDLなど血中リポたんぱく質の分類は, 含まれる脂質の種類によってなされている.
(3) 食事脂質は小腸細胞内でトリアシルグリセロールとなり, HDLを形成する.
(4) 肝臓細胞で合成されたトリアシルグリセロールは, キロミクロンによって各組織に運ばれる.
(5) VLDLはリポたんぱく質リパーゼの作用によってLDLとなり, 肝臓で合成されたコレステロールを末梢組織に輸送する.
50 脂質の輸送とリポたんぱく質に関する記述である. 正しいものの組合せはどれか.
a LDLは, 肝臓で合成されたコレステロールを末梢組織に輸送する.
b LDLは, 肝細胞と結合するための受容体をそなえている.
c HDLは, 末梢組織の過剰なコレステロールを肝臓へもどす機能をもつ.
d 遊離脂肪酸の血中運搬は, VLDLによって行われている.
(1) aとb (2) aとc (3) aとd (4) bとc (5) cとd
5 個体の恒常性 (ホメオスタシス) とその調節機構 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■
51 受容体に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) 甲状腺ホルモンの受容体は, 細胞内に存在する.
(2) アドレナリンの受容体は, 細胞内に存在する.
(3) インスリンの受容体は, 細胞内に存在する.
(4) アルドステロンの受容体は, 細胞膜に結合して存在する.
(5) コルチゾールの受容体は, 細胞膜に結合して存在する.
52 情報伝達の機構に関する記述である. 正しいものの組合せはどれか.
a サイクリックGMP (cGMP) がセカンドメッセンジャーとして働くシステムが存在する.
b ホルモンの中には, 細胞質内のカルシウムの濃度変化を介して作用を発揮するものがある.
c ステロイドホルモンの受容体は, ステロイドである.
d ペプチドホルモンは, 細胞膜表面の受容体に結合して細胞内へ取り込まれる.
(1) aとb (2) aとc (3) aとd (4) bとc (5) cとd
53 情報伝達の機構に関する記述である. 正しいものの組合せはどれか.
a インスリン受容体は, チロシンキナーゼ活性をもつ.
b Gたんぱく質は細胞内に存在し, ホルモンと結合すること によって作用を発揮する.
c cAMPは, セカンドメッセンジャーとして細胞核内で働く.
d グリコーゲンの合成と分解は, ともに細胞内のcAMPの濃度によって調節されている.
(1) aとb (2) aとc (3) aとd (4) bとc (5) cとd
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次回は, 「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 の 「B 糖質の代謝」 と 「C 脂質の代謝」, および 「5 個体の恒常性 (ホメオスタシス) とその調節機構」 の解答と解説です.
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3 生体エネルギーと代謝 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
26=(5)
(1) 誤 基質準位のリン酸化で産生されるATPの量は, 酸化的リン酸化によるものよりも少ない.
(2) 誤 ATPは, 筋肉が収縮するときの直接のエネルギー源である.
(3) 誤 高エネルギーリン酸化合物は, プリンまたはピリミジンのヌクレオシド三リン酸だけではない.
(4) 誤 AMPは, 高エネルギーリン酸結合を持たない.
(5) 正 クレアチンリン酸の高エネルギー結合は, ATP生成に利用される.
27=(4)
(1) 誤 ミトコンドリアの電子伝達系において, 酸素分子は電子受容体として働く.
(2) 誤 ミトコンドリア内膜には, H+の濃度勾配を利用してATPを産生する酵素が存在する.
(3) 誤 電子伝達系と酸化的リン酸化によるATPの産生は, ミトコンドリア内膜に存在する酵素によって行われる.
(4) 正 FADH2は, 電子伝達系と共役した酸化的リン酸化によるATPの産生に寄与する.
(5) 誤 NADH+H+は, 電子伝達系と共役した酸化的リン酸化によるATPの産生に寄与する.
28=(1)
(1) 正 摂取した水分子に由来する酸素原子は, 呼気中の二酸化炭素分子に含まれる.
(2) 誤 グルコース代謝での酸化還元反応は, 細胞質およびミトコンドリアで進行する.
(3) 誤 リンゴ酸-アスパラギン酸シャトルは, 細胞質で生じたH+をミトコンドリア内に送り込む機構である.
(4) 誤 細胞質で生成したNADHはミトコンドリア膜を通過できないので, シャトル機構によってH+がミトコンドリア内に入る.
(5) 誤 脱共役たんぱく質 (UCP) は, ミトコンドリア内膜を通過するH+の流れとATP産生を脱共役させる.
29=(3)
(1) 誤 酵素は, 化学反応の活性化エネルギーを低下させる.
(2) 誤 酵素は, それが触媒する反応様式によって分類されている.
(3) 正 すべての酵素は, 基質が結合する基質結合部位を持っている.
(4) 誤 脱水素酵素 (デヒドロゲナーゼ) は, 酸化還元酵素である.
(5) 誤 拮抗障害は, 酵素の基質によく似た構造をもつ化合物が酵素の活性部位に結合することによって生じる阻害である.
30=(2)
(1) 誤 アイソザイムは, 同一反応を触媒するが構造の異なる酵素である.
(2) 正 基質特異性とは, 酵素が特定の性質をもつ基質のみに作用することである.
(3) 誤 酵素反応は, 温度やpHが変化するとその反応速度も変化する.
(4) 誤 基質結合部位以外の部位に結合して酵素の活性を阻害する物質は, アロスリック阻害剤と呼ばれる.
(5) 誤 リン酸化による酵素活性の調節では, リン酸化により活性化されるものも不活性化されるものもある.
31=(2)
a 正 酵素の中には, 前駆体からペプチドが切りはなされることによって活性化されるものがある.
b 誤 金属イオンが結合することによって活性化される酵素を, 金属酵素という.
c 正 酵素に可逆的に結合し, 活性発現に寄与する低分子有機化合物を補酵素という.
d 誤 酵素の中には, 補欠分子族が結合しないと活性を発揮できないものがある.
4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
A アミノ酸・たんぱく質の代謝
32=(3)
(1) 誤 アミノ基転移反応は, 肝臓や心臓などの細胞内で行われる. 細胞が破壊されると, 血中に出る.
(2) 誤 アミノ基転移反応は, トランスアミナーゼによる可逆反応である.
(3) 正 アミノ酸のα-アミノ基は, アミノ基転移反応によって再利用される.
(4) 誤 プロリンおよびヒドロキシプロリンは, アミノ基転移反応を受けない.
(5) 誤 アミノ基転移をつかさどる酵素は, 補酵素としてピリドキサールリン酸を必要とする.
33=(3)
(1) 誤 グルタミン酸は, アミノ基転移反応によってα-ケトグルタル酸となる.
(2) 誤 アスパラギン酸は, アミノ基転移反応によってオキサロ酢酸となる.
(3) 正 アラニンは, アミノ基転移反応によってピルビン酸になる.
(4) 誤 必須アミノ酸の炭素骨格は, 脂質や糖質の中間代謝産物から合成できない.
(5) 誤 筋肉では, 分岐鎖アミノ酸はアミノ基転移反応で主にアラニンとなり, 利用される.
34=(1)
a 正 アミノ酸の炭素骨格は, 脂肪や糖質に合成され, あるいはエネルギー源として利用される.
b 正 アミノ酸の炭素骨格は, 最終的に二酸化炭素と水に代謝される.
c 誤 クエン酸回路の中間体に変換されるアミノ酸は, 糖原性アミノ酸である.
d 誤 ロイシンの炭素骨格は, 脂肪酸合成に用いられる.
35=(4)
a 誤 ケト原性アミノ酸のロイシンは, グルコースには転換されない.
b 正 糖原性アミノ酸のアラニンは, 糖新生経路によってグルコース合成に利用される.
c 正 メチオニンは, メチル基の供与体としてさまざまな化合物の合成に役立っている.
d 誤 グルタミン酸は, アンモニアと反応してグルタミンとなる.
36=(5)
(1) 誤 尿素は主として肝臓細胞内で尿素回路によって合成され, 血液によって腎臓に運ばれる.
(2) 誤 アミノ酸に含まれる窒素を尿素として処理するには, ATPが必要である.
(3) 誤 尿素の前駆体のアミノ酸は, アルギニンである.
(4) 誤 尿素回路で合成される尿素の2つのアミノ基は, アンモニアに由来するものとアスパラギン酸に由来するものである.
(5) 正 尿素回路を構成するシトルリンは, たんぱく質合成には利用されない.
37=(4)
(1) 誤 ドーパミンの前駆体のアミノ酸は, チロシンである.
(2) 誤 ナイアシンの前駆体のアミノ酸は, トリプトファンである.
(3) 誤 チロキシンは, チロシンから合成される.
(4) 正 メラニンは, チロシンから合成される.
(5) 誤 一酸化窒素の前駆体のアミノ酸は, アルギニンである.
38=(2)
(1) 誤 トリプトファンからナイアシンを経てNADが生合成される.
(2) 正 セロトニンは, トリプトファンから生成する.
(3) 誤 γ-アミノ酪酸 (GABA) は, グルタミン酸から生成する.
(4) 誤 アレルギー反応に関与するヒスタミンは, ヒスチジンの脱炭酸反応によって生成する.
(5) 誤 クレアチンは, アルギニンおよびグリシンから生成する.
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引き続き, 「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 の 「B 糖質の代謝」 と 「C 脂質の代謝」, および 「5 個体の恒常性 (ホメオスタシス) とその調節機構」 の問題です. 15問です.
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B 糖質の代謝
39 解糖系に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) 解糖系の反応は, ミトコンドリアマトリックス内で進む.
(2) 解糖系では, 1分子のグルコースから2分子のピルビン酸または乳酸が生成する.
(3) 乳酸脱水素酵素は, 乳酸からオキサロ酢酸を生成する.
(4) 解糖系の第一段階は, グルコース-6-ホスファターゼによるグルコース 6-リン酸の脱リン酸化である.
(5) 解糖系における高エネルギーリン酸化合物の生産には, 酸化還元反応は関与しない.
40 解糖系およびクエン酸回路に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) オキサロ酢酸とアセチルCoAは, ともにピルビン酸から生成する.
(2) ビタミンB6は, ピルビン酸脱水素酵素の補酵素である.
(3) クエン酸回路では, 脱水素反応によってNADPHとFADH2が生成する.
(4) クエン酸回路には, 基質レベルのリン酸化による高エネルギー化合物生成反応は存在しない.
(5) クエン酸回路は, グルコース以外の化合物から生成したアセチルCoAのアセチル基を代謝できない.
41 糖質の代謝に関する記述である. 正しいものの組合せはどれか.
a ペントースリン酸経路では, NADHおよびリボース 5-リン酸が生成する.
b ペントースリン酸回路では, ATPが生じる.
c ウロン酸回路は, グルクロン酸抱合に用いられるUDP-グルクロン酸の生産に役立っている.
d グリコーゲン鎖が伸長する時には, グルコース残基はUDP-グルコースから供給される.
(1) aとb (2) aとc (3) aとd (4) bとc (5) cとd
42 糖質の代謝に関する記述である. 正しいものの組合せはどれか.
a グリコーゲンの合成にあたっては, 分枝酵素によって特有の樹状構造を形成する.
b ラクトースの生合成は, UDPグルコースからUDPガラクトースを経てなされる.
c 脂肪酸からグルコースが合成される.
d 糖新生の代謝経路には, オキサロ酢酸からピルビン酸が産生される過程が含まれる.
(1) aとb (2) aとc (3) aとd (4) bとc (5) cとd
43 糖質の代謝に関する記述である. 正しいものの組合せはどれか.
a 骨格筋にはグルコース-6-ホスファターゼが存在しないので, 骨格筋のグリコーゲンからは血糖は供給されない.
b グルカゴンは, 骨格筋のグリコーゲン分解を促進する.
c グリコーゲンホスホリラーゼは, グリコーゲンの加リン酸分解を促進する.
d グリコーゲンホスホリラーゼは, リン酸化により不活性化される.
(1) aとb (2) aとc (3) aとd (4) bとc (5) cとd
C 脂質の代謝
44 脂肪酸の合成と分解に関する記述である. 正しいものの組合せはどれか.
a 脂肪酸合成の初発反応は, マロニルCoAの脱炭酸によるアセチルCoAの生成である.
b 脂肪酸合成は, β酸化を逆行する反応である.
c 脂肪酸合成に用いられる還元剤は, NADP+の還元型 (NADPH) である.
d アシルCoAは, アシルカルニチンとしてミトコンドリア内膜を通過する.
(1) aとb (2) aとc (3) aとd (4) bとc (5) cとd
45 脂肪酸の酸化に関する記述である. 正しいものの組合せはどれか.
a 脂肪酸のβ酸化は, カルボキシ基側から炭素原子が1個ずつ離脱していく反応である.
b 脂肪酸のβ酸化は, ミトコンドリア内で進行する.
c カルニチンの合成障害があると, 脂肪酸のβ酸化が障害される.
d 不飽和脂肪酸の最終代謝産物は, 胆汁酸と二酸化炭素である.
(1) aとb (2) aとc (3) aとd (4) bとc (5) cとd
46 不飽和脂肪酸の代謝に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) オレイン酸は, 必須脂肪酸である.
(2) エイコサペンタエン酸は, α-リノレン酸から合成される.
(3) ドコサヘキサエン酸は, γ-リノレン酸から合成される.
(4) γ-リノレン酸は, リノール酸を経てアラキドン酸となる.
(5) 飽和脂肪酸を不飽和化する代謝経路は, ヒト体内には存在しない.
47 ケトン体の1つであるアセト酢酸の代謝に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) 脂肪酸の分解が亢進している状況下では, アセト酢酸の合成が促進される.
(2) アセト酢酸は肝細胞のミトコンドリア内で合成され, 血液中に放出される.
(3) 肝細胞は, アセト酢酸をエネルギー源として利用できる.
(4) 筋肉細胞は, アセト酢酸をエネルギー源として利用できない.
(5) アセト酢酸をエネルギー源として利用する代謝経路は, 解糖系である.
48 コレステロールの代謝に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) コレステロールの合成経路では, すべての炭素がアセチルCoAから供給される.
(2) コレステロール合成の律速酵素は, アセチルCoAカルボキシラーゼである.
(3) コレステロール生合成は, コレステロール自身によるフィードバック調節を受けない.
(4) コレステロールは, 胆汁色素およびステロイドホルモンの前駆物質である.
(5) 脂肪酸やコレステロールの生体内貯蔵は, 遊離型で行われている.
49 脂質の輸送とリポたんぱく質に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) アポたんぱく質 (アポリポたんぱく質) は, 脂質とたんぱく質からなる.
(2) VLDL, LDL, HDLなど血中リポたんぱく質の分類は, 含まれる脂質の種類によってなされている.
(3) 食事脂質は小腸細胞内でトリアシルグリセロールとなり, HDLを形成する.
(4) 肝臓細胞で合成されたトリアシルグリセロールは, キロミクロンによって各組織に運ばれる.
(5) VLDLはリポたんぱく質リパーゼの作用によってLDLとなり, 肝臓で合成されたコレステロールを末梢組織に輸送する.
50 脂質の輸送とリポたんぱく質に関する記述である. 正しいものの組合せはどれか.
a LDLは, 肝臓で合成されたコレステロールを末梢組織に輸送する.
b LDLは, 肝細胞と結合するための受容体をそなえている.
c HDLは, 末梢組織の過剰なコレステロールを肝臓へもどす機能をもつ.
d 遊離脂肪酸の血中運搬は, VLDLによって行われている.
(1) aとb (2) aとc (3) aとd (4) bとc (5) cとd
5 個体の恒常性 (ホメオスタシス) とその調節機構 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■
51 受容体に関する記述である. 正しいのはどれか.
(1) 甲状腺ホルモンの受容体は, 細胞内に存在する.
(2) アドレナリンの受容体は, 細胞内に存在する.
(3) インスリンの受容体は, 細胞内に存在する.
(4) アルドステロンの受容体は, 細胞膜に結合して存在する.
(5) コルチゾールの受容体は, 細胞膜に結合して存在する.
52 情報伝達の機構に関する記述である. 正しいものの組合せはどれか.
a サイクリックGMP (cGMP) がセカンドメッセンジャーとして働くシステムが存在する.
b ホルモンの中には, 細胞質内のカルシウムの濃度変化を介して作用を発揮するものがある.
c ステロイドホルモンの受容体は, ステロイドである.
d ペプチドホルモンは, 細胞膜表面の受容体に結合して細胞内へ取り込まれる.
(1) aとb (2) aとc (3) aとd (4) bとc (5) cとd
53 情報伝達の機構に関する記述である. 正しいものの組合せはどれか.
a インスリン受容体は, チロシンキナーゼ活性をもつ.
b Gたんぱく質は細胞内に存在し, ホルモンと結合すること によって作用を発揮する.
c cAMPは, セカンドメッセンジャーとして細胞核内で働く.
d グリコーゲンの合成と分解は, ともに細胞内のcAMPの濃度によって調節されている.
(1) aとb (2) aとc (3) aとd (4) bとc (5) cとd
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次回は, 「4 アミノ酸・たんぱく質・糖質・脂質の代謝」 の 「B 糖質の代謝」 と 「C 脂質の代謝」, および 「5 個体の恒常性 (ホメオスタシス) とその調節機構」 の解答と解説です.